Solo wing Angel 最終話
TS物は3つに分類される
百合を求めるやつ
精神的BL、メス堕ちに生きるやつ
作者の願望ダダ漏れのとにかく男女ごちゃ混ぜのハーレムもの
あいつは……
ヒーロー椿には謎が多い。
本名、生年月日、出身、職歴、学歴、親族、人間関係等それらは全て秘匿されているわけではないのに、ほとんど空白となっている。
謎多き麗しいヒーローとして、そして、全ての怪人、怪獣を消し去る偉業『15分間の世界の改変』をした異例のヒーローとして、ヒーロー図鑑に登録されている。
彼女はその偉業を成し遂げた後、忽然と消え去り、生死不明である。彼女の行方を追うため、彼女の軌跡となる人への取材を試みた。
Sランクヒーロー黒の夢 本名白井実
「椿さんですか。ヒーローの中のヒーローです。
あの日、日本中で怪人がスタンピードするように現れて、恥ずかしながらSランクヒーローと呼ばれた僕らも、もう後がありませんでした。
椿さんが命を燃やし尽くして、僕らを救った技には感謝しきれない」
『その技は世界中の怪人怪獣を消し去り、その後の発生もありません。それで、余ったヒーローの戦力を国家間の大戦に使われましたが、それについてはどう思っていますか』
「それは、残された人の酷い選択の結果ですよ。それにその大戦はすぐに沢山の国々のヒーローによって原因の国を制圧していますし、そのようなことはもうないと思います。
本当に椿さんは僕らのヒーローでした。今でもずっと……」
『雰囲気が変わりましたね』
「僕は椿さんから勇気をもらったような気がします。椿さんの戦闘シーンを見ると、どれだけ自分が優遇されているかよくわかるんですよ。
卑怯だな、と感じるんです。
何より、自分を偽って戦っている自分がとても卑怯者に感じて……。だから、僕はそのままの自分で、等身大の自分でヒーローとして活動する時もそうしたいと思っています」
麺屋超英雄 店長
「ヒーロー椿ですか? とってもいい子だったよ。それにうちの店に何度も来てくれたしね。
まあ、不思議な子で、ラーメンにあれを入れたほうがいいとか、別の味を食べたいとか言ってきてね、素人なのに妙に知識豊富でね。
もう二度と来てくれないと思うと辛いっすね。
ん、いや。その子の話をするとね、同じような似た事を言うお客さんがいてね、その子がいなくなった日と同じ頃から来なくなったんすよ。
あの時の怪人大量出現の日に死んだのかもしれないすね。
でも、不思議でね、ヒーロー椿の話をするとどうしてもそのお客さんを思い出しちゃってね……あ、すみ……ません。いい人だったんすよ、残念っす。
それなのに、ふと、ランチタイム終わった頃合いにのれんが風で揺れると、ふらっと2人が入ってくるような気がして……
また、来てくれるまで、店きりもりしないとなって頑張ってるっす」
ヒーロー局出納係 匿名
「仕事中に5chやっていたことをバラさない!?
いや、わかったよ。話せばいいんだろ。
あの便所の落書きみたいなところの椿スレで草の人って呼ばれてたのが、俺。
初めて面と向かって話した時は……詳しくは言えねえけど、ある怪人の討伐報酬を渡した時だったな。椿の実物はやっぱり可愛かったよ。こんな可愛い子と仕事で話せてマジ役得だったねwww
口座登録してないから、直接もらいにくるしかないんだよ、あの子。
討伐報酬が命令違反で何割か削られてプンプン丸になってたよ。それも可愛かったわー。白人ハーフのアイドルみたいなあの顔は間近で見ると、本当に凄い。背中が痺れる感じがした。
なんで怒っていたって?
多分、金に困ってたんじゃね?
口座を見せられないとか、政府に個人情報を教えられないとか、まともな環境じゃなかったんだろ。
そんな状態で、あんな性格が真っ直ぐで、キモい怪人怪獣に率先して駆けつけて、死に物狂いの近接戦をして、ネタコラされてもお気持ち表明とかせずに黙々とヒーロー業にまた戻るとか、本当に凄い子だよ。仕事中に5chをロムって時間潰ししている俺も見習わなきゃなあwwwwww
そういうわけだからさ、ちょっと口論したからって、あんまり悪い気はしないよな。
むしろご褒美だねwww
ほんと、戻って来てくんねえかな……
ぶっちゃけさ、椿が消えてから、5chにずっと貼り付いても張り合いがなくて、まあ、仕事くらいは真面目になっちまってよ、俺らしくねえーんすわ。年とっちまったってことっすかね。
椿の盾? ああ、ヒーロー局本部の玄関ロビーに展示保管されているよ。めちゃくちゃ厳重にね」
ランク不詳 ヒーロー 屯田兵子
「椿ちゃんねぇー。
椿ちゃんの年は多分二十歳は超えているんじゃないかな。もしかしたら私より年上かも。意外と博識なんだよね。特に日本酒とか美味しいもの。控えめに言って可愛いおっさんみたいな子だね。
……なんか、すごく人生経験しているように感じることもあったなあ。
それなのに時たま見た目よりも可愛らしいことをしでかしたり、残念な怪人と戦ってネタコラにされたりするのも、なんというか愛されているなあ、って思ったりすると不謹慎かな。
椿ちゃんは、きっと生きているよ。
私も仕事の合間に探しているんだけど、簡単には見つからないよね。それなのにすぐそばにいるような、なんだろう不思議な感じ。
椿ちゃんの盾、ずっとヒーロー局に保管されているでしょう?
