表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/172

ミーナとひょっこりちゃん4

 3日前から半ば強制的に、私に魔法の先生がついたが……。


「ミーナちゃ~ん」


 無視。


「あれ~?」


 毎日私の部屋に来て、話しかけてくるシャフリを全面的に無視している。


 だって面倒くさいだもん。


「ねぇ~。ミーナちゃんってば!」


「うっさいわねッ!! 最初に言ったでしょ!? 私は魔法を覚えないって!!」


 そう。シャフリが私の母から、私に魔法を教えてやってくれと頼まれたあの日、私は堅く心に誓ったのだった。


「何で急にそんなこと言い出すの? 結構練習していたのに」


 そりゃあ、1人なら練習はしてたし、あらゆる試行錯誤はしていたさ。だけど……。


「アンタのアホみたいな規格外の魔法を見せつけられたら、誰だって心折れるわッ!!」


「私の所為!? そんなの言いがかりだよ~」


 確かに言いがかりだ。苦手な魔法を覚えたくないだけの口実……そして。


「それと、私は1人で居たいの! 他人と居ると、苛立ちが治まらないの! これだけ直球に言っても分からないの? アンタはバカなの?」


 しかし、シャフリは食い下がってくる。


「でも、ミーナちゃんのお母さんから頼まれたことだし……恩を返そうって訳じゃないけど、お父さんからも頼まれているし……それに、一生懸命魔法の勉強をしていたミーナちゃんの目は輝いていたから教え甲斐がありそうだなって思って……」


「とかなんとか言っちゃって、本当は半分人間で半分吸血鬼の私に興味があるだけなんでしょ?」


 図星なのかシャフリは「何でそれを?」と言わんばかりの表情を浮かばせ、私から視線を逸らす。


「私の情報網を舐めないでよね」


 ぶっちゃけ、ジークを使ってシャフリの身辺調査をしただけなんだけど。


「確かに、半分人間で半分吸血鬼のミーナちゃんに興味はあるけど、私は……」


 未だに食い下がってくるシャフリの足下めがけて、私は手に持っていたフォークを投げつける。


「帰りなさい。そして、二度と来ないで。命だけは許してあげるから」


 シャフリは一瞬、泣きそうな表情になるが、グッと堪えて、視線を下に向ける。


「……分かった。今日は帰るね」


「今日はじゃない。二度と来ないで」


 その後、シャフリは口を開けることなく、重い足取りで部屋から出て行く。


「……あーあ。フォークが床に刺さっちゃった。これじゃあ、ケーキが食べられないじゃない」


 テーブルの上に置いてある呼び鈴を振り、ジークを呼ぶ。


 いつも通り、数秒もしないうちに扉がノックされ、ジークが部屋の外から入室の許可を得てくる。


「お呼びですか? お嬢様」


「入りなさい」


「失礼します」


 ジークは部屋に入るなり、床に刺さっているフォークを見て、ため息をつく。


「……お嬢様。今日もですか?」


「そう。今日も追い返してやったわ。これだけ脅しているのに、結構しつこいのよ」


 ジークは床に刺さっているフォークを抜き取り、新しいフォークを私の前に置く。


 これでケーキが食べられる。


「シャフリ様も奥様の依頼で訪問されているのですから、追い返すのはどうかお考え直せませんか?」


 私はケーキを頬張りながら、ジークを睨みつける。


「……いつからアンタは私に意見するようになったの?」


「失言……お許しください」


「まあ良いわ。最初は私も頑張ってみようと思ったけど……どうしても」


 ジークはティーカップに紅茶のおかわりを注ぎながら、口を開ける。


「……過去の事ですか?」


 私は無言でコクリと頷く。


「私の個人的な見解ですが、過去の呪縛から解放するには絶好の機会だと思います」


 おかわりの紅茶を私の前に置き、ジークは話しを続けた。


「それに、1人では考えられなかったことが、他人の意見によって思いつくこともあります。他人と居ることは、悪いことばかりではありませんよ」


「しかし……」


 やっぱり抵抗はあった。シャフリが近くに居るときは、手が勝手に震えてしまう。拒否反応だ。


「それに、お嬢様にとって私も他人です。どうですか? 私と居て不愉快な気持ちになりますか?」


「いや……前はシャフリと同じで近くに来て欲しくなかったけど、今は大丈夫……でもそれは」


「私だからではありません」


 私が言葉を言いきる前に、ジークは口を開ける。


「少しずつ、お嬢様が他人と居ることに恐怖を抱かなくなったからなのです」


 違う……と言いきりたいが、実際は間違っていない。


 論破された私は視線を落とし、紅茶を見つめる。


「……シャフリは」


 私はスカートの端をキュッと掴んで、ジークに尋ねる。


「シャフリは……酷いことを言った私を許してくれるかな?」


 すると、ジークは笑みを浮かべて、床に跪いて私の顔を覗き込む。


「きっとお許しになるでしょう。シャフリ様は心優しいお方です。性格も明るく、過去のことは気にしません。お嬢様が私に命じたシャフリ様の身辺調査の結果の一部です。くれぐれもシャフリ様には内緒にしてくださいね」


 ジークは鼻の頭に人差し指を当て、ウインクをする。私はジークに微笑み返し、もう一度、シャフリに会う決心をする。


「明日……いえ、今日中にシャフリに会うわ」


「その意気です! お嬢様」

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!


続きが気になる方はブックマーク登録よろしくお願いします!

誤字脱字、文章的におかしな部分がありましたら報告お願いします。

評価や感想を送っていただけると、今後の励みになります。

差し支えなければ、お願いします!


これからも楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