六話 モップの再臨
月明かりが夜を照らす。
王国から少し離れた湖の上を、精霊達に力を借りて歩いていく。
歩くごとに、風の吹いていない湖に波紋が広がる。
しろは湖の上を走り回っている。
今回この湖に来たのには理由がある。
精霊達の力を、どのくらい借りることが出来るかだ。
危険かもしれないので、人も居ない夜の湖に来た。
さて、しろ、下がって。
念のために、湖から出てて。
「クウォン」
しろ、大丈夫、危ないことはしないから。
しろに下がってもらって、湖の精霊達に力を貸してもらう。
湖に一つの大きな水柱があがった。
二つ目の水柱、三つ目、四つ。
水柱の数を増やしていく。
もう無理だと精霊達から伝わったのは八つ目だった。
すぐに柱を作らせるのを止めさせる。
柱が崩れ周りに水しぶきが周りに飛び散る。
あれ、しろは?
「クゥン」
後ろを見ると白がモップになっていた。
すぐに近づき、精霊達に力を借り、しろを乾かす。
ごめん。
「おやおやお嬢さん、こんな暗い夜の湖に何の用ですか」
振り返ると、目の前に骸骨が立っていた。
私は若干パニックに陥りながら考える。
もともと湖の周りには、魔物は居ないはず、精霊達が確認してくれた。
「そんな敵意に満ちた目でワタクシを見ないでください、こちらに害意はありません」
いや明らかに怪しいし。
「うっ、痛いところをつかれました」
とりあえず、能力が効いて、意思が伝わるらしい。
話聞いてみよう。
あなたは、どこから来た?
「私は、知らないうちにここに居ました」
名前は何?
「無いです」
じゃあ骨で。
「それ以外は、ありますでしょうか」
ボーン。
骨皮。
好きなのを選べ。
「それ以外は・・・」
無い。
「全部骨じゃないですか」
いや、お前骨しか無いでしょ。
「・・・確かにそうですけど・・・ありました見てくださいこの目」
骸骨の目が赤く点滅しだす。
凄くダサい。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「分かりました、ボーンでお願いします」
骨、これからよろしく。