『ファンタジー大閤談志伝Ⅵ』 その2
おひさしぶりです。
忘れておりませんよ。
先日、父上に主命を申し付けられた。
これはその続きのお話しである。
俺の護衛に次郎と言う若者が付いてくれた。
腕は立つらしいが、ただ、頭のほうは…はぁ~…俺が頑張るしかなさそうだ。
とりあえず、兵糧売却は無事に終わったので、それを元手に利殖を考えた。
まあ、いわゆる賭博である。
大負けするようならば、『賭博の潜入捜査』と称して店ごとぶっ潰してやるつもりだったのだが……。
昨日は、すごくツイていたらしい。
現在の成果は、以下のとおりである。
主命:兵糧売却、期間:2/60日、米:0/1000石 所持金:21340貫300文
『主命達成済み:21340貫』
かなり儲けた方だと思う。
ゲ-ムでなければ、無理だったろう。
「一旦屋敷に帰って一眠りしたら、また出掛けるぞ~」
「え~」
というわけで翌日、今度は小谷の外へ出て見ようと思う。
目指すは、観音寺城・石寺である。
俺としては日本初の楽市が見てみたい、出来れば小谷の大谷市場の参考にしたいものだ。
流石に半ば敵地である。次郎だけでは危ないからと、遠藤直経も付いてきた。
ピコン!
― 情報ウインドウ ―
主命:兵糧売却、期間:2/60日、米:0/1000石 所持金:21340貫300文
『主命達成済み:21340貫』
名前:浅井 (猿夜叉丸) 三九郎(斬九郞)10歳
身分:浅井家一族、無役
役職:若君、家事手伝い
内政:8
外交:6
軍事:6
魅力:8
特殊能力:ネゴシエーター
算術:10(max)
弁舌:8
礼法:6
うんうん、我ながらかなりいい線いっていると思う。
ちなみに直経は、……。
ピコン!
― 情報ウインドウ ―
名前:遠藤喜右衛門尉直経(24)♂(素人童貞)
身分:浅井家家臣、足軽大将
役職:若君近習
内政:?
外交:?
軍事:8
魅力:6
友好:8
特殊能力:??
武術:9
馬術:7
乱破:7
算術:5
弁舌:”頑張りましょう”
礼法:6
なんだか、このパラメーターは不親切である。見方がいまいちよく判らん。
(素人童貞ということは、一応一皮むけたのか?)
まあ、護衛には問題なさそうだ。
で肝心の次郎だが……。
ピコン!
― 情報ウインドウ ―
名前:次郎(?)??
身分:浅井家士官予定
役職:若君護衛
内政:?
外交:?
軍事:?
魅力:6
友好:7
特殊能力:??
武術:8
馬術:7
乱破:?
算術:”頑張りましょう”
弁舌:”頑張りましょう”
礼法:8
茶道:6
おおっ情報が閲覧できたぞ、やった~。
う~む意外に優秀だが、コイツは金儲けの主命にはまったく向いていないな。
まあ、護衛の役なのだから贅沢を言っても仕方がない、割り切ろう。
本当は荒稼ぎをしたいから、優秀な配下が欲しかった。
藤吉郎とか、半兵衛とかがよかったなあ。
「若! なにか?」
「いやっ、なんでもない何でもないぞ~次郎~」
おお怖っ、くわばらくわばら、怒らさないように注意しよう。
さあ、それでは出発しようか。
と、その前に俺は石寺で売れそうなものを仕入れた。
麹と青芋を3000貫分買った。
ピコン!
所持金:21340貫300文→ 18340貫300文
行き先を決定すると道に迷わないのでありがたい。
(さすがはゲーム仕様だ)
3000貫分の荷物も、何故か運べてしまうのが不思議である。
馬を使い高速移動した。
長閑な風景が拡がる、遠くの伊吹山が雄大な姿をしている。
初夏の風が、肌に心地いい……。
俺は、純粋に遠出のお出かけを楽しんでいた。
すると……。
「旦那旦那!」
髭面のいかにも怪しげな男が声をかけてきた。
「何だ?」
(おっ、もしかして闇商人か?)
