表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

四話 赤い目の骸骨

 動く骸骨を見つけてしまった。

 暗くて遠くてよく見えないが、あいつが執事が言っていた魔物だろう。

 兵たちは、探索者達は何をしているのだろうか、もしかしたらこの骸骨以外にもいて、それに取り掛かっているのかもしれない。

 とにかく、逃げよう。

 しろ、逃げるよ。

 しろとともに音を立てないように下がっていく。

「助けて」

 今にも折れてしまいそうな声が聞こえた。

 骸骨の後ろには腰が抜けたように座り込んでいる少年がいた。

 骸骨はその少年に、近づいていく。

 

「助けて、おねーちゃん」

 

 骸骨がこちらを向いた。

 吸い込まれそうな赤い目が見えた。


「ガルゥ」

 乗れ、しろがそう言った気がした。

 しろに乗るのと同時に、骸骨はすごい勢いで、こちらに向かって赤い目をひからせ走って来た。


 街灯の無い細い道をしろは、風を切る速度で走る。

 うそでしょ。

 しろはすごい速さで走っている、だが、骸骨はそれの上を行くらしい。

 差が少しずつ縮まっていく。

 

 あの骸骨には勝てない。

 リアは直感でそう感じた。


 探索ギルドに飛び込もう、擦り付けれるかもしれない。

 割と悪い考えでしろに道を変えてもらう。

 しかしこのままでは捕まる。

 

 精霊に頼むか。

 大地の精霊たちよ。

 

 地面が盛り上がり壁が出来た。

 骸骨の姿が壁で見えなくなった。

 こんなものでは止められないだろう。

 

 骸骨が壁を、人外の跳躍で飛び越す。

 

 風の精霊たちよ。

 

 空中にいた骸骨が、横に凄いスピードで吹き飛ぶ。 

 

 さすがに、これは効いてほしい。

 

「trooooooru]

 後ろで骨のこすれるような声がした。

 

 しろ、あれ無理だ、探索ギルドに飛び込むよ、それまでいける?

「ワン」

 しろ、それは、犬だ。

 まあ何とかいけるか。


 大通りに飛び出る。

 人がたくさんいる、擦り付けられるかもしれない、いや無理だろう、魔物は魔力の多い者を狙うはず。

 

 屋台を踏み潰し、時に店の中を、屋根の上を不規則に走っていく。


 骸骨は人を飛ばし、赤い目に殺意を浮かばせ、真っ直ぐ矢のように走って来る。

 

 あそこだ、しろッ、つっこめ!。

 

 木の壁を体当たりで壊し、カウンターの後ろにすぐさま隠れる。

 探索者たちは何事かと武器を取った、次に来た骸骨を見てすぐさま戦闘態勢に入る。

「おうおう、何事だ」

「どうやら、少々厄介そうですね」

 探索者たちが口々に言う。


 骸骨は、大柄な男を標的に、一瞬にして距離を詰める。

 大柄の男は剣を横に振る。

 骸骨はそれを紙一重で避け、大柄の男の腰に刺してあったナイフを抜き取る。

「くそッ、マジかッ」

 

 近距離で戦う骸骨達に、魔法使い達はなかなか手を出せない。

「下がれ、一撃で終わらせる」

「わーってる、だがこいつ異様にすばしこい」

 骸骨は、振られた剣をかがむように避け、突き出された槍をナイフで横にはじき、ハンマーを当たりそうなギリギリで避け続ける。

「おい、こいつやベーぞ」

「強化魔法願うッ」

「今やってる!」

 骸骨は反転して、強化魔法のために詠唱中の魔法使い達に向かう。


 前衛役が壁になるが、その間をすり抜けるようにして骸骨は進む。

 骸骨にテーブルが投げつけられた。

 骸骨は、地面につきそうなほどになりながら下に避けた。

 骸骨が見上げるとそこには、大量の魔方陣が囲むようにあった。

 最後のあがきと骸骨はナイフを投げた。

 魔方陣から魔法が出るのと、ナイフがカウンターを貫通して、リアの横に刺さるのはほぼ同時だった。

 

 






 





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