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私の名前は梶原由香という。
会社の後輩社員に属する人間だ。
私の一つ年上の男性に恋をしている。
名前は住山達也さん。
私の担当の先輩だ。
だけど住山達也さんには奥さんが居る。
まあでも住山達也さんの奥さんが浮気していて実のところ家庭環境が崩壊しているから私の恋は浮気にならないのだけど。
むしろ略奪にもならない。
そう考えている。
私は薄ら笑いを浮かべながらただただ深く愛している人の献立を考える。
いつか先輩と本物の家庭を持ちたい。
先輩とあくまで一緒になりたい。
考えながら私は鼻歌交じりに料理を作りながら味見をしたりする。
どうしたら先輩に喜んでもらえるだろうか。
そんな感じで考えながら私は料理本を見ながら調理する。
こんなに楽しい時間は久しぶりだ。
先輩が結婚すると言ったあの時。
私は後悔の気持ちが襲ってきてただただ絶望だった。
本当に悲しかった。
だけどそんな思いは二度としない。
後悔の片想いにはさよならだ。
私はこれからは絶対に後悔しない人生を生きる。
「うーん。よし。仕上がったかな。明日作れるかな」
そんな想いを馳せながら私は空を見上げる。
それから心臓を高鳴らせてからニコッとしながら弁当箱のメニューを考えていく。
☆
この状況は...どうするべきか。
そう考えながら俺は汗を流す。
どういう状況かというと。
簡単にいえば墨田さんが俺を押し倒している。
「墨田さん。流石に倫理的にマズイ。はな、離してくれるか?」
「えへ。せっかくこうして捕まえています。今日は帰しません」
それから墨田さんはニヤッとしてから服を脱ぎ始める。
上着を脱ぎ始めた...マズイ。
これ絶対マズイ!
そう考えながら俺は慌ててから立ち上がる。
「逃げないで。やりましょう。せっかくこうして居ますし」
「墨田さん。俺が好きなのはありがたい。だが俺はあくまで妻が居る」
「でも住山さんのその関係性は破綻していますよね?」
「...確かにな。だが...」
「一晩の過ちにしませんか?」
彼女はそう言いながら下着姿になる。
俺の下半身がオーバーヒートし始めた。
その大きな胸に唾を飲み込む。
それから彼女は両サイドからその胸を揉む。
「...」
彼女が近付い来て屈む。
それから俺のズボンを下ろそうとする。
俺は「ま、待て。まだ早いから」と慌てながら俺は居ると墨田さんは舌舐めずりをした。
「早いとは?」
「だからこういう事をするには早いんだ」
「本当に不思議な人ですね。住山さんは。実は私、処女ですけど結構濡れてますよ」
「...」
それはまあ大変...だろうけど。
俺は考えながら彼女を見る。
彼女はだんだんと迫って来た。
そして。
すると電話が鳴り響いた。
「で、電話が鳴ってんぞ」
「友人ですね」
「出た方が良いんじゃ」
「そうですね」
それから墨田さんは俺から離れてスマホの画面を見る。
そして眉を顰める。
俺は「?」を浮かべながら墨田さんを見る。
墨田さんは「...すいません。やる気が失せました」と言いながらスマホを閉じる。
「...本当にすいません」
「い、いやまあ。そういう事もあるだろ」
惜しかったのかなんなのか分からない。
だけど今はこれで良いんじゃなかろうか?
そう考えながら墨田さんを見る。
複雑な顔をしたままだ。
どうしたのだろうか。
「墨田さん。どうしたんだ?」
「...いや。すいません。...さっきまでリードだったんですけど慰められてますね」
そう話しながら墨田さんは沈黙する。
俺は突然の事に「悪い事はしない。話してくれないか?」と尋ねる。
すると墨田さんは「...分かりました」と返事をしてからポツポツと話し始めた。
それは墨田さんは父親、母親の呪縛が解かれてないなどの話だった。
墨田さんを見つめる。
「私の事を人形だと思っている様なんですけど...最悪ですね。本当に...」
俺は墨田さんに上着を被せる。
それから頬を掻きつつ「おっさんで返事が下手だけど相談には乗るよ」と話した。
そして俺は墨田さんに笑みを浮かべる。
「母親や父親に道具みたいに扱われるのか?」
「...お父さんは実の娘の私に手を出した変態です」
そう言いながら墨田さんは「お父さんはそれで一回捕まりました。それから...別居しています。母親は元から私にはキツく当たるタイプでしたけど本当にストレスですね」と言う。
しかし何故父親が出るのだ?
考えながら「墨田さん。父親はどうして出てくるんだ?」と聞いてみる。
すると墨田さんは「...それは簡単です。母親は父親に媚を売りに行っているからです」と返事をした。
なんだかよく分からないが...複雑なんだな...。
「そんな時に出会ったのが住山さんでした」
「ああ。俺だった訳だな」
「...私、貴方に色々と助けられました。感謝しかありません」
「...大変だったな。あのレイプ未遂は」
「はい。とても大変でしたけど住山さんに助けられて良かったです」
それから墨田さんは服を着る。
そして俺に向いてきた。
俺に苦笑いを浮かべながら「最後にもう一回...」といきなり俺の頬に触れてキスをしてきた。
赤くなる俺。
「オイオイ」
「あはは。愛しています」
そんな墨田さんのキスを受けてから家に帰る。
すると荷物を取りに来てまた外泊しようとした時だ。
何故か玄関に妻であるゆかりが仁王立ちしていた。
なんのつもりだコイツ。
まさか居るとは。