『ファンタジー大閤談志伝Ⅵ』
どうも、猿夜叉丸5歳です!
私を見捨てない、心優しき読者の皆様に送ります。
知ってるようで知らない天井だ!
「猿夜叉○様!!」
美幼女に抱きつかれた~w、心の何を押さえながら、彼女を抱きとめた。
(「心の何」といえば聞こえは良いが、「心のナニ」というといかがわしい)
まわりを見渡すと……、みんなの心配そうな顔が見える。
よくは分からないが、俺は数日間ネコんでいたらしい。
(そういや、俺ってねこ丸?……)
慌てて頭を触るが、触れるのは髪の毛だけだ、『猫耳』はなかった。
『しっぽだけある』という事もなく、普通に人間の子 『猿夜叉丸』だった。
俺の仕草を不思議そうに眺めているお雪も、人間型(♀)だ。
……(^_^;)…そうか、アレは夢だったのか?
俺が目覚めたと聞いて、慌てて誰かが飛び込んできた。
血相を変えた二人の侍だ、なにそれコワイ。
(うわっびっくりした、だれだよ~っ。)
ピコン!
― 情報ウインドウ ―
『傅役:雨森弥左衛門秋貞、(33)♂』
『近習:遠藤喜右衛門尉直経、(19)♂(童貞)』
おおっ、情報ウインドウが開いた。
凄い!シンプルすぎてファンタジー色ゼロだ。
(情報内容は、さらに夢がないぞ~。)
興味本位で『遠藤』の情報を覗く
『名前:遠藤喜右衛門尉直経
身分:浅井家家臣、足軽大将
役職:若君近習
魅力:6
友好:7
特殊能力:? 』
おおっ、ゲ-ムっぽいなあ~(感心)。
というわけで、いきなりだが家臣団を紹介しよう。
傅役:雨森弥左衛門秋貞
近習:遠藤喜右衛門尉直経
小姓:弥太郎(弥左衛門長男)
乳母:お梅(弥左衛門夫人)
お雪:(弥左衛門長女)
下男、喜八郎、熊五郎
下女、おせん
俺の、初期家臣団が出来上がった。
何だか良く判らんが、ワクワクするぜ!!
『よーしゲーム開始だ!』
と思ったら、……
爺に言われた。
「若!元服するまでは鍛錬ですじゃ」
元服しないと、評定に参加できないらしい。
評定に参加できないと言うことは…
戦闘はもちろん、内政の参加も不可であるらしい…Orz。
仕方がないので、爺と直経に育成をして貰っている。
技能習得をせねばなるまい。
あれから数年、俺は技能習得を頑張った!!
― 情報ウインドウ ―
名前:浅井 猿夜叉丸(笑)
身分:浅井家一族、無役
役職:若君
内政:8
外交:6
軍事:6
魅力:8
友好:9
特殊能力:?
― とある日のことである―
俺(猿夜叉丸)は、父に呼ばれ天下の名城(自称)『小谷城』へ登城した。
険しい山道をヒイコラと登ることしばし…ようやくの到着である。
流石、「登るのが面倒くさいから」という情けない理由で『六角さん』の軍勢を追い返しただけのことはある。
まあ、とにかく琵琶湖が見える眺望は最高だ。
「父上!猿夜叉丸に御座います」
「おおよく来たサルしゃしゃ(イタッ)」
(なんとも呼びづらい名前を付けたものかのう)
「父上?」
(まさか、息子の名前を噛んだ?)
「おお、そうじゃ、お前もそろそろ大人になるのじゃから、これからは『新九郎』と名乗るが良い!」
(その方が呼びやすいわい。)
「新九郎ですか~?判りました、ご遠慮いたします!」
「(ドテッ)なんでじゃ~」
「いや、マジでダサいです!」
「じゃあ、おまけして『新三郎』はどうじゃ!」
「それって違いがあるんですか?(ジトッ)」 (-.-)―
「新三郎の方が本家筋の名称じゃ!」 (;¬_¬)
「何です?その手抜き!」 (>_<)
「判った判った、皆までいうな!よいよい、それではとっておき…ざんくろう(三九郎)じゃ!」
(合体わざじゃ!)
「斬九郞ですか!? 父上にしては良いネーミングです、それにします」
「よし、名前も決まったところで、仕事じゃ!」
「え、成人のお祝いじゃないんですか?」
「馬鹿者!どこの世界に10で成人させる親がいるか?」
「……」
「まあ良い、三九郎も早く大人になりたいのじゃな?」
「……」
「主命を申しつける!」
「……zZ」
「な、寝るな!」
「すいむふぁせん」
「寝起きじゃ~!」
「冗談です!主命とは何でしょう?」
「うむ、兵糧売却じゃ!!」
「うわっ、テンプレ?」
「何じゃ?」
「いいえ、何でもありません!」
「よし!では、護衛の者を付けるゆえ、詳しい話はそいつから聞くが良い」
「ははっ」
― とある若侍 ―
「お初にお目にかかります。『次郎』とお呼びください」
「うん、次郎、よろしくね~!」
「ははっ、誠心誠意お仕えいたします」
(よし次郎のステータスを見て見よう……)
ピコン!
― 情報ウインドウ ―
『護衛:次郎(?)??』
なぬ?これだけ?
知っている情報以外は表示しないのか?ポンコツめ。
なんの役にもたたんではないか?
「何をしておいでです?」
怪訝そうに俺を見詰める次郎。
「イヤ別に、」
(あせった~、怒らすとヤバそう~話題をそらそう!)
「あのさあ~次郎!主命の内容を教えて欲しいな~」
「そうですね。コホン、では、今回の主命は兵糧の売却です!
