創造の始まり。
体験入部に行った。そんなに楽しい部活が見つかることはなくどうしようかと悩んでいた。そんなある日のことだった。美術部に行った。昔から美術部は真面目で静かめな人が多いものだと感じていた。私達はどちらかと言えば静かな方で、あっているのではないかと感じていた。
まさかのことだった。実際に行ってみたら、想像とは真逆でにぎやかな方だった。今までこのようなことはなかったから驚いた。ダメなことではないのだろうが、想像と違いすぎた。けれど、作品はとても綺麗だった。いや、もう綺麗でありつつも、特別感のようなものも感じた。顧問は静かめの先生だと感じていた先生だった。だが、先輩たちの話によると怒ったらすごく怖いということだ。先輩たちはたくさん話してくれてとても楽しく感じ。みんなで入部しようという話になった。
入部して、初めに絵を描くことになった時道具がどこにあるか分からず、うろうろしていたら、静かめな先輩が近くに来て教えてくれた。声が小さく、友達は分からずに?の状況だったが、私は何となく分かり、隣の教室の棚だと感じたので、確認しに行ってみたら当たっていた。友達2人は分からずその先輩に何度も聞いてしまって部長にはため息をつかれてしまっていた。私はすぐに戻って2人を連れて道具の場所に行った。楽しい雰囲気ではあるけど、やはり少し先輩後輩同士の感じがある。仕方ない、当たり前のことだ。
今日は景色を描こうということになった。実際に作品になるとそれぞれの個性の感じが出て、同じような場所でも、違う雰囲気が作り出される。それも楽しい部分だ。友達とすぐ近くで同じ景色を描いていたつもりがそれぞれの色の感じや、景色の注目点などがそれぞれだった。
近くにいた先輩たちは最初は賑やかに描いていたけれど、後半は静かになって、まじめな雰囲気になり、完成した作品は凄い。場所がそれぞれだったので知らない景色を知ることもでき、色々な作品を見ることができた。
特にあきら先輩の作品はとても好きだ。色が綺麗に混ざり合っているような雰囲気の感じがとても好きだ。よくわからないが、部活ではいつも静かすぎず、にぎやかすぎずの先輩で、いつもの雰囲気とは違うような作品だ。作品に心をやられた。
部活になじんできたある日、卒業生の方が来て今日のお題を出してくれた。それは、『出された紙で始める』という難しいものだった。卒業生の方が作った紙から1枚引いてそれには一人一人違うように線や、丸が書かれていた。友達は線が2.3本ひかれているものだった。私は、池のような見た目の丸とそのまわりに2本の線だった。みんなすぐに書き出していたけれど私は難しく感じ、悩んでいた。やばいと思い、集中して、書き始めた。私はそれぞれを植物や生き物のように表した。
私は美術の授業でも、人を描くのが苦手で、人間を描くときは顔は書かずに終わりにする。人間を描くのはすごく難しい。だからこそ、植物などを描くのはすごく好きだ。色の雰囲気がすごく好き。だからこそ今回植物や生き物を描くだけだったのはありがたい。それぞれの作品すごくきれいだった。先輩たちの作品は無理やり線などから始めた感じがなく驚いた。先輩たちも私たちの作品をほめてくれて嬉しかった。
今日は今までで一番ほめてもらえた気がして嬉しかった。放課後、グループLINEに卒業生の方々が描いた今回のお題と、自分たちが描いたものが送られてきた。卒業生の方々の作品はきれいすぎた。実際に美術系をやっている方が多くその方々の作品は美術館のもののようだった。
突然あきら先輩からLINEが来た。
「お前の今日の作品使ってもいいか?」
ん?どういうことなんだろう。
「全然いいんですけど、何に使うんですか?」
それが気になった。使うといっても私には何にどう使うのか理解不能だった。
「俺のスマホの画面に使いたくて」
先輩にそんなことを言ってもらえるなんて思わなかった。
「全然いいですよ!ありがたいです!」
正直私も、先輩のを使いたい。色使いが好きすぎるんだよな。
「私も先輩のをスマホ画面に使ってもいいですか?」
「全然いいよ!」
ありがたい。使わせてもらえるなんて。
先輩のこの作品を時間を確認したりするときに見ることができるなんて幸せだ。通知邪魔と思ってしまうぐらいだ。
ある日は、公園で自由に作品を考える日だった。私は景色を撮るのが好きだったので写真をたくさん撮ってもいいかと聞いたら、それも美術だから全然良いと許可がおりた。昔から友達と遊ぶ時など私はずっと写真を撮っている。後で写真を見ると楽しく思う。今回もこっそり取らせていただこうと思う。真面目な雰囲気や楽しんでいる雰囲気それぞれいいなと思う。
写真がたまりまくってる。グループにまとめて一応送信した。
「私こんな顔してたの笑」
「めっちゃいい写真だね!」
「まじめな感じいいじゃん!」
嬉しい言葉。褒められるのに弱い。部活がこんなに楽しいのは久しぶりだ。先輩後輩関係は少し苦手だったけどこんなに楽しいのは久しぶりだな。
恋が始まるのか、幸せになるか、不幸になるかは想像だな。