桜の願い4
椿の設定です。
多々良 椿
上級魔術師相当の力の持ち主。 赤髪に翠の目の持ち主。かなりの美人。
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しかし…
「椿は誰の弟子なんだ?」
それが一番気になるのだ。これほどの力、一体どうやって…そして、なぜここにきた?
椿は少し目を伏せて、
「亡き、エツ姫様の…」
「エツ姫?!」
予想外の言葉に俺は驚きの言葉を隠せなかった。
エツ姫は隣国、沙羅の国の統治者であった。統治者にふさわしく、かなりつよい魔術師であることで有名だった。そして、魔術師の師としても評価されていた。
姫というより70近い老婦人であったが…。
「椿は隣国から来たのか…まてよ、まさか、あの噂は本当なのか?」
椿が俺をじっとみる。あの噂…エツ姫は暗殺されたという噂だ。しばらく時間が流れ、椿は唇を噛み締めながら、「わからない…でも…エツ姫様が負けるはずは…」
とつぶやいた。エツ姫の死が椿を苦しめていた。そしておそらくだが、椿がここに来た理由。それは、エツ姫のことに関してであろう。
詳しくはわからないが…。
「じゃあ…そろそろ皆のとこへ戻りますか。」
椿はちらりと俺をみながらいった。
「おう。話聞かせてくれてありがとう。」
俺は優しく彼女の肩をたたいた。彼女は頷いて、
俺達はもう1つ奥の扉をひらいた。
魔術館は2つ部屋がある。1つめの部屋はデスクワーク、つまり依頼や報告書などを仕上げる場所だ。そしてもう1つの部屋は魔術をみんなで研究し高める場所で、おおきなへやに会議用の小さなテーブルが
1つあり、香をたく道具や術に使う札や服など、いろいろなものがおいてある。これは王から支給されるもので、質はよい。俺達は会議も話し合いも全て奥の部屋で行っていた。
「理太郎!遅い。ああ、多々良も遅い。今度遅れたら香を二度と支給しない。」
魔研のリーダー鈴原左衛門は2人を冷たく睨みつける。理太郎は会議を忘れることが多い。これは王の厚情を踏みにじり、税金を無駄づかいしているようなものだ。左衛門は苛立っていた。
「すまない、左衛門…」
「ごめんなさい…鈴原」
俺達は急いで席につく。香はとても高い。もし支給されなくなったら生活に大打撃である。
一番奥には左衛門が座り、まるいテーブルにメンバーが座っている。任務に出ているものもいて、俺と、椿を覗いて5人ほどしかいない。
「依頼を読み上げるぞ」
鈴原は俺を睨めつけながらいう。俺は肩を竦めた。
「国境の見回り人形の魔術がきれかけているらしい。村から通報があった。動きが止まっているようだ。これは理太郎、椿に任せる。」
左衛門が銀髪を物憂げにかく。
「俺は忙しい。頼んだぞ。あと、吉川達が遅いな。誰か助太刀してやれ。あと、王の誕生日が近い。それに必ず参加するように。あと意見のあるもの?」
鈴原はちらりと理太郎達をみやる。椿は鈴原にうなずき、理太郎は肩を竦めた。鈴原は仕事がたくさんある、それはわかっている。鈴原はそれを確認し…
「では、今日は解散」
とだけ言った。
理太郎が部屋を出ようとしたとき、
「理太郎。待て。」
と、鈴原がひきとめた。そして、袋を理太郎になげる。理太郎は両手でキャッチした。中には支給品がたんまりと入っている。
「あんぜんに帰ってこいよ」
鈴原のお決まり文句だ。
「ああ。ありがとう。」
そう言って鈴原をみつめると、すこし鈴原の目が柔らかくなる。
俺は急いで椿の元へと走る。椿は、門の前で理太郎を待っていた。
「何かいわれましたか?」
椿がこちらをうかがいながら訪ねた。
「支給品さ」
おれはふくろを掲げていう。椿はフッと息をつき、
「良かった。怒られたかと思いました。すこし怖い人ですね。」
とつぶやいた。俺は頭をかきながらいう。
「まあ、小言は言われなかったな。それと…左衛門は、頼れるやつなんだ。小言ばかりいうやつとは思わないでほしいんだ。」
俺は彼のために弁解する。