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ミーナと遊戯3

 部屋に設置されている執務セットの椅子に座った私は、顔を膨らませてジークとカーリーを睨みつける。


「ミーナお嬢様、顔を膨らませてどうしたのですか?」


「どうしたもこうしたもないわよッ!! みんなで私をおもちゃにして!!」


 カーリーがしれっと部屋から出ようとする。私は鋭い眼光でカーリーをその場に釘付けにする。


「私はお嬢様で遊んでませんが」


 真剣な顔で、持ち前の天然をかましてくるジークに私は呆れた。だが、私が真に怒りを抱いているのはジークではない。


「カーリーッ! よくも私を騙してくれたね! 自決するかもって嘘ついて!!」


 激怒している私に対して、カーリーは嬉しい顔をして微笑む。


「やっぱり、お嬢様をからかうのはやめられませんね~。いつ見ても何回見ても同じ表情をしないのがまたそそらせますね~」


 このドSメイド長め! 真剣に心配してしまったっていうのに!!


「あんたのそういうところが昔から苦手なのよ!!」


「はて? 私の記憶が正しければ、お嬢様は涙を流しながら喜んでたじゃありませんか?」


 涙を流しながら嫌がってたわよ!


「能天気な両親が罰を与えなくても、私があんたたちに罰を与えるわ!!」


 ジークは表情を崩すことなく私を見つめ、カーリーは露骨に嫌そうな表情を浮かべる。


「罰と言いますと?」


 ジークは首を傾げて、私の顔を見つめてくる。


「残り半日。私の暇つぶしに協力してもらうわ」


 ジークはキョトンとした表情を浮かべ、カーリーは頭を抱えて落ち込む。


「因みにカーリー。両親から許可はもらっているから、泣きついても無駄よ」


 カーリーがその場に崩れ、四つん這いになる。


「覚悟は良い? 2人とも?」


「構いませんがお嬢様。何をして暇をつぶすつもりでしょうか?」


「フッフッフ」


 私はスカートのポケットからあるものを取り出し、2人に見せつける。


「これは……トランプ?」


 ジークの頭上に疑問符が浮かび上がり、私はトランプをジークに手渡す。


「私はババ抜きと七並べしか知らないの。だから、新しいトランプ遊びを教えなさい!」


 するとジークは笑みを浮かべて、素速くトランプをシャッフルする。


「かしこまりました。お嬢様」


「ちょっと、ジークくん。トランプだけでミーナお嬢様の暇はつぶせないわよ」


「大丈夫です。メイド長。こう見えてトランプ遊びは結構やっていたので、ババ抜きと七並べ以外の遊びは結構知っています。ご安心を」


 いいね~、ジーク。どれ。新しい遊びを教えてもらおうじゃないの。


「じゃあ、早速説明してもらおうじゃないの」


 私たちはテーブルを囲んで座り、ジークが提案するトランプゲームを始める。ある程度シャッフルし終えたジークは、私とカーリー、そして自分の前にカードを一枚だけ置き、残りのカードを中央に置く。


「それでは置かれたカードを見ないように、額に当ててください」


「こう? ですか?」


「…………」


 傍から見れば、トランプを額に当てた3人が集まっている光景。


 完全に私たち、変質者じゃんッ!!


「ジーク!! これ何なの!?」


「インディアンポーカーです」


『インディアンポーカー?』


 私とカーリーが声を重ねて、首を傾げる。


「ルールは至ってシンプルです。額に当てているカードの数値が大きい人が勝利です。エースが1番弱く、一枚だけ入っているジョーカーが最強となっています。因みに、今回の場合、メイド長が7でミーナお嬢様がジャックですので、このままですと、お嬢様の勝利となります。そして額に当てているカードの数値に自信がないと思ったら一度だけ交換することが出来ます。その場合はチェンジと宣言してもらい、額のカードを中央に出してもらいます。その後、山札の一番上のカードを額に当ててもらいます」


「なるほど……つまり他人を陥れるゲームってことですね」


 ルールを理解したカーリーは笑みを浮かべて、チラッと私を見る。数分前に他人に騙された私は、ゲームに対して文句を放つ。


「他人を陥れるゲームぅ? ダメよ! そんなゲーム、ゲームじゃないわ!」


 しかし、ジークは表情を崩すことなく、私に言葉を返す。


「ゲームというのは駆け引きを楽しむものです。陥れられることもありますが、それを笑って許すのもゲームをする上でのマナーです。どうかご理解を、お嬢様」


 クソ真面目にゲームの概念を説明するジークに反論する気にならず、私は頭を抱えながらも、ゲームの続行を許可した。


「やるのは構いませんが、ただ勝負しても燃えませんね~。何か賭けませんか?」


 アホみたいな提案をしてきたカーリーに対して、私は露骨に嫌そうな表情を浮かべる。


「私は構いません。どうなさいますか? お嬢様?」


 2人の視線が私に突き刺さり、私は大きくため息をつく。


「仕方ないわね。分かったわ。ただし、お金以外のものを賭けるわよ」


 だって、私お金なんて持ったことないし。


「了承しました。では10回以上負けた人が、一番勝った人の言うことを聞くと言うことで如何でしょうか?」


 ジークの提案を聞いたカーリーは不気味な笑みを浮かべて、私を見つめてくる。


 ……ヤバい。私狙われている。しかし、一度了承してしまったことを覆すわけにはいかない。勝てば良い。ただそれだけよ。ミーナ。


「分かったわ。じゃあ、始めましょう」


 再びジークがトランプをシャッフルし、私たちの前にカードを1枚ずつ配る。そして敗者が勝者の言うことを聞く、罰ゲーム付きのインディアンポーカーが始まった。

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!


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