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天使様!俺を異世界転生させてくれ!

作者: ぽこ助

 なろうでは大人気の異世界転生ものを書いてみました。実は私異世界転生してチート能力持ってモテちゃう系の話あまり好みではないので、今回はそれらに対して敵対心剥き出して書いてみました。そういう系の異世界転生をこよなく愛する方々にはこれを読まず、すぐにブラウザバックからのお好きな転生物をお読みください。これを読んで気分が害されたという方についてはコメントで愚痴ってください。


俺の朝は早い。朝食は眠い中、パンと牛乳で軽く済ませる。朝はいつものように天気予報と今日の占いをしっかりと確認する。毎日の日課である。


「今日の天気は晴れ! 傘は要らないでしょう」


「さそり座の貴方! 今日は良いことないかも。 ラッキーアイテムは白いもの」


あてにもならないような占いだが俺は必ずそれに従う。なぜかって、それは一つしかないーー常に運気をあげるためだ。運気あげて俺の夢を叶えるんだ。


『いっけね、もうこんな時間』


青年はニュース番組に書いてある、8の数字を見て慌てた。直ぐに服を着替え、一通りの身支度を終え、玄関に向かった。


『鍵、財布、スマホ……』


玄関で最後の忘れ物がないかを確認した。


あっと青年はなにかを思い出したように、履きかけた靴を脱いでタンスのある寝室へと向かった。


『いっけね、白いもの身に着けなきゃいけないの忘れてた』


そう言って青年は白いハンカチをポケットに突っ込んだ。


『いってきまーす』


誰もいないマンションの一室からでた。


____________________________



『危ない、危ない』


青年は早朝のコンビニの前に立っていた。


「危ない、危ないじゃないだろうが!」


店長らしき男が怒鳴った。


『5分まけてくださいよ』


青年の願いは届かず、店長は何やら手元にある紙にメモをしたようだ。


「バイトの分際が、遅刻なんて。 それにこれで8回目だ!」


店長の怒りは頂点に達しているようだ。


『6回です』


青年は訂正した。


「8回も6回も変わらないわ! 反省の色が見えないお前はここには要らない。 帰れ」


店長の罵声に道行く人が見る。


『はい、わかりました』


青年は言い返すこともなくコンビニを去った。


____________________________



青年は公園のブランコに座っていた。


朝の道行くサラリーマンを横目に今後について考えていた。


『どーっすかな』


小さく呟き、近くの砂場にできた砂の山が崩れるのをずっと眺めていた。


『やっぱラッキーアイテム持っててもダメだこりゃ』


青年は自分の怠惰さを棚にあげ、運のせいにした。


『あぁ異世界転生してチート能力でもあればなぁ』


そう青年の夢とは異世界転生。高校時から異世界転生の小説を読み漁り、日頃常に運気あげなにかの間違えで転生しないかと模索しているのだ。転生すること前提ですべて物事を進めているため、何事にもやる気が起きない。将来についてなんて考えない。その結果が今の青年なのだ。


『転生したいからコンビニで働いみたけど、無理だったし、次は神さまの手違いで落雷落ちてくらって死のうかなあ!』


青年は訳の分からないことを大きな声で言った。


「おかーさん、あのお兄さんブランコで遊びながら、叫んでる」


無邪気な子供がはブランコに座る青年を指さして言った。


「しっ見ちゃ駄目よ。 さっ行きましょう」


親子はせっせと公園を後にしていた。


『あー言うの結構傷つくんだよなぁ』


青年は呟き、久しぶりに足蹴って、ブランコを揺らした。


丁度その時雨が降った。


雨粒はぽつぽつと青年のシャツに丸い模様を作った。


『天気予報まるっきりはずれてんじゃん。 やっぱ星座占いは当たるわ』


青年は沸々と自分の不幸さに嘆いた。


『ん?待てよ、落雷に打たれる可能性があるか。 ラッキーアイテムの効能すげぇ』


馬鹿な青年である。


そんな時だった。


きゃー


と女性の悲鳴声した。


『なんだ? 』


青年は公園を出て、大通りに飛び出した。するとそこには刃物を持った男がいた。通り魔だわ、通報してと言う声が後ろの通行人から聞こえた。


『通り魔? どっかで……あっ』


青年の中でなにかが詮索ワードとして頭の中でヒットしたのだろう。青年はなにも考えることなく通り魔のいる方向へと走った。通り魔の男も驚いただろう、本来恐れ慄くはずで、警察でもないただの青年がこちらへ笑顔で走ってくるのだから。


