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たぬちゃんのお散歩

たぬちゃん、夏の大冒険

作者: みゃーぽん

子だぬきのたぬちゃんは、家を出発しました。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



たぬちゃんは、田んぼのあぜ道を歩きます。

(いね)は大きくなって、稲穂(いなほ)に稲の花が咲いています。

稲の間に シラサギ がいます。

空中には、トンボ が飛んでいて、

水中には、ドジョウ と タニシ と ホウネンエビ と ミジンコ と・・・いろいろな生き物がいるよ。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



たぬちゃんは、川に来ました。川には小さい中洲(なかす)があります。


たぬちゃんは、石を ピョン ピョン ピョ~ン と飛んで中洲に向かいます。


バシャッ。大きな(こい)が飛び出した!

大変! たぬちゃんは大丈夫?








たぬちゃんは、ぎりぎり鯉を()けて、中洲に到着したよ。


川の中洲には、くちばしの先だけ黄色い鳥がいます。 体は茶色っぽいです。

たぬちゃん「あなたはだれ?」








「グヮー。わたしはカルガモよ。」

カルガモが立ち上がると、だいだい色のあしが見えました。そして、下から、小さくてふわふわのひなが三羽出てきました。ひなの色や模様(もよう)はお母さんとだいたい同じです。


た ぬ ち ゃ ん 「あそびましょ」

カルガモ三兄弟「いいよ」「なにしてあそぶ?」「おしくらまんじゅうしよう」

たぬちゃんとカルガモ三兄弟は、おしくらまんじゅうをしたよ。

「「「「おしくらまんじゅう おされてなくな」」」」





バシャッ

大変です。たぬちゃんが中洲の(はし)から川に落ちてしまいました。


たぬちゃんは、近くに流れている木の枝に乗りました。


そこは流れが急な所で、たぬちゃんはどんどん流されていきます。


たぬちゃんを呼ぶ声は、遠ざかっていきます。



どんぶらこ どんぶらこ



どんぶらこ どんぶらこ



川が段々広くなります。



下流の大きい中洲に、親戚(しんせき)のおじさんたぬきがいます。

「これにつかまれ!」

棒を差し出してくれました。

あともうちょっと。

頑張(がんば)って手を伸ばします。






残念!あとちょっとで手が届かなかった。

たぬちゃんは、さらに流されていきます。



どんぶらこ どんぶらこ



どんぶらこ どんぶらこ



たぬちゃんは、とても広い水たまりに来ました。向こう岸が見えません。水の山が次々とこっちの岸に向かって移動して、たぬちゃんは上がったり下がったりしています。水をなめたら、しょっぱいです。


近くに、仰向(あおむ)けに水に浮かぶ動物が2匹います。ポッケから石を取り出してお腹の上に置き、石に貝をたたきつけて割って食べました。


たぬちゃん「ここはどこ? あなたたちはだれ?」





「ここは海だよ」「私達はラッコだよ」


ラ ッ コ「ねぇ、知ってる? あの島に生えているのは、灯台(とうだい)っていって、夜になると光るんだよ。」

たぬちゃん「へぇー」


ラ ッ コ「ねぇ、知ってる? 普通のラッコは暖かい海だと毛皮に水が入って沈むんだよ。」

たぬちゃん「へぇー」? 「浮いてるよね。」

ラ ッ コ「私達は沈まない(わざ)会得(えとく)したんだよ。」

たぬちゃん「へぇー」


ラッコは、たぬちゃんに貝を分けてくれたよ。 おいしいね。






日が沈んで、夜になりました。

あの島の灯台が光っているよ。


ラ ッ コ「はぐれないように、手をつなごう。」「流されないように、昆布につかまろう。」

たぬちゃん「それ、しっぽだよ。」

ラ ッ コ「「グー グー」」








日が登って朝になりました。

「ここはどこ?」「岸が見えないよ。」


()れて、波は(おだ)やかです。

ラッコ2匹とたぬちゃんは、のんびり浮いていました。






水平線から出てきた(くも)が、あっという間に空全体に広がり、(すず)しくなりました。風が強くなり、波が大きくなります。


ザパ~ン

たぬちゃんとラッコたちは、大きな波に飲まれてしまいました。

大変!たぬちゃんたちは大丈夫?








