『虎姫の野望?』
更新です。
「うふふ……」
楽しげに下界を見下ろす虎姫様。
どうやら、半兵衛(泰香)が無事に出産した様である。
「順調順調!」
「やれやれ、あなたもヒドイお方だ、なにもあの子を女にする必要は無かったんじゃないのかな?」
「え~何のことですか~?」
中途=リアルの非難がましい問いかけを、かるく無視する姫君。
「なにって、あの半兵衞さ」
「ああ、そのことでしたか? 仕方が無いんですよ。 『重虎』なんて諱を付けてましたから……」
「ま、まさか君は! ”虎”と名が付く者を……」
「えへへへ~っ、ご想像にお委せします」
冷や汗をながすリアルをよそに、虎姫様は下界に視線を落とした。
「まあ、竹中一族は、私の可愛い”喜助ちゃん”を殺しちゃったから、本当はその罰も受けてもらわないとダメなんですがねぇ~」
美しい容姿のわりに ”ニタリ”と、怖ろしいことをのたまう姫であった。
「しかしあの様子じゃ、お市の出る幕が無いね」
意外に日本史に詳しいリアルは、話題を必死に変えようとした……。
「おいち? 誰ですかそれ?」
「誰って、信長のいm ” グワシッ ” …to」
虎姫のアイアンクローが、リアルの発言を封じた。なにげに爪が出ているのがコワイ!
リアルの顔面に深々と爪が突き刺さっている。
「へ~そんな方が、戦国時代にいたのですね? 初耳です。リアルさん物知りですね」
「ははは、まあオタクのボクぐらい詳しくないと、誰も知らないだろうね…ははは…」
リアルは、生き延びるために必死で迎合した。
ヘタレというなかれ、彼は流し(下っ端)のKamiなのだから……。
流しのKamiのリアルが作った薄っぺらい世界とは違い、本当の女神が創り上げた世界は緻密である。
それこそ、現実世界との差が無いのである。
つまり、ある意味『本物の世界』であるのだ。
リアルがうっかり、ファンタジーな事をやらかしてしまったのは、ちょこっと昔の話である。
それ以来、彼は虎姫のパシリとして扱き使われながら暮らしている。
まあ、ここ数百年の話だが……。
虎姫が覗き見していたのは、『弱小浅井』の世界です。
どうやら虎姫様は、”お市の方”のことを、あまり好ましく思っておられないご様子である。
何故なのかはそのうち書くのだろうか?