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ミーナの訓練2

 洋服から運動服に着替えた私はソフィアが待つ正門へと向かった。


「待たせたわね」


 サラスと会話していたソフィアは私を見て、サラスに頼み事をする。


「それじゃあ、後は任せたよ」


「ちょ、ちょっと! ソフィア! 勝手なことはダメだってッ! メイド長のこと忘れたの!?」


 サラスの制止を無視してソフィアは門の外へと歩みを進め、私はソフィアの後を追う前に、サラスの声をかける。


「安心しなさい。今回は私の命令よ。カーリーと違って罰を受けることはないわ」


「え? あ、ミーナ様!!」


 サラスが私を呼び止めようとしていたが、私は構うことなくソフィアの後を追った。


 数分ほど林道を歩き、ソフィアと私は広々とした草原に辿り着く。そよ風が私たちを迎えるかのように吹き、ソフィアは歩みを止める。


「ミーナ様」


「ん?」


 ソフィアは木製の剣を差し出し、私は柄の部分をソッと掴む。ソフィアも同じ木製の剣を手に取り、持ち方を教える。


「つかぬ事を伺いますが、ミーナ様は右利きでしょうか?」


「ええ。右手で字も書くし、咄嗟の判断でも右で反応してしまうわ」


「でしたら、柄と刃の境目を右手で持ち、左手は右手の下で柄を握ってください」


 ソフィアの教え通りに剣を握るが、疑問を抱いた私は率直に尋ねてしまう。


「これだと両手が塞がってしまうじゃない。片手で十分じゃないの?」


 私の質問に対して表情を崩すことなくソフィアは言葉を返す。


「あくまでも基本的な構えはこれです。基本が出来ていない以上、片手持ちなど言語道断です。今はこの構えに慣れてください」


 正直な話、剣を持つのが初めての人の構えにしか見えないが、教えてもらう以上、これ以上何も言えなかった。


「……分かったわ。それで、これで良いかしら?」


 再度剣を構えるが、ソフィアは少し目を細めて、私の構えを見る。


「少し力んでいますね。肩の力を抜いて、握りすぎないようにしてください」


「難しいこと言うわね……こう? って、あ!」


 少し力を抜いたつもりが、思った以上に抜きすぎてしまい、剣を地面に落としてしまう。


「気をつけてください。戦場で剣を落とす、イコール死を意味します」


「分かってるわよ!」


 地面に転がっている剣を拾い上げ、再び構えるが、自分でも分かってしまう程、再び力んでしまう。


「肩が上がっています」


「ぐぬぬ……分かっているけど、結構難しいのよ!」


 何とか無駄な力を抜いた私は、ソフィアに目を向け、構えの確認をしてもらう。


「……そうですね。その構えを瞬時に出来るようにしてください。では、1度構えを解いてください」


 私は剣を降ろし、ソフィアは私の周りをグルリと回って、腕を組む。


「それでは……私に切っ先を向けて構えてください」


「オッケー!」


 ソフィアの言葉を理解して剣を持ち上げようとするが、私の体は思うように動いてくれなかった。


 あれ? な……何で動けないの?


「ん? どうしました?」


 私の様子が変だと気づいたソフィアは私に声をかけるが、口まで思うように動けなくなった私は即座に返答することが出来なかった。


「なんで……からだ、が……動かない」


 次第に体が震え、握っている剣も目標に対して向けることが出来ず、最終的には木製の剣が本物の剣に見えてしまった。


「ヒィッ!!」


 幻覚に惑わされた私は剣を投げ捨て、その場で蹲ってしまう。


「ミーナ様!!」


 慌ててソフィアが駆け寄り、震える私の手を優しく握りしめてくれた。


「大丈夫ですか?」


 激しい動きしていないのに私は息を切らし、顔と背中一帯に冷や汗が流れる。




 ◇◇◇




「……落ち着きましたか?」


「……うん」


 謎の発作によって訓練は中止となり、ソフィアとサラスの休憩小屋でホットミルクを啜る。


「……あのね、ソフィア」


「今は無理に話さなくても大丈夫ですよ。少しサラスとここで休んでいてください。私は門番の仕事をしていますので……」


 淡々とした口調で私に背を向け、ソフィアはそのまま小屋から出て行った。私は呼び止めることも出来ず、視線をホットミルクに向ける。そんな私を見たサラスは私の向かいに座り、ホットミルクを一口飲む。


「私は現場を見ていないですが、どうしたんですか?」


「……構えの練習で、ソフィアに剣を向けようとしたんだけど、体が急に動かなくなって……初めての現象だったから私も戸惑っちゃって……ソフィアには迷惑かけたわね。面倒なヤツだと思ってるかな?」


 するとサラスはクスクスと笑い、ホットミルクを飲む。


「意外と臆病なんですね。ミーナ様」


「なッ!?」


「安心してください。ソフィアはそんなこと思ってませんよ。寧ろ、責任を感じていますよ」


 私は目を丸くし、「え?」と声を漏らしてしまう。


「それよりも、震えの原因は分かりますよ」


「分かるの?」


 サラスの表情から冗談ではないと察し、私は真剣な眼差しでサラスを見つめる。

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伊澄ユウイチです!


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