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2話:生糸商人の浮き沈み1

 12歳から江戸や橫浜に番頭が生糸を売りに行く時に、ついていく様になり生糸商売の面白さに、すっかり魅せられた。しかし当時は物騒な世の中で、生糸を売って帰る山道で金銭目当ての強盗の被害にしばしばあった。そんな1859年10月11日、いつもの様に鑓水から橫浜へ馬の背に生糸をのせて、番頭見習いの梅吉18歳と手代の八十吉16歳が生糸を橫浜に売りに行った。


 そして帰って来るはずの10月13日になっても帰ってこなかった。たまらず大島正四郎が、翌10月14日、店の男たち5人で鑓水峠の山中を探しに行かせた。しばらくすると番頭頭の大島真三が、大きな声で、

「あそこの草むら、ちょっと不自然にもりあがってねえかと言った。」


「指さす方角には、険しい山道の一画で、落ち葉が、散らかっている後が見つかった。」

「もしやと思い一緒に来た男達が、草むらをかき分け、落ち葉をどけて見た。]

「すると梅吉と八十吉が腹を刺殺され、懐の銭入れがなくなっていた。」

「番頭頭の大島真三が、強盗の仕業に違いないと舌打ちした。」


 そして荷車に梅吉と八十吉の亡骸を載せて大島屋に運んだ。大島正四郎が店から出て来て、手を合わせ、その後、荼毘にふした。その後、大島屋の主人、大島正四郎が地元の親分に頼んで腕の立つ、お侍さんに、手間賃を出して橫浜までの商いの道中、同行してもらう契約を結んだ。やがて大島正四郎が、安田亀吉の商売上手なのを見抜いた。


 その後、1862年12歳から橫浜へ生糸を運ぶ時、一緒に行く様に言った。毎週の様に橫浜へ出て、生糸を売り1863年13歳で実際に生糸の売買をさせてみると高値で売れた。そして1862年、橫浜にできたばかりの原善三郎の亀屋にも売りに行く様になった。安田亀吉も14歳になり、いっぱしの生糸の販売員として価格交渉ができ、亀屋に出入りした。


 しかし、横浜生糸商人の中には、最初は、大成功しても、最後に不遇の最期を遂げるものや、生糸相場の激しい値動きで蓄えた富をはき出して、倒産する者いた。例えば、橫浜の生糸商人の先駆けと言われる中居屋重兵衛は、以前から諸藩と関係を持ち、開店直後から会津藩・上田藩などの藩領で生産された生糸を輸出していた。


 安政6年、1859年、日米修好通商条約締結に伴い、横浜が開港された事から幕府に強制的に移転させられた。しかし中居屋は、この機会に外国商人との日本で最高の品質と言われる上州生糸の貿易を半ば独占し、莫大な利益を上げた。


 横浜本町四丁目に建設した店は銅御殿「あかがねごてん」と呼ばれるほど拡大した。敷地面積は1200坪で、安政6年、1859年6月に開店した。幕府から営業停止を受けたのは、店の屋根を銅葺きにした中居屋の店の普請が、あまりに華美であったことが、幕府の怒りに触れた。


 また幕府の御用商人であった三井家の資料では中居屋には奥州・上州・甲州・信州・越後の糸商人が集まり、中居屋重兵衛が、当時、幕府から違法とされていた名義を借りして、外国商館に生糸を販売しており、その件が幕府に知れて営業停止命令の前々月に、中居屋の支配人が入牢させられた。


 しかし、彼は、水戸藩のシンパであり、時の大老・井伊直弼とは敵対関係にあった。そして文久元年。1861年8月2日死去。幕府の生糸輸出制限令違反で、捕縛された後に獄死したとも、麻疹により病死したとも言われた。


 亀屋の主人、原善三郎に、安田亀吉の名前が、覚えられ、可愛がられる様になり2年が経ち、1864年、したたかな原善三郎は、14歳の安田亀吉に、この店で働けと言った。その話を八王子・鑓水の大島屋に、帰った時、その話をした。

「亀吉が主人に話すと大喜びして、頑張って来いと送り出してくれた。」


 「原は、生糸の生産農家に大島屋が顔の利く所に良い条件を出し大量一括購入を開始。」

「亀吉も原から中間マージンをもらうため安田亀吉の全財産6百円を亀屋に投資した。」

「そして投資比率の分の利益をくれる様に交渉した。」

「原善三郎が、亀屋のために一生懸命働くと言う条件付きで許可してくれた。」

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