第四章 学園編 第十五話 洋菓子とは
「今は?」
「ああ、その話をするには、待ってる三人にも聞いてもらおう」
◇
「お待たせ、さあ座って」
「それでは、今からシャリアとパーラとライアンがなりたい、ケーキ関係だけを作る人の話をしたいと思います」
「ちょ、ちょっと待ってくれへんか! パーラとライアンもなんか?」
「そうですよ。 三人とも同じ夢を持った同士です」
同じクラスのパーラとライアンは、「お前もか?」と言ってるし、シャリアは悩んだ表情をしている。
そんな三人を放って話を進めていく。
「まず、洋菓子専門の男性職人の事をパティシエと言います。 女性職人の事はパティシエールです。 洋菓子の説明は関係ないので省きますが、カラフルだったり綺麗な見た目のお菓子は基本的に、洋菓子と呼びます。 逆に、ゴマ団子や苺大福のように地味な見た目のものを、和菓子と区別します」
「悩んだ表情を崩さないシャリア! 聞いてますか? 三人の為に説明してるんだよ?」
「き、聞いてます」
「ケーキは、和菓子? 洋菓子?」
「綺麗なんで洋菓子です」
「洋菓子を作るには、結構面倒で、和菓子もまぁまぁ面倒ですが洋菓子は異常です。 神経すり減らす勢いで頑張るのが洋菓子、落ち着いた心で黙々と作るのが和菓子。 それくらいの差があります」
「チーズケーキは皆食べたよね? あれ作るのに、一時間かかってるから、店で出すなら沢山作らないと、すぐに売り切れてしまう」
「参考までに、カフェシエルのケーキ事情を話すと、一日に大体……二百個は売れてます。 二号店なら、三百はいくでしょう」
「もし、ケーキ専門店が出れば、そちらに客が殺到します。 カフェシエルにはないケーキが出た時は大騒ぎでしょう」
何を想像したのか、シャリアはぶつぶつ言い、パーラは顔を上に向けながら目を閉じ、ライアンは俯いて震えていた。
三人が落ち着いてからは、説明ラッシュ。 頭がパンクする勢いで話した。
洋菓子には大きくわけて三種類ある。
水分量が三十%以上の生菓子。
水分量が十~三十%以上の半生菓子。
水分量が十%以下の干菓子。
更にそこから細かくわけて、生菓子は八種類、干菓子は五種類あると、説明すると頭から煙が出そうな雰囲気だった。
「ここまでの説明を聞くとわかると思うけど、僕以外誰も、洋菓子の知識も、技術も、必要な物も、何も知らない。 だからこそ、今は誰も出来ないんだ」
「ユウトさん、説明ありがとうございます。 話を聞けて良かったです。 どうかご指導よろしくお願いします」
「うちも、聞けて良かった。 作り方は何やろと考えたことはあるけど、種類は知らんかったしこんなにあるとは思わんかった。 やる気が無くなるどころかむしろ、増える一方です」
「マスターの知識も技術も吸収して、二人を支えたいと思います。 よろしくお願いします」
「学園はしっかり卒業してもらう。 シャリアはこれから勉強して、パーラとライアンは休日に勉強だよ。 出来そう?」
『やります!』
不安や緊張はあるものの、さっきまで悩んでた顔がウソのように消えてるのを見て、僕は、嬉しくなった。
「これから、よろしく。 ライアンはシエルで生活ね」
「へ?」
アホみたいな声が聞こえた気がするけど、きっと気のせいだ!
読んでいただきありがとうございます。
もうすぐで第四章終わります。