表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/172

ミーナと仕事1

 私は今、非常に機嫌が悪い。


 理由? それは私の前にいるクソババアが朝早くから呼び出して、狂気じみたことを抜かしているからだ。


「何で私がアンタの仕事を手伝わなくちゃいけないのよッ!!」


「だって~、カーリーちゃんが熱を出して寝込んじゃったから……」


 ちょっと待て……前日のジークの話を聞く限り、大雨降ってる中、カーリーに庭の手入れをしろって命令したのはアンタでしょ? そりゃあ、カーリーに非があるらしいけど、体調崩させるような罰を与えるんじゃないわよッ!!


「ざっけんじゃないわよッ!! 自分が下した罰でカーリーが体調崩したんでしょ!? それで人手が足りなくなるのは自業自得よッ!!」


「うぬッ……返す言葉がないわ。でも、今日だけ手伝って欲しいの」


 しつこい……いつになく食い下がってくる。


「どうしても王宮街で商談してこなくちゃいけないの。1件2件程度ならエディックに行かせるんだけど、件数も多い上に、急を要するものが数件あるから、エディックだけじゃ捌けないし、私も出なくちゃいけないの。だから今日だけジークくんと一緒に書類整理して欲しいのッ!」


 私の横で一言も発することなく笑みを浮べているジークを見て、私はさらに声を大にし、執務机を思いっきり叩く。


「だからって何で私が!?」


 すると母は背もたれに背を預け、思いを口にする。


「話すのはまだ早いかなって思っていたけど、仕方ないわ……ミーナちゃん。貴女はいずれこの屋敷を継ぐ事になるのよ?」


「屋敷を継ぐ? 私は継ぐ気なんてないわ」


「そうはいかないわ。代々続くミストレーヴ家の土地を管理し、人々に分け与える。これは初代アルカディア国王と初代ミストレーヴ家当主で交わされた絶対に破ることが出来ない約束。末代まで続く約束よ」


 勝手な約束交わしやがって……初代ミストレーヴ家当主をぶん殴ってやりたいわ。


「それに、書類整理をミーナちゃんに手伝ってもらおうって言い出したのはジークくんよ」


 私の視線は即座にジークに向き、私は流れるようにジークの胸ぐらを掴み、前後に揺さぶる。


「またアンタは余計なことを提案してッ!! もう少し私の思いを尊重しなさいよッ!!」


 揺さぶられているジークは笑みを保ったまま、私に言葉を返す。


「ハハハ……お言葉ですがいつもお嬢様の思いを尊重していますよ。それに、これはお嬢様が成長できるチャンスだと考えているのですが……」


 成長という言葉に反応した私は手を止め、ジークを解放する。


「成長? まーた訳の分からないことを……」


「言葉の通りですよ。王宮での会食以降……いや、その前からお嬢様の心の成長を感じておりました」


「だったら良いじゃない」


「いえ。心は成長していても、一般常識はお世辞にも成長しているとは言えません」


 言っていることは間違いなく正論なはずだが……何かムカつく。


「かといって、いきなり外に出て学ぼうにも、まだお嬢様は他人に対して抵抗があると自分は見ています。なので、屋敷の中で一般常識を身につけられないか模索していたところ、奥様から手伝って欲しいと声をかけられたのです」


「お願いッ!! ミーナちゃんッ!! もちろんタダとは言わないからッ!!」


 手を合わせて懇願する母を横目に、私は顎が痛くなるくらい歯ぎしりし、苦渋の末、答えを出す。


「だぁーッ!! もう!! 分かったわ!! 今日だけよッ!! 2度はないからね!!」


 すると母は明るい笑みを浮べ、ジークは「よしよし」と言わんばかりの表情を浮かべる。


「ありがとうッ!! ミーナちゃん!! それじゃあ、仕事内容はジークくんに説明してあるからジークくんに全部聞いてね。それじゃあ、もう行くからね」


「あ、ちょっと!!」


「あと、ジークくんや他の人に迷惑かけちゃダメよ?」


 アンタは今、私に大変迷惑をかけているんだけど?


「ちょっと待てッ!!」


 私の怒鳴り声では母は止まらず、颯爽と部屋から出て行ってしまった。


「あんの……クソババアァァッ!!」


「まあまあ……お気持ちは分かりますが、落ち着いてください」


「落ち着けるかッ!! 第一アンタが……」


 ジークの顔に指を指した瞬間、怒りが呆れに変わり、母が座っていた椅子に腰を下ろし、ため息をつく。


「……はぁ。半ば強引だったけど、引き受けてしまったものは仕方ないわ。で? 書類整理って何をすれば良いの?」


「業務に取りかかる前に1つ良いですか?」


 人がやる気を出そうとしているのに何よ?


「さっさと言いなさい」


 するとジークは出入り口に向かっていき、廊下に出て、ワゴンを押しながら部屋に戻ってくる。


「まだ朝食を取っていませんでしたね。何かをするにしても、朝食を食べないと最高の働きをすることは出来ません。どうぞ」


 微かに香る紅茶の香りと……クリーミーな匂い。恐らくポタージュだろう。嗅覚を刺激され、私の腹部が突然鳴る。


「クッ……」


 するとジークは笑みを浮べて紅茶をカップに注ぎ、私の前に置く。


「どうぞ」


 我慢できなくなった私は紅茶に手を伸ばし、一口飲む。


 紅茶を飲んでいる間にジークは料理を私の前に並べ、紅茶によって思考を停止させられた私は、次々と料理を口に運んでいた。

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!

伊澄ユウイチです!


今後の続きが気になる方はブックマーク登録よろしくお願いします!

誤字脱字、文章的におかしな部分がありましたら報告お願いします。

面白かったら評価や感想を送っていただけると今後の励みになります。差し支えなければよろしくお願いします!


これからも楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