第四章 学園編 第八話 身体強化 その二
「ここは……カフェシエルじゃないか」
「はい、今日はここに居ると聞いたので」
カラン
「いらっしゃいませ」
「あ、レンくんと……ディッグさん?」
「シャルルさん、マスターと話がしたいから、休憩室使っていいですか?」
「今は誰もいないから良いと思うわ。 マスターは新メニュー作ってるから遅れると思う」
「わかった。 バスターさん、ディッグさんこちらです」
「ディッグさんはシャルルさんと、知り合い何ですか?」
「ん? ああ、先王陛下の護衛で何度か来たことがある。 それに、キオラール様の護衛をしているのは、私の息子だ」
「え! ギルバートさんの?!」
ガチャ
「おや、ディッグさん。 稲刈り以来ですね。」
「いや、もう稲刈りは遠慮したい」
そう、実は稲刈りを三年前にした事がある。
前回の稲刈りの在庫が無くなったので、二度目の稲刈りをした。
その時にたまたま、いやあれは同じ苦労を味わわせるべくシャーノアくんが呼んだと思うくらいタイミング良く、テオシウス国王陛下と護衛のディッグさんが長期休暇でやって来たのだ。
刈っても刈っても生えてくる稲に音を上げたのは意外にも、ディッグさんが最初だった。
「初めまして。 カフェシエルのマスターをしています、ユウト・サトウです。 今日は、話があると聞いてます」
「初めまして。 騎士団所属の副騎士団長のバスター・フォン・バルファーと申します。 よろしくお願いします」
「実は、昨日の模擬戦でレン殿が使用した、身体強化を騎士団の訓練に取り入れたいと思ったのですが、レン殿の話を聞くと本気でやった場合、相手を殺してしまうかも知れないという事を考え、訓練に取り入れるのは難しいと判断しました」
「騎士団の訓練に取り入れるのは構わないんですが、加減を間違えたり魔力を込めすぎると、死に至る可能性は高いです」
「言葉では伝わりにくいので、実際やってみればわかるんですが、実際にやって死に至ったら殺人になるので、騎士団での訓練はオススメしません」
「学園で使ったのはまずかったかな……」
「レン、別にやるのは構わないけど、加減を間違えたりしてはいけないよ」
「わかってる。 俺は教えるのに向いてないし、教える自信がないから紹介だけしに来たんだ」
コンコンッ
「どうぞ」
「呼ばれて来ました!」
「来たか、じゃ移動しましょう」
「どこに行くんですか?」
◇
「ここは……まさか!」
「ここは、『神の島』にある浮遊城だ」
「ではこれより、バスターさん対アイリで模擬戦をします。 バスターさんは木剣持ちの何でもあり。 はい、始め!」
「行くぞ! 〈身体強化〉!」
読んでいただきありがとうございます。
ブックマークが9件になりました。
ありがとうございます!
(アイリとユウトは離れていても意思疎通できます)