成り上がり男爵令嬢は今日もカレンダーどおりに
本作は「なろうラジオ大賞6」応募作品となります。
1000文字以内の作品です。
選んだお題は「カレンダー」です(*´▽`*)
エバは自室でぼんやりと考えていた。
二人から婚約を打診されていた。
一人は侯爵家の三男。金髪の麗しいイケメン。
もう一人は子爵家の長男。イケメンではないが真面目そうだ。
両親はもちろん侯爵家の三男を推してくる。
「侯爵家だぞ!」
しかし女友達は皆そろって侯爵家の三男はやめておけと言う。
「イケメンが余ってるなんておかしい」
「侯爵家から男爵家のエバに婚約打診? その男に何か問題あるんじゃないの」
「身分が下だからってモラハラぶちかましてくるかも」
女友達の言う通りだと思った。
それで子爵家の長男の方にしようかと思った。
しかし今日、エバは王妃のサロンで侯爵家の三男に会ったのだった。
エバはサロンの裏方を一手に引き受け忙しく立ち回っていた。
そんなエバをちらりと見てから、王妃は侯爵家の三男に何かそっと耳打ちした。
彼はエバの方を振り返り、柔らかい眼差しを向けた。
エバは彼の眼差しの理由が分からなかった。
自分は商家上がりの男爵家の娘。今だって王妃の侍女として働いている。どう考えても侯爵家と釣り合わない。
しかし彼は、エバが出席者にお茶を出して回っているときに、わざとエバの手首をそっと掴んだのだった。
エバは驚いて手を引っ込めようとしたが、彼は離さなかった。それから手首から手の甲、そして指へと手を滑らせた。彼の指がエバの薬指を軽く弄び、そして彼は微笑んだ。
エバはどんな誘惑かと思った。遊び人じゃないか!
この人はない!
しかしサロン終わりに、王妃がエバにこそっと言ったのだ。
「私は彼を推すわよ」
そう、侯爵家の三男との縁談を持ちかけたのは王妃だった。
「あなたは腕一本でここまでのし上がって来たじゃない。彼はそういう女がいいと言ったのよ」
そんな今日の出来事を思い出しながら、エバは自室のカレンダーを眺めた。
びっしりと王宮の仕事が書きこんである。中には難しい案件も。そして今日もカレンダーどおりに仕事をしたのだ。
これはエバの勲章。
王妃の信頼を勝ち得た証。
そして思った。私がそういう女だと知っているなら、どういうつもりかちゃんと聞けば彼も答えてくれるかもしれない。思い込みで拒まずに。
あの誘惑の意味も聞く――?
そう思った瞬間、今日触れられた指が急にかっと熱くなった。胸がドキドキする。
ま、前向きに考えてみてもいいのかも……?
数日後、真面目そうな子爵家の長男が実は酷い乱暴者だという噂を伝え聞いた。
見た目で判断しちゃダメね、とエバは呟いた。
お読みくださってありがとうございます!
とっても嬉しいです!!!
なろラジ初参加です!\(^o^)/
1000文字ってめっちゃ難しいですね!
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