Bad end 1
いつも読んでいただきありがとうございます。
区切りが悪く、短かいので不定期分として更新します。
タイトルはアレですけど、最終章ではありません。
うつ展開も長くならないよう、サクサク進ませようと思っているのでよろしくお願いします。
特別病室にいつものお医者さんがやってきて、僕にいくつか質問し、クリップボードにペンを走らせる。しばらしてペンを止めた。
「ところで、あの技、というか装備なんですけど、あれはなんですか?」
お医者さんの顔を見る。好奇心、というよりも、業務、いや命令を受けた人の顔だった。多分答えたら酷い目に合いそうだと思った。
あの装備、いや、あの技の使い方が頭に入って来た時、その説明は
・ 技名『星に願いを』
・ 使用方法:強く願いをこめてボタンを押すと、その願いが叶う
・ 消費エネルギー等:命の一部を代償にする。身の丈に合わない願いは、例え叶えられても身を滅ぼす
であった。効能の凄さはチート級だ。ネトゲ―で使ったらオレマジ最強、でも、現世から即時永久BANされるオチまでついている。
今回の怪人との戦闘で僕が意識を無くす、その技を使って命持っていかれた後に回復ヒーローが心臓マッサージしながらの回復技をしてくれたから何とか息を吹き返したらしい。もう一度やってとか言われても絶対にしたくない。僕のこと個人的に嫌いな回復ヒーローが来たらわざと心肺蘇生してくれずそのまま死にそうだ。
この技をお医者さんに軽い感じで説明したら、いつのまにかヒーロー局で共有化されているのだろう。
そうしたら、人類の最後の奥の手みたいな感じで自爆技使ってください、ということで呼び出しがかかるに違いない。
マジ命大切に、ドラ〇エの作戦にもあったじゃないか。『いのちだいじに』って。まあ、そんなの知らねってあのド〇クエ4のク●フト神官が「敵の命なんて知らね、マホカンタなんて知らね」、と言わんばかりにザ〇キを平然と唱えていたけど。ア●ーナ王女、NTRでもしたのかね。
とりあえず、あの技はもう二度と使いたくない。
「あの装備は……すみません、もう使いたくないんです」
ここは美少女姿を有効活用しなければならない。美少女の涙に震える声、俯いて目を合わせない、何かに恐怖する表情、お医者さんは、ウッ、と一言唸った。
「わかりました。無理やりは聞きません。言えるようになったら教えてください」
お医者さんはそそくさと特別病室から出て行った。それを僕は見送り、病室のドアに向かってニタリと口を釣り上げた。
流石、美少女。白人とアジア人のハーフ顔最強。神秘的な赤色の瞳に銀髪とかマジ神。中身は35歳童貞なんだぜ。
まあ、なんだかんだこの美貌で誤魔化したけれど、この技はマジで封印物だ。
どの道、この自爆技を使うしか方法がなければ、まあそれまでだよなぁ……
テーブルにはいつの間にか、病室内に出前を持ってきてくれるお店のリストとメニュー表が置かれていた。病院の関係者はなんだかんだでこの病院の常連のヒーローだから気を使ってくれているのか、これを置いておけば急に病室から抜け出して面倒ごとを起こさない、と思っているのだろうか。良い方に捉えよう。ポジティブシンキングって大切さ。
起きていた体をベッドに倒して、深く息を吐いた。ふいに、自爆技を使わなければ倒せなかったピエロの怪人を思い出した。あいつは僕のファンだと言っていた。
確かにオーラの感じは怪人だった。
怪人が僕のことを調べるものだろうか……いや、もしかしたら人間が何らかの理由で怪人化したのだろうか。
妙に人間臭い怪人がたまに出てくると、ヒーローへ覚醒するように怪人が生まれているように感じる。
まあ、深く考えてもどうしようもない。ゆっくり休もう。
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