第3場 船の甲板、貨物やら何やら。SCENE 3 . A Ship’s Deck , set with Luggage , &c .
トム・ウィリスと水夫たちが見張る。
Tom Willis and Sailors on the look out .
トム:ヨーホー!船は進むぜ、陸!やーい!
乗組員:やーい!陸よ!
Tom . Yo ho ! steady she goes ! -Land ! huzza !
Crew . Huzza ! land !
青ざめ元気のないピーター・フォン・バメル、スウィグスに連れられてくる。
Peter Von Bummel runs in pale and languid , followed by Swiggs .
ピーター:陸!どこだ、水夫殿?僕は具合悪いんだ。
トム:いや、まだ見つからん。言ってもいいか?水ばっかりだ!ついでに雲が湧いて、ありゃ嵐になるぞ。
ピーター:陸ないって!本を詰めとかないと。弁護士なんだ僕!なあ、顔色悪いの解るだろ?言わなかったかな、船酔いする質なんだ。航海の間ずっと、僕は… おろおろおろ[船縁に駆け出す
トム:こんな霞んだ天気にこんだけ暗いと来ては、船首から1縺も見えやせん。もうじき嵐だな、ヨーホー!其許は「さまよえるオランダ人」をご存じないので?
ピーター:さあ?横たわるオランダ人ならともかく。
[だらりと横たわる
トム:いや真面目に、本物のさまよえるオランダ人、ヴァンダーデッケンのことだ、その船は常に風に逆らって走っている。
ピーター:言うにや及ぶ。汽船でマーゲートに行ったとき、僕も同じようなことをやったが?
トム:これは汽船ではなく、正直な男の船に手紙を持ってくる妖怪だ。しかし、そんなものを受け取っても、良いことはない。その重さは、これまで航海してきた最も頑丈なオーク材の船すら沈めてしまうほどだ。
スウィグス:本当ですとも。
ピーター:けっ、このズラ載せマネキンが。…うぐ?これは堪らん



