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ミーナの成長3

 完全に日が昇り、時刻は7時を過ぎた。


 未だ夢を見ているシャフリを見て、私は拳を作り、声を張る。


「いつまで寝てるのッ!? クソシャフリィッ!!」


「むあッ!? ん~、いきなり大きな声出さないでよ~。ミーナちゃん」


「他人のベッドでスヤスヤと熟睡できるアンタが羨ましいわッ!! とっとと起きろッ!!」


 布団に籠もって再び夢の中に戻ろうとするシャフリだが、私は容赦なく布団を引き剥がす。


 しかし、布団を引き剥がしてから気がついた。確かコイツ……。


「いッ!? まだそんな格好していたのッ!?」


「いやあぁぁぁぁ!! ミーナちゃん、布団取らないでよ~。寒いじゃない」


「寒いなら服着て寝ろッ!! と言うかいつ脱いだのッ!? よく他人のベッドで出来るわねッ!!」


「だって~。大事な服だし、シワが出来るの嫌だし、私は服着ないで寝るのが習慣だし……」


 そんな習慣、家だけでやれッ!! 私のベッドでするなッ!!


「早く服着なさいよッ!!」


「え~。もう少しだけ寝かせて~。何かミーナちゃんのベッド良い匂いして、気持ちいいの~」


「ヒッ!? 気持ち悪いこと言うなッ!! さっさと起きろッ!!」


 再び布団に籠もろうとするシャフリを起こそうとするが、シャフリも抵抗を見せてくる。


「しぶといわね……諦めなさいッ!!」


「ヤダッ!! あと少しだけ!!」


 その時、部屋の扉が開き、私とシャフリは同時に扉に目を向ける。目を向けた先には、ワゴンを押しているジークと、帰り支度を済ませたバルディゴさんの姿があった。


『あ……』


 私とシャフリは声を重ね、私たちの様子を目の当たりにした2人はキョトンとした表情を浮かべる。


 ヤバい……完全に詰んだ。どうやって言い訳すればいいのぉぉ!?


「ば、バルディゴさん……ジーク……これは、その~」


「ミーナ様」


「は、はひ!!」


 ただでさえ強面なのに、真剣な表情を浮かべるバルディゴさんの言葉に対し、思わず声を裏返してしまう。


「合意の上かな?」


「……はい?」


 今度は私がキョトンとし、真剣な表情を保ちつつ、バルディゴさんは続きを述べる。


「不束で、おてんばな娘だが、合意ではない行為ならば許しはしませんぞ」


「お嬢様。お嬢様の趣味に意見をするつもりはございませんが、百合は生産性がありません。個人的にはあまりオススメしませんが……」


 なに真剣に真に受けてるのよッ!! 違うしッ!! 私そんな趣味ないしッ!! 勘違いしないでぇッ!!


 と言うかジークッ!! 何冷静にアドバイスしているのよッ!!


「そうなのお父さん……ミーナちゃんが無理矢理……」


 余計なことを言うなッ!! クソシャフリッ!! ややこしくなるじゃないッ!!


「ち、違いますッ!! シャフリが中々起きないから起こしていただけで、思っていることはしていませんッ!!」


「むぅ? ならば無理矢理というのは?」


「無理矢理は布団を取っただけですッ!!」


「……それじゃあ、何故娘は服を着ていないんだ?」


 私が聞きたいわよぉぉぉぉ!!




 ◇◇◇




 私の懸命な弁明のお陰で、誤解されずに済んだが、私の機嫌は最高に悪くなった。


「勘違いしてしまってすまない……あまり機嫌を損ねないでくれないか?」


「別に……損ねてませんよ」


 別室で着替えたシャフリが私の部屋に戻ってきて、悪びれることなく、いつもの定位置に座る。


「いやぁ~、勘違いさせてしまってごめんね~」


 全部お前の所為だよ。もう少し反省しろ。


「このバカ娘!! 他人様のベッドで寝た上に、服を着ないとは何事だ!! もう少し恥じらいを持て!!」


 バルディゴさんはシャフリの頭を軽く叩く。


「イテッ!! お父さん人前だよ~。叩くのは良くないよ~」


 確かに他人が叩かれる光景はあまり見たくはないが……気分的にあと数発は叩いて欲しいわ。


「本当に申し訳ございませんでした」


 バルディゴさんは深々と頭を下げ、シャフリは強制的に頭を下げさせられた。


「……はぁ。私に罰する権利があるわけじゃないからもういいわよ」


 一見許したかのように見える台詞だが、正直なところ相手にするのが面倒になっただけ。あと、謝ってないヤツが1人。


 ジークに視線を向けるが、一向にヤツは私に視線を合わせようとしない。


「アンタから謝罪の言葉をもらってないだけど?」


 ジークは体をビクつかせ、ようやく私と視線を合わせる。


「余計なアドバイスまでして……あんまり私を怒らせないでよ」


「も、申し訳ございません」


 深々とジークは頭を下げるが、やっぱり私の気が晴れなかった。


 だけど、シャフリとバルディゴさんの前でこれ以上叱責するのは良くないと判断した私は、ため息をついて頬杖をつく。


「とにかく朝食を出しなさい。シャフリは朝食食べたら今日は帰って」


「はい……」

「分かったよ……ミーナちゃん」


 いつもはすぐに笑みを浮べる2人だが、なぜか落ち込み、暗い表情を浮べる。


 何よ……2人とも。らしくない顔して……こっちが悪いみたいじゃない。


 重苦しい空気のまま、朝食を食べ、食べ終えたシャフリは「ごちそうさま」と言葉を残して、バルディゴさんと共に部屋から出て行く。


 全ての食器を回収したジークも、余計なことを口にすることなく、私の部屋から出て行った。

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