「おまっ、止まれ!おい、刺すぞ!」

『こんなチャンスないから嬉しいなぁ』


通り魔は気づいただろう、この青年の頭にネジがないことを。


ぶす


と刃物が肉に刺さる音がした。


『痛ってー』


自分の腹に手を抑えた。今まで感じたことのないような痛み。


「当たり前だろ、お前馬鹿か!」


通り魔の男は自ら刺さりに来る鳥狂った青年に恐れをなして走って逃走した。


腹からは赤い血が大量に流れていた。雨で血が辺りに流れた。そして容赦なく落雷が落ちた。


倒れた人に落雷が落ちるなんて、ほとんど有り得ないが、実際起こってしまった。彼の運によるものだろうか。不運と普通の者は思う。だが彼は違う。



青年はここで短い人生を終えた。


____________________________


青年は静かに目を開けた。

そこは事務所のような場所であった。


俺はどうやら変な場所で立っているようだ。

目の前には事務所椅子に座った一人の天使。

なぜ天使と思ったかと言えば、キラキラした装飾品と特徴的な頭の輪っかのあれだ。そうあれだ。それにこの世とは思えない美女であったのもあって天使なんだぁと思った。


「貴方は死んでしまいました。」


『はい!』


「……あの、なんでそんなに嬉しそうなのでしょうか? 」


天使は困惑した顔をして青年を見た。


『いや、本当にこんなことが起きるなんて……』


「えぇまぁ、皆さん大体そう言う感じの感想言いますけど」


俺はワクワクてしいた。ここなんて俺が読んだ小説みたいじゃないか。


はぁやっと異世界ライフか……。


「あの……」


『はい! 』


青年ははっきりとした声で、天使へ誠意を見せようとしている。


「にやけて気持ち悪いんですけど……」


天使は青年に対して腫れ物を見るかのように言う。


『すみません!』


この際、天使だろうが女神だろうか店長だろうが、罵倒されても別にいいや。……店長はやっぱ嫌だわ。


「なにか色々期待を膨らませているようですが……」


困惑した様子で天使は自分の羽を撫でながら言った。


『はい! 』


俺は天使様の顔を真っ直ぐに見た。整った容姿には照れそうになるが、今はそんなことより転生することの方が大事だ。


「まさかですけど……異世界転生されたいとか考えてません? 」


俺は驚いた。


まぁ図星だからいいんだけどれも。話が早くて助かるな。


『はい! ずっと異世界転生が夢で』


俺ははっきりとした口調で言った。こんな夢を他人に言ったことなどなかったが、今は自然と恥ずかしい夢を口に出せた。


「はぁ……あのねぇ馬鹿じゃないの?」


『はい、ありがとうございます……ふぇ?』


自分でも分かる変な声を出してしまった。当たり前に受け入れてくれるものだと思い、感謝してしまった。


『今なんて?』


聞き間違えの可能性を考慮して、聞き直した。


「異世界転生なんて馬鹿じゃないの?って言いました」


