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王宮での会食3

 ジークの名前を聞いて国王が驚いていた刹那、会食の準備が整ったことを知らせに来た大臣たちが扉をノックする。


「失礼します。国王様、準備が整いました」


「あ……ああ。分かった。すぐに行く。先に広間で待っていなさい」


「承知しました」


 大臣たちは扉を開けて、颯爽とその場から去った。


 大臣たちの後を追うように、国王も足を動かし始め、部屋から出ようとする。


 その時、一瞬だけジークと並び、ジークに何か話していた。声が小さすぎて何を言っているのか分からなず、国王はそのまま部屋から出て行き、ジークは笑みを浮かべていた。


「さあ、私たちも行きましょうか」


 母が部屋から出て行くと、私とジーク以外部屋から出て行ってしまった。


「お嬢様。早く行きましょう」


 笑みを浮かべ続けているジークに目を向け、私はジークに疑問をぶつける。


「アンタ……国王と関わりがあるの?」


 少し眉をハの字にするジークにさらに問い詰める。


「主人である私に隠し事はしないでよ」


「隠すつもりはございません。時間に余裕がありましたらお話しします。ですが、今は会食の真っ最中です。どうか、この場はお許しを」


 数秒ほどジークの目を見つめ、私をなだめるかのようにジークは笑みを再び浮かべる。


「……分かったわ。行きましょうか」


「ありがとうございます」


 今は吸血鬼の力を使えないから嘘をついているのか見極められないけど、ホントいつ見ても真っ直ぐですんだ綺麗な目をしているわね。


 そんな目されたら、疑うのをやめざる終えないじゃない。


 私とジークはみんなの後を追い、会食をする広間へと向かった。




 ◇◇◇




 広間に辿り着いた私は、給仕に案内され、指定の席に腰を下ろす。


 隣に座っているシャフリがニヤけ顔になっているのに気づいた私は、呆れ顔で声を掛ける。


「何ニヤついているのよ」


「来るのが遅いと思っていたら、ジークさんと一緒に来るなんてね~」


 お前の頭の中は恋愛事で一杯か。それにシャフリが想像しているようなロマンティックな会話はしてないわ。


「何もないわよ」


「そぉお? あ、今気づいた。その髪飾り綺麗だね~。ちょっと見せて~」


 シャフリが私の髪飾りに手を伸ばそうとしてきたが、私は必死に抵抗する。


「ちょ、触らないで! 見るだけなら触らなくても良いでしょ!」


「もう少し近くで見たいんだもん。お願い! ちょっとだけ~」


 もぉ~、面倒くさい!! どんだけ見たいんだよ!!


「うるさいガキどもだな。静かに出来ないならこの場から出て行ってくれ」


 テーブルを挟み、向かい側から声が聞こえ、私とシャフリは口と手を止め、声が聞こえた方向に視線を向ける。


 視線の先には金髪で美形の男が座っていたが、とても機嫌が悪そうだった。


「口が悪いヤツね。いきなり口を挟んできて何? 礼儀ってものを知らないのかしら?」


「その言葉。そのまま返させてもらう」


 私の挑発に対して冷静に言葉を返してきたコイツ……ムカつくッ!!


「何で一般人と人外種を招き入れて食事をしなければならないんだ? 不愉快極まりない」


 ヤツの言葉を支持するかのように、大臣たちはクスクスと笑い始め、周りにいた兵士たちは私たちから目を逸らす。


「口を慎め。リギル。お前が今放った一言は、客人に向けるものではない。今すぐ謝罪しろ」


「フン!」


 リギルと呼ばれる金髪男は、私たちに謝罪の言葉を述べることなく、椅子にふんぞり返る。反省していないと感じた国王は勢いよく立ち上がり、怒声を放つ。


「お前みたいな愚息がここにいる資格はないッ!! とっとと出て行けッ!!」


「ああ。出て行ってやるよ。こんなところで食うメシは不味いだろうからな」


 金髪男はフラフラと出口に向かっていく。


 そして、国王の怒声は金髪男だけに止まらず、大臣たちや兵士にまで飛び火する。


「お前たちもだッ!! 他人を差別するような者が国を守れるものかッ!! あの愚息と同じ考えである者は今すぐ立ち去れッ!!」


 すると数十名の兵士たちがゾロゾロと部屋から出て行き、会食の警備を行っていた兵士たちは半分近く減っていた。


「サロミア、エディック。すまない。とんだ身内の恥をさらしてしまった」


 母はいつものようにゆるふわな口調で、国王に尋ねる。


「今のは……」


「ああ。リギル・アルカディア。察しの通り、我が息子だ」


「お初ね。良いことに、貴方と全く似ていないわね」


「フフッ……褒め言葉として受け取っておこう。物心ついたときから、自分は特別だと思っているのか、人を見下すようになってしまった。成人するまでは何とか制御していたつもりだったが、私も年のせいか、全く手に負えなくなってしまった」


 全く……煮ても焼いても食えそうにないヤツね……私は違うよね?


「雰囲気が悪くなってしまったが、折角シェフたちが腕によりをかけて料理を用意してくれたんだ。満足するまで味わっていってくれ」


 国王の一言で給仕がそれぞれのグラスにワインを注ぎ始め、私とシャフリ以外のグラスに注ぎ終えた瞬間、軽く頭を下げて後退しようとする。


「あ、ねぇ!!」

「ちょっと~」


 私とシャフリは微笑を浮かべながらグラスを指さし、注いでいないとジェスチャーする。その時、私とシャフリの肩に手が置かれ、私とシャフリは同時に振り向く。


「何を求めているのですか?」


「ジ、ジーク!?」

「ジークさん!?」


「お嬢様とシャフリ様は未成年のはずです。このジークの目が黒い間は飲酒などさせません。もし隠れて飲もうものでしたら……」


『でしたら?』


 声を重ねる私とシャフリにジークは笑みを浮かべ、囁くような声で恐ろしいことを口にする。


「お二人の料理は没収させてもらいます」


「なッ!?」

「そ、そんなぁ……」


 私とシャフリは机に顔を伏せ、項垂れている私たちをチラ見し、困惑した表情を浮かべながら給仕がグラスに果実ジュースを注ぐ。

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