米屋に兵糧を売ればそれでOKです。今回は、小谷城下ですからお手軽です」
「それでイイの?」
「イイんです」
胸を張る次郎
「相場とかは関係ないのか?」
「若君はご存じでしたか、流石です。もちろん、町や店ごとに相場というモノがございます」
「相場の高い方へ売った方がいいのかな?」
「左様です、ただ相場というモノは、……」
「町ごとに違うのかな?」
「よくご存じで、店ごと、次期によっても異なります!」
(尊敬のまなざしで次郎が、こちらを見る)
「今は、五月か?それなりに高く売れそうだ~」
「えっ、相場はその都度、店に尋ねないとなりませんよ?」
「そうなの?」
「しかも、そう簡単には教えてくれません、向こうも『商い』ですから……」
(あれっ、次郎の顔色が悪いぞ?)
「どうしたの?」
「いえ、普段遣わないおたまを使ったモノですから……」
「大丈夫かよ」
(おたまじゃない、頭だよ!)
「ご心配には及びません、某、丈夫なのだけが取り柄であります!」
「……とりあえず小谷城下へ行こう」
「ははっ」
― 小谷城城下 ―
意気揚々と小谷城下へとやって来た。
(米屋こめや~っと、大谷市場を見てみよう!なんといってもここがメインだ。)
物珍しげにきょろきょろ町を散策する、俺である。
(普段、城下には来ないからな……。)
― 米屋 『近江屋』 ―
おっ、あったあった。
「ごめんくださ~い」
「うちは、米屋だよ、スマンが”ごめん”は取り扱っておらん」
「何とベタな?」
(うれしい、反応だ!)
「若、強敵ですぞ、相場を聞くなど無理で御座る」
ハンカチを懐から取り出して、かいてもいない汗をぬぐう次郎。
「おっちゃん!米1石どれくらいで買ってくれる?」
米商人は難しい顔をした。
「う~ん、精米100石で100貫です」
「凄いです若、奇跡です!奇跡がおこりました~」
嬉しそうに俺に抱きつき、肩をたたいて祝福してくれた。
(大袈裟すぎるわっ、はじめてのお使いかよっ!)
「わかった、じゃあ200石ならいくらになる?」
商人は暫く考えると
「200石ならおまけして205貫でどうだい」
「もう一声!(関西人の血が疼くぜ)」
「むむむ、本当はダメなんだが、はじめてのお客だし208貫でいいよ。」
「中途半端だな~ぁ、キリよくしてよ、220貫」
「くっ、じゃあ210貫で」
「230貫!!」
「225貫」
「240貫ドンドンいっちゃうよ~おじさん、浅井の若君を舐めないで~」
「(わっ若君?)え、(チラッ)」
次郎をチラ見する米屋
「…(コクリ)…」
無言で頷く次郎
「わっわかりました、250貫で手を打ちましょう」
全身に冷や汗をだらだらと流す親父
「ラッキ~、やったぞ次郎!!」
(次郎が灰になっている)
次郎が持っていた米200石の証書を手渡し…
「それで、相場は100石125貫でイイとして、最終的にはいくら位になるのかな~」
「ヒイッ!」
手に入れたお金は、270貫でした。
ピコン!
― 情報ウインドウ ―
主命:兵糧売却、期間:1/60日、米:800/1000石 所持金:270貫500文
『主命達成済み:270貫』
名前:浅井 (猿夜叉丸) 三九郎(斬九郞)10歳
身分:浅井家一族、無役
役職:若君、家事手伝い
内政:8
外交:6
軍事:6
魅力:8
友好:9
特殊能力:ネゴシエーター
算術:10(max)
弁舌:8
礼法:6
こうして、小谷城下を荒らし回った。
被害を受けた米屋は、5軒だった……。
ピコン!
― 情報ウインドウ ―
主命:兵糧売却、期間:1/60日、米:0/1000石 所持金:3200貫800文
『主命達成済み:3200貫』
夕方、そろそろ日が沈む。
次郎は、生きる屍と化している。
(やれやれ、次郎は脳筋だな?)
軍資金も一杯だし…『とある酒場』に行き、すこし楽しい思いをしよう。
「えへへぇ~」
― 『とある酒場』 ―
「とりあえず、一杯引っかけるとしよう!」
(お茶だよ!)
次郎もおとなしくお茶をすすっている。
「あら、お客さん!見ない顔だね、『とある酒場』でお茶とは、よい度胸しているじゃないか?」
気っ風の良いお姉さんが、俺達に声をかける。
「うふふふっ」
いいね、そそるね、結構いいじゃん。
(まあ、むこうが見てるのは次郎の方だけれど……、)
「いや、子供に酒を勧める方が度胸あるよ、お姉さん」
(Dか?)
「それもそうだけれど…お客さん何しに来たの?」
俺の方が答えたのが意外だったのか、キョトンとする姿が意外に愛らしい。
「これよコレ!!」
お金の証書をチラつかせる
「ああ~なるほど~、それじゃあ、ごゆっくり~」
― 次の日 ―
「ふぁぁ~、もう朝かあ~」
「……」
「勝手にあんなことをしたから、怒っているのか?」
「別に……」
「次郎シャキッとしろ!朝帰りだとバレるぞ!!」
「くっ、判りました、若様」
僕ちゃんチンチロリンでさらに儲けました。
主命:兵糧売却、期間:2/60日、米:0/1000石 所持金:21340貫300文
『主命達成済み:21340貫』
「一旦屋敷に帰って一眠りしたら出掛けるぞ~」
「え~」
小谷の風紀は、こうしてよくなりました。
とりあえず. ― Fin ―
読んでくださって有り難うございました。
難産でした…。
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本編も鋭意創作中です。