天使は一語一句間違えなく、先ほど言った発言を言い直した。


一瞬俺の頭はフリーズした。


『すみません、なにを仰られているのかわかりかねます』


急な敬語は青年の動揺を指している。


「わからないって本当に馬鹿なんですね」


小馬鹿にする顔は青年に少し苛立ちを生じさせた。


『いやいや、普通はここで異世界転生でしょ! 』


必死に答えた。


「いやいや、普通はってなんでしょうか? 」


天使は訳のわからないことを言う青年に質問した。


俺は困惑した。ここまで来てまさかの事態なのだ。


『せめてなにかお願いを聞いてくれるとか…… 』


どうにかしようかと、交渉をした。


「はぁ? なんですか? 」


呆れた顔をして天使はため息をついた。


『いや、その世のことわりというか、常識的に』


俺は小さく囁くことしかできなかった。よく考えれば、なんで死んだ人に対して神的な存在が、どこか異世界転生させたり、お願いを聞かなきゃいけないかわからない。


「だいたい貴方24年間なにもしてないでしょ? 努力してもいないやつが願い事叶えて欲しいってちょっと図々しくないと思いませんか? 」


至極当たり前のことを天使は言い放った。


『いや、異世界転生のために色々しました! 』


俺は言い返した。


「へぇ……例えば? 」


天使の興味深そうに聞こうとする顔になった。


『まず夜中にコンビニ行ったり、落雷を待ったり、トラクターに引かれそうなJKを探したり、居眠り運転のトラック探して、見つけた時ようにシミレショーンしたり…… 』


それ以降はなにも言わなかった。なぜなら天使様がお腹を抑えてうずくまっているからだ。


『だ、大丈夫ですか? 』


天使様を気にかけた。


「大丈夫ですかって? 私の方が貴方に大丈夫ですか?って聞きたいわ」


天使のうずくまっているのは笑っているからであることに気づいた。


「あはは、貴方ほんとの馬鹿ねぇ、笑いが止まらない」


天使は目に涙を浮かべながら、笑い続けた。


ほんとに天使か?


俺は天使の存在事態に疑いを持った。


「あのねぇ、貴方の行為で異世界いけたらみんな行ってますわ、あははは」


『あの、もう辞めてください。 傷つきます』


「やだね、こんな馬鹿な人この仕事を始めて初めてだわ 、クスクス」


つくづく人をイラつかせるのが得意な天使のようだ。


『それで、異世界転生できないのにここにいるのはなんでなんですか?』


俺は聞いた。


「そうね、貴方の今までの行いを振り返るのよ」


天使は少し笑いながらも言った。


『さっき言ったのでほとんどだけど……』


振り返れば何もない人生であったと改めて実感した。


「うわっ、可愛そうな人」


天使は哀れむような顔をして、手で口を覆った。


『うるさいなぁ』


少し泣きそうな声で言った。


ほんとになんなんだこの天使は?


