王宮での会食1
シャフリと会えたことで、何とか王宮に入れる状態に戻った私は、ジークの後について行った。
「キャー!! 王宮には入れるなんて、幸せすぎる~」
シャフリうるさい。
「コラ! 約束しただろ? 子供じゃないんだから、静かにしなさい!」
シャフリの父……えっと、名前は……。
「ミーナお嬢様を見習いなさい! 堂々として、おしとやかじゃないか!」
いや、ただ緊張しているだけだし、他人の目が気になるだけなんだけど……。
「皆様。約束の時刻が迫っています。急ぎ、中に入りましょう」
懐中時計で時刻を確認したジークが、シャフリの父に声を掛ける。
「おお。すまない……えーっと」
「直接会うのは初めてでしたね。私はミーナお嬢様にお仕えしているジーク・アルヴェルドです。以後お見知りおきを」
ジークの名前を聞いた途端、シャフリの父が笑みを浮かべて、ジークの同意を得る前に握手を交わす。
「おお!! そうだった!! そうだった!! サロミア殿から名前は聞いていたが、話すのは初めてだった!! 私は……」
「バルディゴ・クリスティさんですね。ゆっくりお話ししたい気持ちは山々ですが、中に入りましょうか」
長くなると判断したのか、ジークはゆっくりとシャフリの父、バルディゴさんの手を放し、私に近づいてきた。
「行きましょう。お嬢様」
ジークは優しく私の手を握り、王宮の中へとエスコートし始めた。
突然手を握られた私は混乱し、恐らく顔を赤くしていただろう。
「え? ちょ、ちょっと!!」
ふとシャフリの方に視線を向けると、ニヤついた表情を浮かべて口に手を当てていた。
何笑ってんのよッ!!
◇◇◇
バルディゴさんがいたお陰で、難なく入宮審査を通過できた私たちは、客間で待機していた父と母、そして護衛モードに入っているカーリーと合流する。
「あら? やっと来た……と思ったらバルディゴも一緒だったの?」
待っているのに飽きてしまったのか、母はダランとした体勢でソファーに座り込んでいた。
「これはサロミア殿。いやはや、偶然ミーナお嬢様と一緒になってしまいまして」
すると母は肘置きに肘を置き、頬杖をついて、バルディゴさんに目を向ける。
「……私の可愛い娘に触れてないでしょうね?」
気色悪い!! いつも可愛いとか言わないのに、ここぞとばかりに言うんじゃねえよ!! クソババァ!!
「触れてませんよ」
「ミーナちゃんのお母さん、お父さん。そして、カーリーさん。こんにちは!」
屋敷に遊びに来たときの口調と変わらず、シャフリは挨拶をする。
父とカーリーはペコリと頭を下げ、シャフリの顔を見た母は、満面の笑みを浮かべて、姿勢を正す。
「あら~。シャフリちゃん、こんにちは。今日は魔法使いの正装?」
今日のシャフリはいつもの白黒姿ではなく、白のシャツとスカート。白い魔法使いハットに白いブーツ。全身白一色の服装で、胸ポケットやハットに装飾品をつけ、いつも持ち歩いている魔道書を腰のベルトからぶら下げていた。
「はい! 本当はもっと可愛くしたかったんですけど、お父さんがこれにしておきなさいって……」
「ふむふむ」
母はシャフリの姿を数秒観察し、バルディゴさんに視線を向ける。
「……妻バカね」
「なッ!!」
バルディゴさんは噎せ返り、意味が分からないシャフリは首を傾げる。
「だけど……その服、とても似合っているわよ。私はバルディゴの思いを尊重するわ」
「そう……ですか?」
数秒ほど母の言葉の意味を考えていたシャフリだったが、面倒くさくなったのか、笑みを浮かべて、母の向かいのソファーに座る。
シャフリの後を追うように私もソファーに座り、ジークは私の背後に待機する。
一息つこうとするが、間が悪く入り口の扉がノックされる。
「失礼します」
客間に入ってきたのは相応の階級を持っている兵士1人と大臣3人だった。
「ミストレーヴ家とクリスティ家のみなさん。本日はヨハネス・アルカディア国王様との会食に参列していただき、感謝を申し上げます」
兵士が感謝の言葉を述べ、背後にいる大臣3人と共に頭を下げる。
「会食の前に、国王様が皆様に、改めて感謝の言葉を贈りたいとのことです。お疲れの中、申し訳ございませんが、移動を願います」
すると母がゆっくりと立ち上がり、腕を組んで兵士と大臣に言葉を返す。
「あの人はいつから私を動かせるくらい偉くなったのかしら?」
母の一言はその場の空気を凍らせ、父以外の全員が気まずそうな顔を浮かべる。
「さ、サロミア殿?」
母は深くため息をついて、仕方なさそうな表情を浮かべる。
「まあ、良いわ。案内してもらおうかしら」
兵士は顔を引きつりながらエスコートを始め、何事もなかったかのような顔で、母は後に続く。
「僕たちも行こうか」
父も腰を上げ、バルディゴさんやカーリーも足早に客間から出て行った。
「……何か一気にヒリついたね」
シャフリが思ったことをそのまま口にし、スカートの折りを正して、私の手を引く。
「行こう。ミーナちゃん」
「……うん」
一瞬だけ背後にいるジークに目を向けた私は、ジークの表情を見て確信する。
何が気に食わなかったのか、母は兵士と大臣たちに……殺気を向けていた。
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