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ミーナを訪ねて2

 来客が待っている部屋の前についた私は、深く息を吸って会う覚悟を決める。


「宜しいですか? お嬢様」


「ええ。その前に……」


 私は隣で笑みを浮べ続けているシャフリを細めた目で見つめる。


「ん? どうしたの? ミーナちゃん」


「なんでアンタまで付いてきているの?」


「どうしてって……気になるし」


 冷やかしているわけでもなく、天然で発言しているのが少し羨ましい。


「良い? 私のお客よ? 相手は私を望んでいるの。アンタは望んでないわよ」


 ショックを受けたシャフリだったが、望んでなくても一緒に中に入りたいと懇願する。


 まあ、居ても居なくても変わらなさそうだし、今回はシャフリの自由意志に任せましょうか。


「入っても良いけど、余計なことは口出ししないでよね」


 入室の許可を貰えた瞬間、シャフリは満面の笑みを浮べて入室の時を待つ。


「お話がまとまったようなので、行きましょうか」


 私とシャフリは同時に頷き、ジークは扉をノックする。そして扉の向こうから母の声が聞こえ、ジークはゆっくりと扉を開ける。


「失礼します。大変お待たせしました」


 ジークの後に続き、私とシャフリも部屋の中に入る。


 一瞬だけ客の姿が視界に入ったが、容姿を見ただけでは誰なのか思い出せなかった。


「待ってたわよ。ミーナちゃん。あら? シャフリちゃんもいるの?」


「エヘヘ。ちょっとお邪魔させてもらってます」


 母が私の名前を口にした瞬間、客人2人が立ち上がり、私を最敬礼で迎える。


 突然の出来事に私は困惑しかけたが、そこまでしなくてもいいとジェスチャーし、父が2人の敬礼を解かせる。


「ミーナちゃん。紹介するわ。この2人は……」


「サラス・ツェリーゼです。会食時の演奏会では大変ご迷惑をおかけしました」


 サラスと名乗る銀髪ケモ耳女性が、微笑んで私に頭を下げる。


 そして、演奏会というワードで私は全てを思い出した。


「ああッ!! 熱発で倒れたピアニスト!!」


「そうです。ミーナ様が不甲斐ない私の代わりに演奏してくれたお陰で、音楽団の最後の演奏会を乗り切ることが出来ました。本当にありがとうございました」


 サラスは深々と頭を下げ、私は軽く息を吐き、サラスに頭を上げてくれと頼む。


「そこまで感謝しなくても良いわよ。あの時、私はピアノを弾きたかっただけ。それだけよ」


「ミーナ様……そう言って貰えると嬉しいです」


 そして、私はサラスの隣にいる金髪ケモ耳少女に目を向ける。


「アンタがあの時のピアニストなら……アンタはフルート奏者?」


「察しが良いですね。仰るとおり。私はソフィア・グラン。その節はどうも」


 笑みを浮べているサラスとは対照的で、ソフィアは表情を変えずに私を見つめてくる。無愛想でトゲトゲしているように見えるが、口調は優しく、声色も明るめだった。


 2人から感謝の言葉を受け取ったが、赤の他人から感謝されたことがない私はどう反応すれば良いか分からず、2人から視線を逸らし、後頭部をガリガリと掻く。


「まあ……感謝の言葉は素直に受け取らせてもらうわ。ところで、前に会ったときはケモ耳なんて生えてなかったように思えるけど……」


 私の率直な疑問にサラスは笑みを浮べて答える。


「あの時の私たちは能力を使って、外見を変えていました」


「能力を使って?」


 私と隣にいるシャフリは首を傾げ、ソフィアがその理由を述べる。


「私とサラスは音楽団の他に、護衛の仕事もしていた。王宮内では人外種を嫌う者もいて、私とサラスは生まれながら持った能力を駆使して姿を偽っていたんだ」


 ソフィアの言葉を私はすんなりと受け入れることが出来た。


 会食の時も、私や母を軽蔑するような眼差しで見ていた人間が複数人いた。


 正直、居心地は良くなかった。


「外見を偽っていたのは分かったわ。で? アンタたちは何の種族なの?」


「私たちは化け狐。妖狐と呼ばれている種族です」


「化け狐? 妖狐?」


 私は首を傾げるが、隣にいたシャフリが食いつく。


「聞いたことがあります! 数千年前から存在し、周りの生き物を惑わし、誰にも存在を知られないように生きているって本で読んだよ! でも、最近では誰も見てないから絶滅したって噂が……」


「絶滅? 聞き捨てならないな」


 絶滅という単語に反応したソフィアは、腰に携えていた剣に手をかける。シャフリは身の危険を感じたのか即座に謝り、サラスがソフィアを止める。


「ソフィア、落ち着いて。そう、貴女の言うとおり、私たちの種族は絶滅寸前なの。数年前に原因不明の病が流行り、多くの仲間が命を落としたわ。生き残った妖狐たちはイクセプト全ての大陸に散り、私とソフィアはアルカディアで今日まで生きてこられたの」


「そうだったんですか……本当にすみません」


 シャフリが反省したのを確認したソフィアは剣から手を放し、ソファーに座り込む。


 話を終始聞いていた私は、あることに気づき、2人に問いかける。


「アンタたちの今日までの苦難は分かった。だけど、現在王宮で護衛の仕事をしているアンタたちが何でここにいるの? 私にこの前のお礼を言いに来ただけじゃないわよね?」


 2人の表情が変わり、緊迫した空気が漂う中、母が口を開ける。


「流石私のミーナちゃん」


 私のミーナって気持ち悪いから言うな。クソババア。


「訳あって2人は王宮の仕事を辞めて、ここで働きたいって言うの」


 大体想像は出来ていました~。誰でも分かるよね~。そして、私の答えも分かるよね~?


「拒否ッ!!」

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!

更新が遅すぎて、年を越してしまうどころか、一月の中旬に差し掛かろうとしています。

いつも楽しみにしていただいている方には大変申し訳ございません。


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