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緊急事態

 突然片膝をつくジークに驚いたシャフリは、オドオドしながらジークに尋ねる。


「ど、どうしたんですか? ジークさん?」


「失礼……落ち着いて聞いていただけますか?」


 シャフリはコクリと頷き、私は口を固く閉じ、話の流れを見守る。


「先ほど旦那様から連絡があり、シャフリ様のお父様……バルディゴ様が何者かにより、意識不明の重態に陥ったようです」


「え?」


 目を丸くし、シャフリはその場で固まる。私も驚きを隠せず、自然と口が開き、ジークに詰め寄る。


「ジーク……アンタ何言ってるの? 冗談にしてはキツいわよ」


「お嬢様。自分も嘘だと思いたいのですが……」


 ジークが俯いたことにより、私とシャフリは冗談じゃないと察してしまった。


「お……お父さん。う……うぅ」


 シャフリはその場に倒れ込み、床に顔をつけて泣き叫ぶ。泣き叫ぶシャフリを見た私は、無意識にジークの胸ぐらを掴んでいた。


「嘘だと言いなさい。嘘なんでしょ?」


「…………」


 ジークは私から目を逸らし、私は軽く舌打ちして、ジークの胸ポケットに入っている通信バットを取り出し、起動させる。


『すまない、ジークくん。後でかけ直す』


 通信バットから父の声が聞こえ、私は怒りに任せて暴言を吐く。


「おいッ!! クソ親父ッ!! ありもしないこと言ってんじゃないわよッ!!」


 話している相手が私だと分かった父は、通信を切断するのをやめた。


『ミーナ?』


「アンタ……シャフリのお父さんは元気なんでしょ? なんともないんでしょ?」


 数秒ほど沈黙が続いたが、シャフリの泣き声が聞こえたのか、父はため息をついて事情を説明する。


『……かなり酷い。刺し傷が多く、かなり出血している。見たところ急所は外れているが、僕からはなんとも言えない。今、お医者さんが全力を尽くして処置を行っている』


「そんな……」


『すまない……色々忙しいから切るぞ』


 一方的に通信を切断され、通信バットをジークに返す。


 色々こみ上げるものは多かったが、私は真っ先にシャフリに目を向け、ゆっくり歩み寄る。


 泣き崩れているシャフリを見てもらい泣きしそうになるが、私は気持ちをしっかり保ち、シャフリに声をかける。


「シャフリ。今すぐお父さんのところに行きなさい」


 シャフリは言葉を返せず、嗚咽し続ける。私はシャフリの肩に手を当て、無理矢理目を合わさせる。


「大丈夫よ。きっとアンタのお父さんは目を覚ますわ。だから、目が覚めるまで寄り添っていなさい」


「うぅ……で、でも……」


「辛いのは分かるけど、アンタがしっかりしなきゃダメでしょ?」


 シャフリは数秒ほど私の目を見つめ、溢れ出ていた涙を拭い、くしゃくしゃの顔のまま、窓に向かって駆けていく。


「ミーナちゃん……ごめん。私、行くね」


 私はコクリと頷き、窓から勢いよく飛んでいくシャフリを見送る。そして、背後にいるジークに命令を出す。


「ジーク。今からシャフリに付き添ってあげなさい」


 ジークは私の横に立ち、言葉を返す。


「よろしいのですか?」


「残っている仕事は私とメイドたちが片付けておくわ。アンタはシャフリに付き添い、シャフリのお父さんを襲った犯人を見つけてきなさい」


 私の言葉を受け取ったジークは少し微笑み、窓に向かって駆けていく。


「承知しました! お嬢様!」


 窓から飛び降り、木の上を飛んでいくジークの姿が見えなくなるまで私は窓際に立ち続けた。


 シャフリ……きっと大丈夫よ。




 ◇◇◇




 王宮市街地の路地裏にて、フードを被った男3人が集まる。


「浅かったな」


「ああ。急所を外され、防御魔法まで張られた。まるで殺しに来るのを知っているようだった」


「訪れてきた客に騒がれ、撤退する羽目になったが、しばらくは動けないだろう」


 ヒソヒソと話している男たちに、ある男が近づく。


「殺し損ねるとは、情けない奴らだ」


 男たちは声が聞こえる方向に目を向け、その人物の顔を見た瞬間跪く。


「リギル王子!」


「全て見ていたぞ。2人が気を引いて、背後から不意を突く暗殺。悪くはないが、手練れだと通達したはずだ。まさか、甘く見ていたわけじゃないな?」


 リギルの鋭い眼光は男たちの目を貫く。

 男たちは生気を吸い取られているかのように口が渇き、無意識に体を震わせ、頭を下げる。


「い、いえ……決してそのような……」


「まあいい。1度の失敗は目を瞑ろう。だが、次はないと思え。これ以上、ターゲットたちに警戒されると消しにくくなる。もし失敗したら……」


『し、失敗したら?』


 リギルは腰に携えている剣を抜き、切っ先を男たちに向ける。


「お前たちの命を頂く」


 リギルから放たれる異様な気配を感じ取った男たちは、顔色が青を通り越して白くなり、眼球が血走る。


 怯え続ける男たちを見下し続けるリギルは剣を納め、男たちに背を向ける。その時、何かを感じたリギルは狂気じみた笑みを浮べ、クスクスと笑い出す。


「丁度良い。近くに次のターゲットがいやがる」


 腕を組み、ゆっくり歩を進めながら、リギルはある方向に目を向ける。


(人外種と人外種に与する人間どもは、この世に1人も残しはしないッ!!)

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伊澄ユウイチです!


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