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ミーナの強行1

 依然として豪雨が降り続く中、門を守るソフィアとサラスは雨に耐えていた。


「……酷い雨ね。午前中はいい天気だったのに。いつまで降るんだろう?」


 やる気のなさそうな目で雨雲を見つめるサラス。そんなサラスの言葉に、ソフィアは視線すら動かすことなく言葉を返す。


「天気は神の気まぐれで変わる。もし神が存在していて、私たちを試しているのであれば、立ち続けるしかない」


 超が付くほどの真面目な表情を浮かべているソフィアを見て、サラスも気合いを入れ直す。


「そうね。試されていると思えばなんてことないわね」


 口を閉ざし、門番という業務を全うする2人だが、神が心を折らせようとしているのか、数百メートル先で雷が落ちる。轟音と共に地が揺れ、思わず表情を崩してしまう。


「ヒイィィィィ~……何なのこれ!? 嫌がらせなの!?」


「天然の雷の威力は本で読んだけど、結構ヤバそうね」


「冷静に分析しないでッ!! ソフィア!!」


「そんなことよりも、さらに雨脚が強くなった……ボロ合羽じゃ限界ね」


 合羽から雨が染みこむことによって、体や衣服を伝って雨が長靴の中に入り込む。それによって足から冷え始め、徐々に体温が低下し始める。


「寒い……風も強い。結構キツいかも……」


 寒さで体を震わせているサラスを横目に、ソフィアはある決断を下す。


「サラス。雨脚が弱くなるまで休憩小屋で休んでて」


「え?」


「サラスは熱発開けで病み上がり。これ以上無理するのは良くない」


「でも……それだと」


「ミーナ様に認めてもらいたい気持ちは痛いほど分かる。だけど、体を壊したら元も子もない。音楽団の時みたいに後悔するつもり?」


 後悔という言葉がサラスの記憶を呼び起こし、サラスは下唇を軽く噛む。


「ソフィアさんの言うとおりです」


 突然背後から声をかけられた2人は体をビクつかせ、思わず構えてしまう。


「そんなに驚かないでください。自分です。ジークです」


 傘を差し、笑みを浮べたジークが再び2人の前に現れる。


「ジークさん!」


「気配も音も消して近づいてくるとは、笑顔に反して趣味が悪い……で? 何でしょうか? 豪雨の中、それも短時間の間に2回も顔を出すなんて」


「ソフィアさん。サラスさん。一度屋敷に入ってください。戻ってくるまでの間は自分が門番をしています」


「屋敷の中に?」


「どういうこと?」


 ジークは2人の間に入り、見張りを始める。


「気が回らなくてすみませんでした」


 突然謝罪の言葉を述べられ、2人は顔を見合わせる。


「……業務命令です。とにかく屋敷の中へ」


 ジークに質問を投げる2人だが、ジークから言葉は返ってくることはなく、仕方なしに2人は屋敷の中に入っていく。


 屋敷の扉が閉められた瞬間、ジークは口元を吊り上げる。


「……ソフィアさん。サラスさん。良かったですね」




 ◇◇◇




「遅っそいッ!! 呼ばれたらすぐに入ってきなさいッ!!」


 ソフィアとサラスが玄関に入ってきた瞬間、私は怒鳴り声を上げ、2人は目を丸くする。


「み、ミーナ様!?」


「ミーナ様。合羽のまま、失礼しました」


 ソフィアとサラスがその場で跪いて、最敬礼をしようとしていたが抑止する。


「あー、もうッ!! 面倒くさいッ!! そんなことしてないでさっさと合羽脱いで入りなさいッ!!」


 2人は顔を見合わせながらも合羽を脱ぎ、畳み始めるが、私は2人の動きを見てため息をつく。


「さっさとしなさいッ!! そこにタオルがあるから靴下脱いで、足を拭いて、スリッパ履いて、私の後に付いてきなさいッ!!」


 状況を理解できていないのか、2人は再び顔を見合わせ、ぎこちない動きで長靴を脱ぐ。


 あー、もうッ!! 疑問を抱かないで命令に従いなさいッ!!


「さっさとしなさいッ!!」




 ◇◇◇




 その後は2人とも遅れることなく私の後に付いてきて、私は2人をある場所に押し込む。


「ミーナ様……ここは?」


 部屋の中を見渡したソフィアが思わず口を開ける。


「見ても分からない? 浴場よ。浴場」


「失礼。流石に分かりますが……」


 鈍感なのか頭が弱いのか分からないけど、察しろよ。


「2人とも。入浴しなさい」


『入浴!?』


 2人は驚きの表情を浮かべ、困惑する。


「失礼ですが、入浴の時間には早すぎるかと……それに私たちはまだ業務が」


 ソフィアが言葉を返してくるが、私は全て突っ返す。


「業務はしばらくの間、ジークに代行してもらう。アンタたちは何も考えずに入浴しなさい。着替えは既にジークが棚の中に用意してくれているわ。それじゃあ、上がったら向かいの部屋に来なさい。しっかり肩まで浸かるのよ? でないと、また風邪引くわよ……サラス」


 名指しされたサラスは背筋を伸ばし、元気な声で返事をする。


 私は2人を置き去りにし、向かいの部屋に入り、クローゼットを開ける。


「……えーっと、確かこの辺に……お、あった!」


 探し求めていたものを手にした私は自然と笑みを浮べ、ソファーに座り込み、ジークが用意してくれた紅茶を飲みながら、2人が浴場から出てくるのを待った。

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!

伊澄ユウイチです。


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