それは死んでないってことだから、きっと、どこかで椿ちゃんは生きているはず。
ヒーローが死ぬと、ヒーローの装備、剣や杖などの具現化した物は1時間しないうちに消えるはずでしょ。
でも、椿ちゃんの盾は消えなかった。
椿ちゃんはどこかで生きている。でも、戻って来れないような状態なんだって。変身を解除したり、装備を元に戻したりすると、前の装備は消えちゃうはずだから、きっと、椿ちゃんは何もできない状態のはず。だから、私は探し出して助けてあげたい。
私を助けてくれたように」
ヒーロー業引退者 元道りな
「ツバキ?
おじさ……あいつは……あたしにとって……上手く言えないけど……
あいつは、あたしと似ているじゃない。だから、色々と迷惑を、かけられたんだけど。
それにしても、ここに来て大丈夫なんですか?
ここダンジョンだから、守れませんよ?
危険手当が熱いんですか。いや、無理しないでくださいね。
ダンジョン内でクリニック建てて、病院ではどうにもならない患者さんの治療を回復魔法で始めたらさ、ヤバいよね、不動産業界の他に医師会からも刺客が向けられちゃってさ。
でも、なんか、大丈夫なんだよね。あいつら相手にする時、普段以上に戦えるんだよね。
なんで危険なのにこんなことするのか、ですか?
あいつ、ツバキが教えてくれた気がするんだ。
誰かのために尽くすって凄く馬鹿くさい気がしたんだけど、ツバキは命をかけて、誰かのために、あたしたちを守るために最後まで戦っていて……その姿はとっても綺麗だった。
なんか負けられないじゃない。
顔も似てるしね。
だから、あたしの思う、誰かのための戦いをし続けたいの。
これ、放送するんですか?
じゃあ……もしツバキがどこかにいたら見てくれるかな。
ツバキー! どこほっつき歩いてんのよ! ……早く戻ってきて、また美味しい店教えてよ!
ツバキー……ありがとう。またね」
結局、ヒーロー椿を調査するも、本人にたどり着くことはなかった。関係者のほとんどは国民や世界中のファンたちと同様に、再度戻ってくることを願われている。
そして、取材を受けた方々は、ヒーロー椿を懐かしんで、遠くを見つめる姿を見ると、どれだけヒーロー椿が愛されていたか、胸に強く訴えられた。
最後のナレーションの声にブレスノイズなどが無いか確認し終え、ヘッドホンを置いた。
まさか、彼女の全裸放送をやらかした私が、こんな仕事させてもらえるだなんて思ってもいなかった。この動画をもって椿さんに謝罪だなんて、都合が良すぎるけれど、心から詫びたい。見つからないから、できるわけないんだけど、面と向かって謝りたい。あの時から少し成長した私の気持ちなんだと思う。
だから、この仕事は特に力を入れて、全国に流したい。
私は、作成した動画データを依頼主の放送局のサーバーにアップロードした。
長い夢を見ていたようだ
目を開けるとしばらく光の眩しさに目が焦点を合わせられない。
身体を起こす。
久しぶりに身体を動かしたような感じで、うまく身体が動かない。
爽やかな風が通り過ぎる。
空に向かって色とりどりの花びらが一斉に舞う。
原っぱで寝ていたのか。
ポケットに手を入れると違和感があり、それを取り出す。
つい先ほど採取したような瑞々しい花一輪。
よく知っているその花を、空にかざす。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
これも、読者の皆様の感想やブックマーク、評価、いいね、のおかげです。
また、報酬などないにも関わらず、誤字脱字報告による読みやすい小説へのご協力、大変ありがとうございました。
前回も説明しました別の小説の方もまた書き始めました。
もし読んでいただき、心に刺さったらうれしいな、と思っております。
良かったら下記URLからお読みください。
連載版 私は人知を越えるモノに『異世界戻りの既婚TSおっさんがその妻から緑色の紙を叩きつけられるRTA』をやらされているに違いない
https://ncode.syosetu.com/n9157ig/