「いいものが手には入りやした、見ますかい!」
思わせぶりな行商人である。
「面白い、話を聞こうか?」
「これでさあ」
行商人が出したのは、古びた書物十数点だった。
「フ~ム幾らだ?」
「全部で3000貫と言いたいところですが…」
「やめた!」
「えっ、ええ~」
「よく考えたら、別に欲しいわけでも無いし、高いよね?」
「大負けに負けて、1500貫でどうです」
「じゃあね~、お宝なら道中気をつけてね」
「そそんな~」
「正直10貫の価値もないと思うぞ!」
思いっきりカマをかけてやった。
「ええっ~」
何故か、盛大に驚く男。
「自分の持ち物なのに何を驚いている?」
「い、いえ別に…」
「さては盗品か?」
没収してやろうか?
「めっ滅相もございません」
「ならいいが、お金に困っていそうだし5貫で買ってやる」
「せめて10貫でお願いします」
「4貫だな」
「はい4貫で」
驚くほど素直である。
「で、どれほどまかる?」
「ひいっ」
失礼な、値段の交渉をするのは当たり前じゃないか。
3貫で、古びた書物十数点を手に入れた。
ピコン!
所持金:18340貫300文→ 18337貫300文
所持品:古びた書物16冊
行商人は力なく肩を落として帰って行った。
「何だか、後ろ姿が哀れですね」
次郎がしみじみと呟く。
「失敬だぞ次郎! 対価は払った」
(俺は本16冊に15~30万円近く払ったぞ、見ているだけのくせに失礼な奴だ。)
「しかし、…値切りすぎでは…」
「なら、次郎が払うのか、3000貫!」
「いえっ」
ぶるぶる顔を振る次郎、心なしか真剣だ。
「二人に頼んで奪い取っても良かったんだぞ。金を払うなんて優しいな俺」
「「イヤ流石に、それはないですぞ(よ)!」」
声をハモらす、直経と次郎であった。
「ふむ」
「いかがでありますか?」
「どうやら全て兵法書のようだ」
― 観音寺 ―
途中の寺で鑑定させた。
何故坊主が兵法書が判るか知らんが、この世界ではそういう決まりである。
気になる鑑定の結果は……。
本物でした。 (o´∀`o)
価格は不明だがそれなりのものであるらしい。
孫子の秘奥義の書とか呉子の秘奥義の書など胡散臭いものもあったが、本物で良かった。
これはよい買い物をした。
「あの行商人はイイ奴だったようだな」
「「……(行商人、哀れなヤツ)」」
後で読むとしよう。
― 石寺の町 ―
石寺の町に到着した。
馬を預け、ぶらりと散策した。
楽市の政策により、とても賑わっている様子である。
見知らぬ町だ、テンションが上がるなあ~。
次郎はキョロキョロしている。
直経は、六角の者を見るたびに人斬りみたいな目で殺気を纏って怖かった。
(よほど斬り殺したいのであろう)
直経を宥め、次郎の手を取りながら、市場を見て歩いた。
なかなか開放的な市場で、面白い話をたくさん聞かせて貰った。
ついでに直経の奢りで、饅頭を買って貰った。
「ふぉうむ、なかなかうまい」
「ですね」
甘さは超絶控えめではあるが、素材の風味を上手くいかしている。
なかなかの饅頭である。これは当たりを引いた。
俺達は、ご機嫌で探索を続けた。
座も残っているようだ。
ただ、勢いはずいぶんと削がれている様子である。多少さびれた感が出ている。
いろいろ値段を聞き回りながら、3000貫分の品物を4500貫で売り払った
《交渉場面は長くなるので、この際割愛しよう》
ピコン!
