無装の俺⑥
「...なんだ。で、君はどうする?ジオン?」
鬼王ムメイから言われたことを略すとこの世界には現在合計30人の王がいる。
本当はもっと居たらしいが約半分をこの鬼王ムメイが長年の歳月をかけ始末した。
何も無差別に殺しているわけではなくこの世界に悪影響を及ぼすかどうかを判断して行動に移しているそうだ。
そもそも王自体がそれぞれ強大な力を持っているため沢山いればいるほどこの世界のバランスが狂い大災害が起きたりもするらしい。
しかし王が居なければ成り立たない部分もある。
だから選別をしているそうだ。
そして王には大まかに分けて三種類いる。
一つ目は特定のものを司る王。
例えばピアディスは絶望を司っている。
これらの王は自然現象や別の種族から異形に進化した場合に生まれる。
二つ目は種族や信念、場所を守っている王。
人王や魔王、法王、剣王はここに入る。
これらは代々引き継がれていくため複数存在することもある。
但し引き継いだ後の者は引き継ぐ前より力を落とす。
三つ目、と言っても3人の王しか居ないのだけどこの世界のバランスを取るためにいる王。
鬼王と独王と全王。
それぞれが役割を持ち鬼王は裁きを、独王は傍観を、全王は平穏となっている。
元は二つ目種族と場所を守る王しか居なかったらしいが時が経つにつれ、他の王が誕生したため神が鬼王、独王、全王を造ったとされるらしい。
そして神が心武を作った理由は人々を弱体化させるためらしい。
これはピアディスも言っていた。
そもそも、この世界の住人はあんまり強くは無かったらしい。
しかし続々と増える王のせいで世界全体の空気中の魔力の濃度が上がり王ではない人々も心核を得てしまうようになった。
そのせいで新しく種族や王が増えたりする悪循環が起きたため心武を作ったらしい。
そして心武が無いと身体が崩壊するというのはデマ情報らしい。
そうして鬼王ムメイが王を倒していたがある時に毒王と呼ばれる化け物と戦った時に何とか仕留めたものの毒爪で傷を負い近くに住んでいたピアディスに頼み自分の意志を継ぐ相手を探していたらしい。
で、見つかったのが俺らしい。
「別に断ってもいいよ。断ったら死ぬとかそういうのは無い。だけどもし、受けてくれるとなると君は人間ではいられないよ。」
ハハハ、人間ではいられない?
望むところだ。
復讐を成し遂げるためには人外にでもなってやろう。
そう、鬼にでも。