第4話 再会
どうなるのか。
男はナイフを抜いて喫茶店から出て行った。
僕は静かに気を失った。
気が付くと白い壁が真上に広がっている。
僕は生きていた。何故だ。明らかに刺されたのに。
「大丈夫?」
聞き覚えの無い声が聞こえた。
目の前には茶髪で綺麗な眼をした女の子の顔。
僕の頬が紅く染まる。一体この女の子は誰なのだろう。
「胸ポケットにコレが入ってて助かったんだよ」
彼女が僕にシルバーのネックレスを見せた。
そのネックレスは父さんに勘当されて家を飛び出した兄さんの形見だ。
兄さんはとんでもない不良で、少年院にも2、3回入院した経験がある程だった。
学校に火を着けたり、警察官に向けてモデルガンを撃ったりしていた。
だけど僕には優しかった。
そして仲間や彼女を大切にする良い人だった。
今は生きているのか死んでいるのかも分からない。
僕は彼女からネックレスを受けとると、グッと握りしめた。僕は彼女に聞いた。
「君は誰なの……」
彼女は笑顔で答えた。
「私は中野梓、孝治君だよね?覚えてない?昔遊んだ事あるんだけど」
全然見覚えがない。僕が素直にそう言うと彼女が僕の顔に近づいて言った。
「孝治君…私と結婚するってきかなかったんだよ…」
全然覚えてない。
中野梓…。誰だっただろうか。僕は懸命に思い出そうとしたが分からなかった。
「まだ分からない?小さい時良く遊んだよ。私その頃眼鏡かけててさ」
思い出した。
中野梓、僕が小さい頃遊んで貰ってた四歳年上のお姉ちゃんだ。
その頃の彼女は眼鏡をかけてて、地味な洋服に黒髪で、大人しかったけど優しくていつも遊んでくれていたんだ。
こんなに変わるとは。人間て分からないものだ。
「何かあったかい物持ってくるね」
そう言うと彼女は何処かに行ってしまった。
天井しか見て居なかったのでここはてっきり病院の個室だと思いこんでいた。
だけど良く周りを見渡すとテレビもCDラックもある。
壁には知らない歌手のポスターが貼ってある。
どう考えても彼女の部屋だ。
女一人の力であの喫茶店から運びだしてここまで連れてきてくれたのだろうか…。
しかしそれには無理が有りすぎる気がした。
彼女が戻ってきた。僕は疑問に思った事を彼女に言った。彼女は
「ここがその喫茶店なんだよ。私ここで働いてるんだ。」
僕は驚いた。
僕はあの男の事について知っていないか彼女に問掛けた。
すると彼女は少し間を置いて話し始めた。
「アイツは私の元旦那で隆治って言うんだ。子供できたから16でアイツと籍入れたんだけどうまく行かなくて去年別れたの…」
愕然とした。
梓の謎が次回明らかに。孝治はどうするのか。