所持金:18337貫300文→22840貫300文
ようし、1500貫ほど儲けたぞ、この調子で頑張ろう。
俺はテンションが上がってしまった、何事にも全力をもって突き進むのが俺の信条である。
その後は、京・奈良を回りお茶・墨・その他特産品を転がして儲けた。
何度か賊に襲われることもあったが、直経と次郎が撃退してくれた。
途中からは、小谷からさらに人を呼び体制を強化した。
海北友松、渡辺右京が、俺の傘下に加わった。
以後は、賊のアジトを突き止め、逆にお宝を強奪してやった。
”ふはははっ”ボロイ商売ではないか。
(必要なら、小谷から軍勢を呼び寄せてやるからな。)
これが三週間ほどの俺達の活動の成果というわけだ。
ピコン!
主命:兵糧売却、期間:22/60日、米:0/1000石 所持金:232140貫600文
『主命達成済み:232140貫』
「よ~し仕上げだ」
俺は稼いだ金で南近江の米を買いあさった。
精米100石で100貫として、23万石ほど買える計算になる。
今の時期、在庫の米がなくなりかける頃合いである。
南近江にそれだけの米はあるまい。
ピコン!
主命:兵糧売却だってば、期間:23/60日、米:3万石/1000石 所持金:202140貫600文
所持品:古びた書物16冊
『主命達成済み:202140貫』
ピコン!
主命:おいコラ兵糧売却だ、期間:38/60日、米:10万石/1000石 所持金:132140貫450文
『主命達成済み:132140貫』
ピコン!
主命:だから兵糧売却だってば、期間:46/60日、米:17万石/1000石 所持金:82140貫160文
『主命達成済み:82140貫』
途中売買をくり返しながら、南近江の米相場を破綻寸前まで緩急をつけじわじわ追い込んでゆく。
密かに小谷・京・堺経由で買った米を売りさばき利鞘を稼いだ。
もちろん、他の手空きの者を呼び寄せ交易にも全力をつぎ込んだ。
ピコン!
主命:兵糧売却、期間:55/60日
米:4万石/1000石
所持金:556300貫200文
所持品:孫子の秘奥義の書、呉子の秘奥義の書、その他兵法書。
曲がった茶碗、重い太刀、古い具足。
『主命達成済み:556300貫』
― 観音寺城 ―
六角定頼が頭を抱えていた。
城下の米相場が高値に振れ、庶民に手に入らなくなりかけている。
備蓄の米を放出するしかないが、いざという時に困るのだ。
目端の利く奴が、密かに売っているのだろうが、戦の時どうするつもりか。
なんとしても米を集めなくてはならん、多少の損は覚悟の上だ。
この年、米の不作が噂され、大量の米が買い占められたようだ。
一部、金を払って米を前借りするという輩まで出始めた。
先物取り引きのさらに上をいく奇っ怪なシステムが出来てしまった。
それほど事態は深刻だったのである。
売り惜しみや、儲けを企み大量の在庫を抱えるものまで現れ経済が混乱した。
猿夜叉丸が転がした金は、20万貫そこそこであったが尻馬に乗って儲けようとした輩がそれを後追いしたため
経済への影響は遙かに大きかった。
― 小谷城 ―
「父上! 斬九郞ただいま戻りました。」
「おお、待ちかねたぞ」
「はい」
主命は、兵糧1000石の売却である。
通常であれば1000貫の所を、俺は3200貫という破格の買い取り価格で売却した。
手数料で1000貫貰うとして、2200貫を親父に渡した。
「おお、凄いでは無いか三九郎、でかしたお前は才能がありそうだ(喜)!」
親父は上機嫌だった。
「どうも」
『主命達成済み:554100貫』
これが俺のバイト代であった。
直経と次郎にそれぞれ200貫(1千~2千万円ほど)
友松と右京に100貫ずつ分け前を渡した。
ピコン!
『所持金:553500貫200文』
さて、何に使おうかな?
書いているうちに、無性に『太閤談志伝』をヤリたくなりました。
エロゲ仕様の『太閤談志伝 R-18』って、無いですかね?