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思いを伝えて2

 全ての話し合いが終わり、シャフリは気の抜けた顔を浮べながら、ジークと共に自室に向かっていた。


「……シャフリ様」


「すみません……今、気持ちの整理が付かなくて」


 ジークは視線を落とし、口を開けることなくシャフリの後について行く。


 自分の部屋の前に立ったシャフリは、ジークに背を向けたまま、声を掛ける。


「ジークさん……もう一度確認しますけど、サロミアさんが言ったことは本当ですか?」


「……はい」


「それじゃあ……もう決めたんですか?」


「……お答えしかねます。自分はどうすれば良いか……未だに考えている最中です」


 シャフリはソッとドアノブに手を掛け、部屋の中に入ろうとする。その時、ジークがシャフリに尋ねる。


「シャフリ様は……どうなさいますか?」


 振り向くことなくシャフリは部屋の中に入り、ドアを閉める寸前に言葉を返す。


「決まっています。私は死にます。ミーナちゃんのために」


「ですが……」


「ジークさん……私はミーナちゃんを信じていますよ」


 扉に鍵を掛け、ベッドの上で無気力に横になるシャフリ。ジークの前では「死ぬ」と言いきったが、数十分前のことを思い出し、再び悩み始める。




 ◇◇◇




「え……今の話、本当ですか? ミーナちゃんが……人を?」


 シャフリは目を丸くし、思わず立ち上がる。サロミアから真剣な眼差しを向けられ、シャフリは即座に真実だと察した。


「ミーナちゃんの暴走は本当だし、殺したのも本当よ。いつ何時、起こっても不思議じゃないわ」


 暴走に至った原因、暴走したときの惨劇を頭の中で想像したシャフリは、深夜の出来事を思い出す。


「嘘……それじゃあ、あの時……ミーナちゃんは暴走してもおかしくなかったって事ですよね?」


「あの時? 詳しく話してくれないかしら?」


 シャフリは震えながらサロミアに全てを話し、話の内容を理解したサロミアは頭を抱え、隣に座っているカーリーは顔を青くさせていた。


「今、シャフリちゃんがこの場に居られるのは奇跡ね。ミーナちゃんが暴走する前に正気に戻してくれた小鳥さんには感謝しかないわ」


「あ、あの……暴走を止める方法はないのですか?」


 シャフリは率直な疑問をサロミアにぶつける。サロミアは暗い顔を浮べ、解決策を口にする。


「今のところ、解決策は2つしか分かっていないの。1つは夜明けまで耐え忍んで吸血鬼の力が弱まるのを待つ。2つ目は戦って気を失わせる。だけど、2つ目の解決策はかなり危険よ」


「そう……ですよね」


 話を聞いただけでも、シャフリは暴走状態のミーナの危険さを理解することが出来た。


「シャフリちゃん。貴女にも選択してもらうわ。この先、ミーナちゃんが暴走したら……殺されるか、殺すかを選びなさい」


 サロミアの提案に怒りを感じたシャフリは思わず机を叩く。


「ふ、ふざけないでくださいッ!! 自分の子供を殺せという親がどこに居るんですかッ!?」


『しゃ、シャフリ様』


 隣に座っているジーク、背後で佇んでいたソフィアとサラスが懸命にシャフリを宥める。しかし、シャフリの怒りは収まらず、顔を真っ赤にしてシャフリはサロミアに暴言を浴びせる。


「そんなこと言っているからミーナちゃんは傷つき、他人と距離を置いてしまったんですッ!! 原因はサロミアさんたちにもありますッ!!」


『シャフリ様!!』


 サロミアは堅く口を閉じ、シャフリが言いたいことを全て受け止めた。


「私は絶対ッ!! ミーナちゃんを傷つけるようなことはしませんッ!!」


「……じゃあ、シャフリちゃんは殺される選択をするのね」


 冷静な口調でサロミアは言葉を返し、言葉の内容に思わずカッとなったシャフリは魔法の詠唱をする。


「ライトニング……」


「シャフリ様!!」


 詠唱に気づいたジークが止めに入ろうとするが、ジークより早く動いていた者がシャフリを止めていた。


「シャフリ様。そこまでです」


 何処から取り出したのか、カーリーは自分の背丈ほどある大太刀の切っ先をシャフリの首元に当てていた。首元に冷ややかな感触を感じたシャフリは詠唱を中断し、一歩下がる。


「す、すみません。ついカッとなってしまいました……許してください」


 シャフリは下を向き、攻撃されそうになっていたサロミアはため息をついて、ゆっくり立ち上がる。


「ミーナちゃんと同じでまだまだ若いわね。でも、気持ちだけでは罷り通らないこともあるわ。覚えておきなさい」


「……はい」


 シャフリたちに背を向け、カーリーを連れて部屋を出ようとするサロミアだが、扉の前で立ち止まり、背を向けたままシャフリたちに言葉を残していく。


「可能性としてもう1つ。ミーナちゃんの暴走を止められるかもしれない方法があるわ」


「え?」


 シャフリは顔を上げ、ジーク、ソフィア、サラスの3人は目を細める。


「ただし、この方法は最悪の場合、ミーナちゃんの暴走は止まらず、方法を試した誰かは死ぬ可能性があるわ。嫌いな言葉だけど、希望を持っているのであれば……日付が変わる頃まで待つわ。その方法を教えるわ」


 サロミアとカーリーは部屋から出て行き、残された4人は視線を下に落とす。

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