従者と尋問
しれっと屋敷に戻ったジークとカーリーは、いつも通りの執事服とメイド服に着替え、それぞれ仕事に戻ろうとしていた。
「それじゃあ、調査のまとめは任せたわ。ジークくん」
「お任せください」
2人は背を向けて、それぞれの仕事場に向かおうとしたその時。
「ちょっと時間をいただこうかしら?」
2人は聞き覚えのある声に反応し、背後を向こうとしたが、あることを察し、背後を振り向けなかった。
「僕たちに黙って屋敷を出るとは感心しないなぁ」
カーリーの首筋には赤く燃える弓矢が。ジークの首筋には銀のナイフが突きつけられていた。
「お、奥様!?」
「何のつもりですか? 旦那様」
カーリーは青ざめ、ジークは表情を崩すことなく、背後に居るサロミアとエディックに声をかける。
「何のつもりはこっちの台詞よ。ジークくん。王宮に侵入して、内部調査をお願いした記憶はないんだけど?」
「そうですね。命令は受けてませんね」
相変わらずジークは飄々とした態度で、サロミアに言葉を返す。
「君の仕事ぶりには感心しているところがあったが、今回はいただけないな」
頼りない印象のエディックだが、ジークの首筋にナイフを当てているこの時の表情からは、殺気が感じられた。
ジークは軽くため息をつき、少し困った表情を浮かべる。
「どうして奥様や旦那様が、ジークくんが王宮に近づいたことを知っているのですか!?」
するとカーリーの目の前に一匹の通信バットが現れ、サロミアの肩の上に止まる。
「悪く思わないでね。カーリーちゃん。盗聴なんて趣味じゃないけど、あなたが嘘をついたのがいけないのよ。私の特性を忘れるなんて、悲しいわ」
その時、カーリーはサロミアの特性を思い出し、やってしまったと言わんばかりの表情を浮かべる。
「特性? どういうことでしょうか?」
「教えてあげても良いわ。ただし、あなたたちが王宮に侵入した理由を教えてもらいましょうか?」
数秒の沈黙が訪れ、口を開けたのはジークだった。
「理由程度なら、このようなことをしなくてもお教えしますよ」
あまりにも拍子抜けな返答に、サロミアとエディックはもちろん。サロミアに拘束されているカーリーも驚きの表情を浮かべた。
「お嬢様が安全に、楽しく会食をなされるように下見をするのが従者の役目。この理由以外、他にありません」
「ミーナちゃんが王宮での会食に同行するって決まってないのに、下見をしたのは何故?」
ジークはサロミアの言葉に、思わず笑みを浮かべる。
「お嬢様は会食に出席なされます。必ず」
ジークの自信満々の表情を見たサロミアは口を閉ざし、頭に血が上ったのか、エディックがジークの首にナイフの刃を少し当てる。
「不確かな発言は控えろ。君を信用していないわけじゃないが、ミーナの返答は間違いなくノーだ。悪いことは言わない。前言を撤回しろ」
しかし、ナイフの刃が当たっているにも関わらず、ジークは笑みを浮かべたまま、エディックに言葉を返す。
「いえ。お嬢様は出席なされます。そして、失礼を承知の上で話させていただきます。親なら自分の子供を信じてあげてください」
「なッ!!」
堂々とした態度でエディックに言葉を返したジークに、サロミアは目を向ける。
その時、ジークから何かを感じ取ったのか、サロミアはジークを拘束しているエディックの肩に手を置く。
「あなた。ナイフを納めなさい」
「サロミアちゃん!?」
「そこまで言うなら見せてもらいましょうか。ミーナちゃんが会食に同行するって言うところを」
エディックはジークの首にからナイフを遠ざける。ナイフが当たっていたところが気になるのか、ジークは首を撫で、ニッコリと笑みを浮かべる。
「ただし、今日中よ。もう時間はないの。いろいろと手配もしなくちゃいけないから」
「承知しました。それでは期待してお待ちください」
ジークはその場に居る3人に背を向け、ミーナの居る部屋へと歩みを進めた。
「サロミアちゃん。一体どうして……」
「……あの子から、懐かしい気配を感じたの」
「気配?」
エディックは首を傾げ、頭上に疑問符を浮かべる。
サロミアは少し口角を上げ、横髪を耳に掛ける。
「私の旧友と同じ気配……一瞬だけど感じた。それに……」
「それに?」
サロミアはいつもの笑顔を浮かべ、エディックを見つめる。
「ミーナちゃんが一緒に来てくれるんじゃないかって、ちょっと期待しているの」
エディックは自分の妻の笑顔に見とれてしまい、頭の中が真っ白になってしまった。
「あれ? あなた? おーい」
2人がイチャイチャし始めたのを期に、その場に残っていたカーリーは音を立てずに、去ろうとしていた。
しかし。
「カーリーちゃ~ん」
サロミアに呼ばれたカーリーは体をビクつかせ、恐る恐る振り返る。
「は、はい?」
「エディックがフリーズしちゃったから一緒に運んでくれない? あ、それと……勝手に屋敷から出て行った罰も与えなきゃね」
笑みの中に怒りのオーラを感じ取ったカーリーは涙目になり、屋敷を抜けた罰として、サロミアはカーリーに、24時間の門番仕事を命じた。
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