ジークと門番3
白く輝く魔方陣が2人の足下に現れ、2人に何らかの力が付与された。それに気づいたジークから笑みが消え、目を細めて2人の出方を覗う。
「お待たせしましたジークさん」
「ここから……転調しますよ」
サラスは再び魔道書を開き、隣にいたソフィアはその場から消える。危険を察知したジークは空中に逃げる。
「判断が速いですが、追いつけますよ」
「ッ!?」
姿を消していたソフィアがジークの背後に現れ、一の字に剣を振る。間一髪、ジークは体を捻らせ直撃を免れたが、追撃の足技に引っかかり、抵抗虚しく地面に落とされる。
そして、地上で待機していたサラスが動く。
「その隙は見逃しませんッ!」
サラスの周囲に雷を纏った球体が現れ、ジークに向かって飛んでいく。
(雷の魔法……中級魔法のスパークか、上級魔法のライトニング)
炎魔法のフレアとは速度が違い、あっという間にジークの目の前に雷魔法が迫る。だが、ジークは慌てることなく横に飛び、雷魔法を回避する。
その時、サラスが笑みを浮べる。
「追尾!」
突如雷魔法が軌道を変え、再びジークに迫る。これにはジークも驚き、回避を諦め、迎撃態勢に入る。
「背後がガラ空きですよ」
雷魔法を処理しようとしたその時、再び背後にソフィアの姿が現れ、ジークの首を狙う。
絶体絶命の状態を目にしたカーリーは思わず叫ぶ。
「ジークくんッ!!」
カーリーの叫び声は雷魔法の轟音によってかき消され、ジークがいた場所は土煙が舞い上がる。直撃の手応えがあったサラスは笑みを浮べ、小さくガッツポーズをする。
ジークの安否が気になるカーリーは土煙を見つめていた。その時、土煙の中からソフィアが弾き出される。
「そ……ソフィアッ!!」
地面に倒れ込むソフィアに駆け寄ろうとするが、土煙から声が聞こえ、サラスは再び魔法を唱えようとする。
「なるほど……護符演奏・フォルテ。使用者のあらゆる部分を強化する、貴女たち専用の魔法ですか」
土煙が晴れ、爆心地には傷1つ付いていないジークの姿があり、服に付いた土埃を払っていた。
「そ、そんな……雷魔法直撃した上に、ソフィアの追撃があったはず。無傷だなんて」
「ソフィアさんの強襲も、サラスさんの複合魔法もお見事ですね。雷魔法が軌道を変えて向かってきたときはヒヤヒヤしましたよ。雷魔法に風魔法を付与させたのでしょうかね?」
サラスが放った魔法を冷静に分析して、ジークはサラスに答えを求める。現状を受け止めきれないサラスは言葉も返さず、ジークに再び雷魔法を放つ。
「冷静さを失って複合で魔法を放てませんでしたか……」
残念そうな表情を浮かべたジークは軌道を完全に見切り、雷魔法を躱す。
「さ……サラス。やめて……桁が……違う。にげ、て……」
地面に倒れているソフィアが掠れた声でサラスに逃げろと勧めるが、その声はサラスに届いておらず、サラスはさらに魔法を放つ。
魔法を躱しつつ、ゆっくり歩いてサラスとの距離を縮めるジーク。そして、笑みを浮べて、サラスに声をかける。
「もう少し楽しみたかったのですが、ダラダラと仕事をするのはモットーに反するので……」
態勢を低くしたジークは笑みを消し、鋭い目つきでサラスを見つめる。見つめられたサラスは凍り付いたかのように動きを止める。一瞬にしてジークの顔が目の前に現れ、絶望する。
「2秒だけ本気を出しますね」
ジークは拳を作り、拳から黒い炎が溢れ出る。
そして、目視できないほどの速さでジークはサラスの腹部に拳を寸止めし、寸止めしたにも関わらずサラスは気絶する。
その場に崩れそうになっているサラスをジークは優しく支え、倒れ込んでいるソフィアに目を向ける。
「どうしますか? まだ続けますか?」
ソフィアは歯をギリギリと鳴らし、立ち上がろうとするが、体が全く言うことを聞かず、再び倒れ込む。
戦うという意思は折れていないが、気絶しているサラスを見て、ソフィアは決断する。
「いや……負けを認めます」
◇◇◇
「う、う~ん? ……あ、あれ?ここは?」
心地よい風を浴びて、目を覚ましたサラスは周囲を見渡す。
「目が覚めましたか。やはり回復速度は人間よりも速いですね」
「ジークさん」
無理矢理体を起こそうとするサラスだが、体全体に痛みが走り、顔を歪めて再び横になる。
「無理はしないでください。加減したつもりですが、思った以上にダメージを蓄積させてしまいました。申し訳ございません」
申し訳なさそうな表情を浮かべるジークを見て、サラスは瞼を閉じて笑みを浮べる。
「気にしないでください。全力でって言われていたのに全力で挑まなかった私が悪いですから。きっとバチが当たったんでしょうね」
「そう……ですか」
「サラスッ!!」
遠くからソフィアの声が聞こえ、サラスは顔を歪ませながらも上半身を起こす。
「良かった……サラス」
「ソフィア……」
ソフィアはサラスの胸に飛び込み、ギュッと抱きつく。
「ちょ、痛い痛いッ!! ソフィア!! 痛いってばッ!!」
「あ、ごめん……」
痛みを訴えるサラスから離れたソフィアは少し落ち込むが、落ち込んだ顔を見たサラスは優しくソフィアの頭を撫でる。
「ありがとう。よく頑張ったね」
撫でられたソフィアは自然と笑みを浮べる。2人の光景を見守るジークも笑みを浮べ、屋敷に向かって歩みを進める。
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