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いざ王宮へ

 王宮へ行くための身だしなみを整えた私は、ジークと共に門の前で待機させている馬車へと向かう。


「おお~。お嬢様、久しぶりの化粧は如何ですか?」


 門の前で待っていたカーリーが私に化粧の感想を尋ねてくる。


「悪くないものね。口紅は少し違和感を覚えるけど……」


「ふむふむ」


 なめ回すような視線で、カーリーは私の顔をマジマジと観察する。そして、顎に手を当ててカーリーはジークに目を向ける。


「悔しいけど、私よりも化粧が上手いわね。ジークくん。メイクの仕事でもしていたの?」


「恐れ入ります。残念ながらそのような仕事はしていません」


 苦笑いを浮かべつつも、ジークは柔らかい口調でカーリーに言葉を返す。


 確かに、以前カーリーに化粧をしてもらったときよりも綺麗で、手際が良かった。カーリーが経歴を聞くのも無理はないわね。


「ところでカーリー。何で執事服を着ているの? 髪も束ねて」


「あ、似合います? メイド服じゃ動きにくいので、今日は執事服で行こうかなって思ってます」


「…………」


「あ~、お嬢様?」


 私は目を細め、カーリーの身だしなみをチェックした。


「いつも言ってるでしょ!? 手袋はしなさい!! 襟も裏返っている!! 仮にもアンタは女なんだから靴じゃなくて、ヒールを履きなさい!! ジークと並ぶと、だらしなさが出ているわよ!!」


 私が指摘した瞬間、カーリーは「しまった!」と言わんばかりの表情を浮かべ、顔を引きつり始める。


「どうした? 門の前で何を騒いでいる?」


 私の背後から口を挟んできたのは、黒の燕尾服を身に纏った父エディックだった。


「だ、旦那様~。お嬢様が……」


 父は状況を瞬時に判断して、頭を掻きながらため息をつく。


「……言いたいことはなんとなく分かった。ミーナ。身だしなみを気にすることは良いことだが、もう少し、優しく言わないと……」


 私を懐柔しようとする父だが、その父の身だしなみが乱れているのを私は見逃さなかった。


「アンタもネクタイ曲がっている!! 革靴も少し汚れている!! ミストレーヴ家を代表する1人なんだから装飾品の1つくらいつけなさいよ!!」


 カーリーに続き、私に身だしなみを指摘された父は、何も言い返せず、仕方なさそうな表情を浮かべて、ネクタイを正し始める。


「何も言い返せない自分が情けない。しかし、全部を正すとなると、時間が無くなる。もうそろそろ出発しないと……」


 懐中時計をチラッと見た父は、遠回しに妥協させてくれと言ってくる。反論しようとしたその時、ジークが父に駆け寄る。


「旦那様。ご安心ください。換えの靴はこちらに。そして、事前に奥様から預かっているミストレーヴ家の紋章が入ったバッジがこちらに」


 差し出された靴とバッジを見て、父は呆気にとられる。


「お、おお。すまない。それじゃあ、馬車の中で整えさせてもらうとするよ」


 一足先に、馬車に乗り込む父からジークに視線を移した私は、率直な思いを口にする。


「準備良すぎでしょ。まるでアイツのダメなところを熟知しているようね」


 ジークは笑みを浮かべて言葉を返す。


「これも仕事の1つですから。出来て当然のことです」


 相変わらず準備の良いヤツめ。


「あら? みんな揃ってる。私が最後だったの?」


 慌てることなく、ゆるふわな口調で近づいてきた母サロミアは、自分が最後だと察し、少し申し訳なさそうな表情を浮かべる。


「さっさと来なさいよ! いつまで待たせ……」


 私は母の身だしなみを見て、思わず硬直する。


 鮮やかな青色のドレスにハイヒール。いつも肌身離さずつけている十字のネックレスに、大きすぎないイヤリング。髪も手入れしており、化粧も主張が強すぎない程度。鋭い爪には赤のマニキュアがきっちりと塗られており、指摘する部分が見当たらないほど完璧な身だしなみだった。


 これなら時間が掛かっても仕方ないと思う。


「お嬢様~。奥様の身だしなみはどうですか?」


 指摘する部分がないのを分かっていて、カーリーは嫌味たっぷりで私に尋ねてくる。


「……それじゃあ、言わせてもらうわ」


 私は母を指さし、声を大にして指摘する。


「胸デカすぎッ!! 背デカすぎッ!! スタイル良すぎッ!! 少し私に分けろッ!!」


 その場に居る全員が呆け顔になり、私は母に近づき、見せつけるかのような巨乳を思いっきり引っぱたく。


「いったぁいッ!! 何するのよ! ミーナちゃん!」


 母は薄らと涙を浮かべて、私から胸を遠ざける。


「うっさいッ!! 目障り!! さっさと馬車に乗れ!!」


 私の暴言暴力によって、母はそこそこ落ち込み、猫背で父が待つ馬車に乗り込む。


「お嬢様……少し言い過ぎですし、やり過ぎです」


 ジークが私を落ち着かせようとするが、私の顔を見て、ジークは困惑する。


「え? お嬢様? 落ち着いてください! 今泣くのは……」


「私だってドレスが似合う、良い女になりたいわよぉぉぉぉッ!!」


 自分の抱えるコンプレックスの1つをぶちまけ、私は逃げるように、父母とは別の馬車に乗り込む。

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