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思いを伝えて3

 悩みに悩み、どうすれば良いか分からなくなったシャフリはベッドの上でゴロゴロ転がり、眼鏡と帽子を取る。


「……はぁ、一体どうすれば良いの?」


 ボソッと独り言を呟いたその時、扉がノックされ、シャフリは返事をする。


「はい?」


「あ、いたわね」


 聞き覚えのある声を聞き、シャフリは胸がギュッとなるが、平然を装って鍵を開ける。


「ミーナちゃん? どうしたの?」


「どうしたもこうしたもないわよ。アンタが一向に来ない上に、暇だから遊びに来てやったのよ」


 チェスのボードと駒入れを抱えているミーナを見て、シャフリは数秒考えた後、笑みを浮べてミーナを部屋の中に入れた。




 ◇◇◇




 チェスをしている最中、特に会話を交わすことなく、お互いに駒を動かし合う。


「……チェック」


 ミーナがシャフリを追い詰め、チェック宣言をする。


 その時、シャフリは我慢できなかったのか、思いを口にしながら駒を動かす。


「ミーナちゃん……」


「何?」


「例えばの話しなんだけど、自分と友達……天秤に掛けたら、ミーナちゃんはどっちを取る?」


「唐突な話ね……一体どうしたの?」


「答えて」


 シャフリの口調から真剣さを感じたミーナは軽くため息をつき、頬を赤く染めて言葉を返す。


「……言うのが恥ずかしいからちゃんと聞きなさい。私は……アンタを取るわよ」


「……どうして?」


 理由を尋ねると、ミーナは一瞬嫌な顔を浮べるが、後頭部をガリガリ掻いて理由を述べる。


「どうしてって……大切な友達だからよ」


「それだけ?」


「それだけって……今日はやけに食い下がってくるわね。それ以下の理由もなければ、それ以上の理由もないわよ。一体どうしたのよ?」


「ううん……確認しただけだよ」


 ミーナは再びため息をつき、駒を動かしながらシャフリに尋ねる。


「そう言うアンタはどうなの? もし私と自分、天秤に掛けた場合、どうするの?」


「私は……」


 言葉を返そうとした瞬間、ミーナと初めて会った時から、今までの思い出全てがフラッシュバックし、苦渋の選択を突きつけられた数十分前の出来事に終着する。


 様子がおかしいと察したミーナはシャフリの顔を覗き込み、声を掛ける。


「シャフリ?」

「私はッ!!」


 突然のシャフリの大声に驚いたミーナは体をビクつかせ、シャフリの言葉を待った。


「私は……天秤になんか掛けない。私は両方助かる道を探す!」


「は、はあぁ? ちょっと、それズルじゃないッ!! 私だって天秤に掛けたくないし、両方助かる道があるならそっちを選ぶわよッ!! って……」


 眼鏡を外して涙を拭うシャフリを見て、ミーナは思わず言葉を口にするのをやめる。そして、シャフリの頭を優しく撫で、慰める。


「アンタは本当に優しいわね。そんなこと、今決めることじゃないわ。その時が来たら決めれば良いだけ。仮にアンタがどっちを選択しようと誰も責めないわよ」


「グスッ……うぅ、ミーナちゃん……」


「ほらほら泣かないの」


「……グスッ。うん。それと……」


「ん?」


「チェックメイト」


 シャフリが駒を動かし、盤面を確認したミーナは完全に詰んでいると知り、シャフリの肩を揺さぶる。


「こんの野郎!! 泣きながらちゃっかりチェックメイトしてんじゃないわよッ!!」


「アバババババ!!」




 ◇◇◇




 シャフリの部屋の前で聞き耳を立てていたジークは少し笑みを浮べて、その場を後にしようとする。


「意外と趣味が悪いですね。ジークさん」


 背後から声が聞こえ、ジークはピタリと足を止め、振り向く。


「見られていましたか。引きました? ソフィアさん?」


「別に引きはしません。自分も他人のことは言えないので」


「ああ。超聴覚でしたね。確か……」


「半径50メートル以内の音は聞こえます。さらに魔力を聴覚に回すと、最大100メートル以内の音も聞こえます」


 終始無表情を貫きながら自身のスキルを説明するソフィアを見て、ジークは苦笑いを浮べる。


「それはそれは……気が抜けないですね」


「そんなことよりもジークさん。東側から何やら不穏な物音が聞こえますが……」


 一瞬にしてジークの顔から笑みが消え、落ち着きを保ちつつ、ソフィアに尋ねる。


「不穏な物音と言いますと……暗殺者ですか?」


「音が何処から出ているかは分かりませんが、殺意が混じっている音であることは間違いありません」


「……予定より早いですね。明日か明後日くらいだと思っていましたが……分かりました。奥様や旦那様には自分から伝えておきます」


「では私は予定通り、ミーナ様とシャフリ様の護衛をこれから始めます」


「よろしくお願いします。それでは」


 一瞬にしてジークの姿が消え、ソフィアは無表情を保ちつつ、シャフリの部屋の扉をノックした。

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