無装の俺⑤
「お主は周りと比べて魂と心核の繋がりが強いみたいじゃの。だから無理矢理に心核を引き離そうとしても失敗したのか。カカカ。正直誰でも良かったのじゃが当たりじゃったな。お主は周りよりも断然に強くなれるぞ。」
俺が強くなれるのか。
心武がなくとも。
「しかしな。それでは古の王には勝てんぞ。まぁ、でも剣王になら余裕で勝てる。そんな力がお主には秘められておるのじゃ。」
古代の王はどんだけ強いんだよ。
世間では剣王1人だけでも国一つ滅ぼせれれると言われているのに。
「じゃからのこうする。」
次の瞬間唐突にピアディスの腕が俺の胸に突き刺さる。
そして引き抜かれると同時に俺は身体から力が抜ける。
「お、おい。いきなり何すんだよ。ゴフッ。」
「なぁに、少しお主に強くなってもらおうとな。それにもう傷は塞がっとるぞ。」
「えっ?」
俺は先ほどピアディスに貫かれた胸をみると血が染みているが傷は見当たらない。
「お主に埋め込んだものはの。ある者の心核じゃ。儂の友人でもあり、その力は破壊王にも勝るとも劣らない力をもった男じゃ。その者の名はムメイ。平和の守護者とも言われた鬼王ムメイの心核じゃ。」
その瞬間俺の視界は真っ白になる。
だんだん視界がハッキリしてくると一つの人かけ影が見えてくる。
「やあ、初めまして。」
その黒髪黒目、そして額にある2本の大きな角、まさにその姿は鬼王ムメイだった。
「自己紹介でもしようか。僕の名前はムメイ。世間一般では鬼王と呼ばれているよ。」
鬼族、それは人とも魔族とも獣人族とも他の種族とも関わらない傍観者。
数は圧倒的に他と比べると少ないが個々が持つ力は圧倒的に強い。
その力は一人ずつなら最強の種族と名高い竜族ともタメを張れると言われている。
その種族の王であるムメイという人物はいったいどのような人物なのだろうか。
世間では平和の守護者、調停者、弱者の味方などと謳われていがこれらは人から聞いたものなのでここでは信用ならない。
「ところで君は?ここに来たってことはピアディスに会ったって事だろう。けどもここに託した僕が言うのはなんだけど地獄の狭間って言われるくらいの渓谷だよ?」
俺は自分の事とここに来た理由の親父のことやピアディスに言われたことを話すとムメイは
「そんなの事があったのか。そんな奴は親の責任ってのを知らないのか。しかもそいつが今は剣王なんて。しかし相変わらずピアディスは雑だね。まぁ、僕から直接言った方が良いからね。僕が言うことをよく聞いてくれ。そして判断してほしい。この僕の意志を継ぐかどうかを。実はね...」