11話:地中海へナポリ経由マルセイユへ
エジプトのポートサイドから4日かけてイタリアのナポリ港へ到着した。
「馬車で、登山電車の停留所に行き電車に乗り換え、電車は急カーブを徐々に昇った。」
「昇るにつれ景色が変化していき、やがて、晴れ渡り雲1つない晴天となった。」
「終点が近くなると急勾配になり、観光客たちは、皆、緊張してきた。」
「頂上に近づくと強烈な硫化水素の臭いが鼻をつくが、ベスビアス火山の頂上にたどり着いた。」
「頂上駅はベスビアス火山の一番外側で、煙だけしか見えない。」
「歩き出すと立ちこめる煙と泥、固まったいろんな形の火山岩がころがる山道を5分、歩いた。」
「その後、細道の橋に出た。その時、観光客が、あーと大きな声を上げ、自分の目を疑った。」
「その後、目の前にベスビアスの新噴火口の景色が飛び込んできた。」
「片方は切り立った断崖絶壁で、もう片方は溶岩が煮えたぎる巨大な火口である。」
「数分毎に地響きをあげて、鳴り響く、はらわたを揺さぶるぶすごい音が、響く。」
「その後に火柱が上がり、炎と噴煙を激しくを噴出する。」
「まるで大自然の猛り狂う様な音を聞き、観光客一同、ただ、わーという大声を連呼した。」
「こう言う自然の壮大な営みを見ていると我々人間のいかに無力たるか身にしみた。」
「この風景を見ていると神仏という自然の絶大なる力を感じざるを得なかった。」
「その後、ポンペイの町へ向かったが、現在も整然とした町並みであった。」
「昔、焼き尽くされて、全住民がなくなったにもかかわらず、性懲りもなく、普通の生活を営んでいるのが不思議な気がした。」
「中腹のレストランでスパゲッティの昼食をいただいたが、チーズがうまいのには感動した。」
「食後、日本でも有名な言葉・マカロニの語源となったマカロニー社を訪ねた。」
「工場見学でマカロニとは、日本の米の様な主食であり大量にこの工場で生産されていた。」
「帰りの車の中でもベスビアスの噴煙が立ち上るのが見えて恐怖を覚えた。」
その晩は、疲れたせいか、夕食後、すぐに床についてしまった。
「翌朝、あと1日で目的地、フランス、マルセイユ港に入港するので興奮した。」
「下船の支度を早めに開始、大きなカバンに忘れ物に気をつけ確認して荷物を詰め込んだ。」
「荷造りを終え甲板を散歩し長旅で知り合った仲間と旅の最終目的地が近いことを喜んだ。」
「その後、今までの旅の話題について長々と話をするうちに夕方になり自分の船室に戻った。」
「再度、安田亀吉は、同室の衣子と子供達に荷物の点検させ忘れ物のない事を再確認させた。」
「風呂に入り夕食を済ませ寝床に入ったが明日のマルセイユ到着に心が、はやり、か寝れない。」
「やがて12時過ぎにうつらうつらしていると夜が少しずつ明けてきてた。」
「やはり1月の朝は寒い。その後、1919年1月11日の昼頃にマルセイユ港に到着。」
「下船手続きを取り、30日の長旅も終了しいろんな思い出が、去来した。」
「港に降りたらMSホテルに電話し迎えを頼み、家族4人で、ホテルに入った。」