14話:安田商事、貿易業の再開
一方、安田商事では1945年10月5日になる、長男の安田勝一、52歳は、奥さんのハンナとイギリスのロンドンで三井物産・ロンドン支店と日本の織物と陶磁器の輸入販売をするために赴任し、安田商事ロンドン支店を立ち上げ5人の従業員を雇い貿易業で利益を稼ぎだした。同じ頃、次男の安田勝二・50歳はパリに奥さんのマリアと共に、移り住んで安田商事・パリ支店を設立した。
そして5人の社員を雇い三井物産パリ支店を通じて、日本の織物と陶磁器の輸入販売していった。その後、1950年代を迎えて戦後の復興から、景気が上向いてきて、安田商事は繁盛してきて、ロンドン支店では安田勝一の長男、安田正吉が学校を卒業して1940年、22歳でロンドン支店で働き出した。
一方、安田亀吉、亡き後、安田衣子と安田姫子がスイスから1945年6月にマルセイユに帰り、安田商事の近くに、家を借りて住み始めた。そして衣子が、安田姫子に、安田商事で事務の仕事したらと言い、帳簿管理と電話番を手伝い始め、その後、安田商事の社員となった。その後、そこに勤める米国人のジムと、仲良くなり、一緒に昼食をとり2人でデートして、急接近した。
すると、安田衣子が、この頃、嬉しそうな顔してるけど、良いことあったのかいと聞くと、笑いながら秘密と答えた。1946年4月になり、ついに、安田姫子は日曜日、安田衣子の所へ、恋人のジムとやってきて、お茶しながら、彼を紹介した。ジムは優しそうな顔で笑った。衣子も英語を話せるので、いつしか、ジムと意気投合して仲良くなり、彼の出身・大学地がマルセイユ大学とわかり、この地で生活することを決めた。
良く話を聞くと、彼は、ロサンゼルス出身で1942年からマルセイユ大学へ留学してフランス文学を勉強してアルバイトで週に3日、安田商事に勤め、英語の手紙を書いたり、英語の資料、パンフレットをつくる仕事を任されていたようだ。1945年8月9日、ヨーロッパの第二次世界大戦が終わりを告げ、平和が戻ってきた頃、安田姫子とジムが、近くの教会で結婚式を挙げた。
安田商事の仲間と近くの友達を呼んで、パーティーを開いた。その後、安田姫子とジムは、安田衣子のアパートの近くに引っ越して来て生活を始めた。朝食と夕食時には近くの安田衣子と一緒に食事をするようになった。そして1946年3月10日に長男トムを出産し1947年9月15日に次男リチャードが誕生した。
赤ちゃんが生まれてからは、安田衣子は頻繁に赤ちゃんを見に、姫子の家を訪ねてきて乳母車にのせて近くを散歩して歩いた。続いて1946年に次男の安田浩二も働き出した。次男、安田勝二の長男、安田竜男は1946年に、安田商事パリ支店に就職して働き出した。1946年には、次男の安田二郎も就職した。