九話 黒い青年
魔法学校に入学することになった。
持ち物を買うために、商店が立ち並ぶ大通りにきている。
いつものように大通りは混んでいる、なので今私としろは屋根の上を歩いている。
骨は屋敷で、留守番だ。
買う物は、魔道書初級1、2、3、と、術式書と、ノートか。
ねえ、しろ、魔道書売ってる店どこにあったっけ。
「ワン」
分かったそこの屋根を右に曲がったところか。
ねえ、本当にここであってたっけ。
私の目の前には、古く今にも壊れそうな店があった。
看板にうっすらと魔道店と書かれている。
しろ、待って。
しろが勝手に、店の中に入っていく。
店に入ると、おばあさんが出迎えてくれた。
「いらっしゃい、なにをお探しですか?」
しろと魔道書を。
しろ、何してるの。
しろは店の中にいた黒髪黒目で黒いコートを着た青年に撫でられていた。
「うちの子が世話になっているようだな」
黒ずくめの青年が言った。
うちの子って、しろのことですか。
「そうだ、母親のにおいに反応したんだろう」
青年が言った。
それじゃあ、知ってるんですね、しろの母親のこと。
「知っている、こいつは預けよう」
青年が立ち上がり、店を出る前に一言。
「ああそうだ、次空の穴に気をつけた方がいい」
ちょっと待ってください。
青年が消えた、目の前に居たはずなのに。
しろはわけが分からないと首をひねっている。
魔法なら相当高位の魔法だろう、その前に転移魔法なんてこの世界にあっただろうか、次空の穴とはなんだろうか。
思考の海に沈んでいるとおばあさんから声がかけられた。
「お持ちしました、これで間違いないですか」
・・・はい、ありがとうごさいます。
魔法学校に必要なものを買った。
今日はなぞが増えた一日だった。