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第四章 学園編 第三話 試験と久しぶりの……

実技試験のレベルの差。

 十歳から入学試験までの二年間を勉強に費やしたレンとアイリは、試験当日まで真面目過ぎる程に勉強していた。



 「……この勢いなら試験どころか、卒業まで過ごせそうだな」


 「レン、アイリ、行きますよ」


 「「はい、母上」」





 「これが転移門ですか……」


 「凄い濃い魔力……」


 「2人とも、この転移門の事は絶対に話してはいかんからな。 話してしまえば他国なら戦争の道具に使うだろうし、貴族なら「寄越せ」というだろう。 『神の島』に侵入する可能性だってある」


 「だから、誰にも話してはいけないわ」


 「「はい」」





 「ここは、カフェシエルの地下室だ。 さあ、こっちだ」



 店の扉をガジャーノが開けると、レンとアイリは目を輝かせた。

 初めて見る、街。

 初めて見る、大勢の人。

 初めて見る、自分たち以外の子供。

 上を見上げると、今まで島と同じ高さにあったハズの雲が、はるか上空にあるし、その上空に島の一部が顔を覗かせている。

 その光景に違和感を感じる、レンとアイリ。


 用意された王家の紋章が描かれた馬車に乗り込み、学園へ向かった。








 「では、これより実技試験を始めます。 番号を呼ばれた者は魔法をあの的に撃ち込みなさい。 自分の得意な魔法で構いません」



 「次、381番~385番」


〈我が手に炎よ、集い輝き、敵を貫け、ファイアアロー〉


 シューーー!……ポン


 「「は?」」


 おおーーー!!

 凄い!

 さすがは貴族だ!



〈清らかなる水よ、我が手に集い、敵を貫け、ウォーターアロー〉


 シューーー!……ピチョン


 「詠唱してこれかよ」


 「恥ずかし!!」



 〈母なる大地よ、子である我は放つ、ストーンバレット〉


 シューーー!……コココココン


 「よっわ……」


 「ただの石ころ……」



 「そこの2人! 早く詠唱をしなさい」


 〈ファイヤーボール〉


 ドガァァァァン!!


 〈エアショット〉


 シューーー! バシュッ!!



 「……なんだよあれ」

 「……化け物」

 「お、俺帰ろっかな」






 「おい、あいつらだよ。 試験で最高得点、叩き出したの」


 「友達になれないかな……」



 「レン、これってまずいんじゃない?」


 「ああ、俺なんて代表挨拶だよ」



 「え……うそ、先王陛下?」

 「え! どこどこ?」

 「わ! ホントだ! でも何で?」






 「新入生代表挨拶、レン・トルテ・ファジールくん」


 「はい」



 「ファジール?」

 「トルテだから……王族?」


 「今日という良き日に、ファジール魔術学園に入学出来たことを嬉しく思います。 貴族も平民も身分を振りかざす事なく勉学に励み、切磋琢磨出来る環境に惹かれました。 私もこの学園の一生徒として、学友と励んでいきたいと思います。 新入生代表、レン・トルテ・ファジール」



 「続きましてーー」







 「今頃、入学式も終わっただろうな」


 「シャーノアさん、休憩入ります」


 「は~い」


 「あ、リンクくん。 今日の昼にマスター来るから、覚えていて」


 「マスター……ですか、僕会ったことないんですよね」





 CLOSE(クローズ)の札がかかった扉を開ける。


 カラン


 懐かしい音が店内に響く。

 扉から入るのは、何十年ぶりだろうか。

 店内には客が一人も居ない、だってCLOSEだもん。

 他の従業員は休憩室だろうか、カウンターには青年とシャルルさんが片付けをしていた。


 「あの、今日はお休みなんです」


 遠慮がちにいう青年に対して、声を返したのは、隣にいるシャルルさんだ。


 「リンク、今日は一人くらい構わないわ」


 「え、わかりました」


 「じゃあ、そうだな。 玉露とサンドイッチを。 具は任せるよ」


 「かしこまりました、玉露とサンドイッチですね。 少しお待ちください」




 「お久しぶりです」


 「いやぁ、シエルを探すのに手間取ったよ」


 「十年ぶりくらいですもんね」


 「彼は、シャルルさんの?」


 「ええ、息子のリンクです。 十七歳になりました」


 「時が経つのは早いなあ」



 「失礼します。 こちらサンドイッチと玉露になります」


 「お、ありがとう。 いやぁディンブーはいつも飲むんだけど、玉露はあんまりね」


 「母さん、知り合いの方ですか?」


 「ええ、カフェシエルで働き出した頃に知り合った人なの。 あなたがまだ、五歳の頃の話よ」


 「へぇ。 あ、僕はリンク。 十七歳です。 よろしくお願いします」



 「シャルルさ~ん、マスターは……」


 「やあ、リア、リオルク」


 「「マスター!!」」


 「え」


 「ユウト・サトウです。 カフェシエルのマスターやってます。 よろしく」



 「えええええええ!!」


 リンクの叫び声が店内に響き、近くにいるシャルルさんは耳を押えた。


読んでいただきありがとうございます。


レンとアイリは無詠唱で剣の腕も良いです。更に勉強熱心……優等生です。


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