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53話:熊本大地震とブレグジット

 2016年は、寒い日が続き、インフルエンザも流行して、気を付けていたが、安田商事でも数人が、休んで、3月になると、流行が一段落して、暖かくなってきた。そして、今年、3月26日、北海道新幹線が函館まで伸びた。4月14日には、熊本市で大きな直下型地震が起きて、熊本県益城町で震度7を観測し、熊本城を始め多数の建築物が倒壊した。


 2016年8月時点で死者は、110人、被害を受けた家屋は、合計18万472棟に達する大惨事となった。無残にも熊本城が大きな損傷を受けた。そして、この日から安田商事横浜支店の入り口を入った直ぐ近くに熊本地震、救済募金の箱を置いて募金を受け付けた。この知らせを聞いた、リチャードから電話が入り、個人として100万ドルを寄付すると送金してきた。


 また、この年は、番狂わせの出来事が多い年であった。最初に、イギリスの6月23日に、イギリスのEU離脱の是非につき、行われた国民投票が行われた。もともと、何故、こんな事になったかを調べると、発端は、2013年1月に首相デビッド・キャメロンが、次回の総選挙で保守党が勝利した場合にEU残留の是非をめぐる国民投票を行うと公約したことにある。


 その背景には、EUに対するイギリス世論が硬化したことと、保守党内部の路線対立とがあった。まず2004年と2007年の二度にわたってEUの東方拡大が行われたが、当時のブレア政権は人の自由移動に関し移行期間を設けなかったため、新たにEUに加盟した東欧諸国からの移民が急増した。


 多くの移民が流入した地域では、職を奪われるとの懸念が広まった。それとともに医療や教育などの社会インフラに負担がかかることになった。続いて、2010年以降のユーロ危機や金融規制をめぐる大陸諸国との対立のためにEUに対する信頼感が低下しEUからの離脱を唱えるイギリス独立党への支持が拡大した。 


えて昔から親EU的な政党であった保守党の中では、サッチャー政権期の1980年代末以降、単一通貨導入に対する反発などから懐疑派の勢力が強まっていたが、とくに1997年に政権から外れた後、党内対立が激化し首相キャメロンが国民投票を公約したのは、これ以上イギリス独立党に支持が流れるのを防ぎ保守党の党内対立を収拾するためであったと言われている。


 最終的には、議会制民主主義が機能不全に陥った事が、国民投票が必要になったという理由と考えられる。その結果、離脱派が51.9%対48.1%という僅差で勝利したのは、イギリス社会が大きく分断されていることの結果とみるべきだろう。この結果を受けて、イギリスのEU財政に対する負担額はドイツに次いで第2位である。


 EUの新たな財政計画の策定にする上で、失われる資金をどう手当てするかが、EU財政にとっての大きな問題となる。イギリスのEU離脱について、そんなこと無いだろうという世界的な予想を裏切った結果に世界経済も大きなショックを打てヨーロッパ全体にも大きな影を落とし日本、アメリカでも信じられないと空気がな流れた。決定後、世界の株式市場、為替市場が動揺したのは言うまでもない。

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