しばらく自分はなんのために生きていたのか考えていた。


『異世界転生して、チート能力貰って、ハーレムしたかったなぁ』


考えていた間の沈黙を破るように俺は夢をつぶやいた。


「なにを急に、気持ち悪いです」


また腫れ物を見る顔だ。天使の毒舌は止まらなかった。


「大体にして、チート能力貰う以前に神様からの優遇とかありえないでしょ? 」


怒りを通り越して呆れているようだ。


『えっでも死んだから』


「大体そういう主人公無神教のニートだろ? なんでそんな無神教徒にチート能力あげるわけ? 馬鹿なの? 」


天使は煽るような顔をして俺に言った。


なんだか正論を言われ俺は萎えたが、なにか違和感を感じた。


『天使様、異世界転生系の読み物読んだことあるでしょ』


推理小説で名探偵が推理を明かした時のように追求した。


「えぇ、まぁ教養程度には……」


さっきまでの威勢と裏腹に少し恥ずかしそうに言った。


『なら話早い、異世界転生を! 』


キラキラした目で天使を見つめた。


「隙あらば、異世界転生を懇願するのって、馬鹿じゃないの? 」


恥ずかしがってた天使はまた元の人を小馬鹿にする態度へ戻った。



俺には異世界転生しかないんだ。なにがなんでも転生させてもらなきゃ困る。



「仮に異世界転生できても、貴方の妄想通りになんてならないわ」


天使は悟すように言い出した。


『……うるさいなぁ』


もう天使の言葉なんて聞きたくない。


「大体にしてなんで現実世界でモテやしない奴が異世界転生した瞬間からモテるようになるの? どういうシステム? 」


そんなこと御構い無しに天使は続けて言った。


『容姿とかチート能力とかあるから……』


異世界転生モノの小説を読んでそう思ったことを言った。


「はぁ? 容姿が変わればモテるのか? 」


天使は目を見開き、聞き返した。


『と思いますけどね』


それに答えた。


「いままでろくに経験ない童貞やろうが、女の子と会話できないでしょ? ぷぷぷ」


天使は口がこちらに見えないように、手で口を覆い笑っていた。


『言われてみれば、手も握った事ないような俺がいざ女の子いてもキョどるけど、そのチート能力を持ってるからそれで助けて惚れるから大丈夫』


天使の言い分に譲歩しつつも理想を言った。


「なにそれ」


天使は笑いを止め、冷たい声で言い捨てた。


「そんなんで簡単にモテるなら、現実でも……って言ってもクソ童貞くんにはわからないか」


天使の挑発は不快以外に何にでもなかった。


『まだだ、奴隷の女の子を買えば……』


俺は何冊かの小説にあったストーリーにある奴隷買収の話題をふった。


「はいはい、いつものね。 でもそれ逆に言えば、愛をお金で買ったようなものよ」


天使もあるあるのストーリーとして認識されているらしい。


『いや、そんなことない』


聞きづてならかったから、した。


「じゃ、お金ない状態で助けれるのね」


嫌味なことを言う。


『それをチート能力で・・・・・・』


小声で言った。言うしかなかった。


「結局自分の力じゃない、クスクス」


まるでこの返答を見透かしていたかのように笑った。


「これでも貴方異世界転生したい? 」


改めて俺に意思を聞いた。


『あ・・・・・・あぁそれでも俺は異世界転生したいんだ!』


なんだか異世界転生するのに躊躇いが出てきたが、まだ諦められない。


「どうしても異世界転生がしたいのよね」


また聞いた。何度も同じこと言わせないでと言いたかったが、ここで喧嘩しても何も得がない。


『あぁ』


低い声で言った。


『実は隠してたんだけど、私異世界転生させる能力あるの」


急に天使は小馬鹿にする態度を変えた。


『えっ! なんで隠してたの?』


突然の真実に俺は驚いた。


「いや、本当はしたらいけないのよ」


天使は髪をいじりながら、吐露した。


『なら、なんで……』


疑問を天使にぶつけた。


「貴方の気持ちに負けたの……」


天使が俺の目をまっすぐに見つめながら、指を咥えながら言った。


『えっじゃお願いします』


棚から牡丹餅、鴨とネギはこのことかと実感した。


「わかりましたわ」


優しい声が事務所を包んだ。


すんなり受け入れる天使様に違和感を感じたが、異世界転生させてくれるという言葉でその邪念を全て取り除いた。


「それでは異世界転生……の儀式始めます」


天使が一層天使に見えてきた。


『おう、来た、来た』


期待を膨らませ、俺は待っていた。


天使は事務所椅子の後ろから装飾の施された杖を取り出した。


「時空の空間、次元の空間、森羅万象のすべての主よ。愚かな我らに次元の転生の力を与え給え! 」


なにかの詠唱だろうか。天使の周りを光が包みこんだ。その光が限界まで輝いた時俺は転生した。異世界に……。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺は目を覚ました。

そこは事務所のような場所であった。


俺はどうやら変な場所で立っているようだ。

目の前には事務所椅子に座った一人の天使。

なぜ天使と思ったかと言えば、キラキラした装飾品と特徴的な頭の輪っかのあれだ。そうあれだ。それにこの世とは思えない美女であったのもあって天使なんだぁと思った。



『っておい! 』


俺は思わずツッコミをしてしまった。


「なんですか? 」


だるそうなに天使が返事をした。


『なんですか?じゃないわ。 これのどこが異世界転生なんだよ』


大声でこの現状に物申した。


「一応ここも異世界ですよ!? 」


天使は一言、言い放った。


『…………もう異世界転生いいです』








青年がこの後どうなったかは誰も知らない……。



 読書していただき誠にありがとうございました。偏見がかなりある作品で、読むのが辛かった方には申し訳ないです。単純にうざかったと思ったら、コメントでうざいと打ってください。

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