たぬちゃん「ここはどこ?」

目が覚めると、たぬちゃんは砂浜にいました。

ラッコたちは見あたりません。




潮風(しおかぜ)に吹かれながら、たぬちゃんは歩きます。


トコトコ トコトコ


振り向けば、白い砂浜にたぬちゃんの肉球足跡があります。


トコトコ トコトコ クルクル トコトコ


砂浜に肉球アートができたよ。





たぬちゃんは、海沿いに砂浜を歩きます。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



たぬちゃんは、小川の水にしっぽを入れて、(すず)んでいたよ。


しっぽ フリフリ フリフリ


パクッ

何かがしっぽに食い付きました。

びっくりして、しっぽを引き上げます。


ピチピチ ピチピチ

小魚です。


パクッ

たぬちゃんは、小魚を食べたよ。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



クンクン (あま)においがします。



トコトコ トコトコ



星形で黄色い実がなっている木を見つけたよ。

たぬちゃんは、星形で黄色い実を食べたよ。

ぱくぱく もぐもぐ 甘くておいしいね。


たぬちゃんは、お腹だけ化けて、ポケットを作りました。

いくつか 星形で黄色い実を採って、ポケットにしまったよ。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



前の方に、たぬちゃんの肉球アートが見えます。

たぬちゃん「ここは島なんだね」





たぬちゃんは島の中の方に歩いて行きます。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



木の上に家があるよ。木でできた家で、家まではしごがあります。

たぬちゃんは登って家に入ります。

(だれ)もいません。


ふぁ~、眠いよ。

たぬちゃんはお昼寝しました。








たぬちゃんは、起きると、家から降りて、歩きます。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



砂浜に戻ってきました。



グラグラ ガタガタ

島が()れています。

島から頭が出てきました。

たぬちゃん「あなたはだれ?」

亀 の 島「わたしは、(かめ)の島と呼ばれているよ。 迷子?」

たぬちゃん「ながされてきちゃったの」

亀 の 島「(大きい陸地のそばの)あの島に会いに行くから、ついでに連れていくよ。」

亀の島が、動いて移動しているよ。










大きい陸地とあの島が見えてきました。

見覚えのある灯台があります。

たぬちゃんは、ホッとしました。




亀の島があの島につきました。

たぬちゃん「ありがとう」

たぬちゃんは、あの島に移って、それから、大きい陸地に移ったよ。

亀の島とあの島と大きい陸地は、すごく近くて、歩いて渡れたよ。



トコトコ トコトコ



たぬちゃんは、大きい陸地の砂浜を歩きます。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



砂浜の近くの草原に、カピバラのカピーがいます。


キューイー

甘い匂いを()いで、カピーが欲しがります。

たぬちゃんはカピーに星形の黄色い実をあげます。

たぬちゃんとカピーは、星形の黄色い実を食べたよ。

ぱくぱく もぐもぐ おいしいね。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



バシャーン

カピーは、川の河口で、水に入ります。

たぬちゃんも一緒に水浴びです。








たぬちゃんは、水から出て、橋を渡って、砂浜を歩きます。



トコトコ トコトコ



トコトコ トコトコ



前の方に次の川が見えます。



ツイー ツイー

ツイー ツイー

ツイー ツイー

お母さんとお父さんと親戚のおじさんたぬきが呼んでいます。



タッ タッ タッ

たぬちゃんは走ります。



たぬちゃん「ただいま~」

たぬちゃんは、お母さんに抱きつきます。

お母さんは、たぬちゃんを抱きしめます。

みんな泣いています。


「あのね・・・」

家に帰る途中(とちゅう)、たぬちゃんは、昨日と今日のことを話しました。

そして、話しながら、安心して眠ってしまいました。


近所でお散歩のつもりが、大冒険になったね。ゆっくり おやすみなさい。

読んでいただき ありがとうございます。


よかったら ★★★★★ & ブックマーク お願いします。


【たぬちゃんのお散歩】は、シリーズ作品です。

「たぬちゃん、春のお散歩」

「たぬちゃんとカピーとカエルの合唱」

「たぬちゃん、秘密の旅」

「たぬちゃんとカルガモ3兄弟、冬の大冒険」

も読んでね。

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― 新着の感想 ―
もう読んでいてハラハラしましたよ。 無事に戻れてよかったですねぇ( ´∀` )
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