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二話 家族と子としろ
電灯もなく星の明かりだけの夜の森。
横に白い小さな狼を従え。
切り株に腰を下ろしリアは考える。
家族を家族と思えない、前世の記憶のせいかどこか他人の様に感じてしまう。
それは転生してからずっと続いている。
心配して泣いている姿も同情はした、だがこうしてまた屋敷を抜け出している。
抜け出すのはどことなく居ずらさを感じるためかも知れない。
能力はそこまでカバーできないらしい。
狼が心配して鼻を近づけて来る。
そうだ、こいつの名前を決めていない。
お前、何がいい?
「ガルウゥ」
分からないみたいだし、しろでいいか。
「おい、しろ」
意味が通じてないらしい。
しろが首をかしげる。
「お前の事だ、しろ」
「ワン」
しろ、それ犬じゃないか。
いつ振りだろうか、言葉を使ったのは。
さて、お腹がすいた。
もう帰ろうか、しろ。