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ミーナとひょっこりちゃん1

 ジークが私に上級魔法の魔道書を貸し付けてきた。


 半分吸血鬼だから魔法なんて必要ない……って思っていたけど、人間の状態だと吸血鬼の力は使えない。

 

 人間は人外種のように特有の力やスキルは持ち合わせていない。しかし、人外種よりも人間は魔法の力に長けており、繊細な回復魔法や攻撃魔法の底上げが出来る。


 人外種と人間、お互い長所と短所があり、均衡を保っている。


 その均衡を破っている唯一の存在は私だけど……私は魔法が大の苦手なのだ。


「も~! 中級魔法程度なら使えるけど、上級魔法は難しすぎるよ~!」


 外周の庭にある、パラソル付きテーブルにて、魔道書と睨めっこしていた私は、思わず悪態をつく。


 近くの花壇に水やりをしていたジークが、私に視線を向けることなく、言葉を返す。


「いざという時にはお嬢様自身の力で、ご自分の身を守っていただくことになります。酷かもしれませんが、ここは魔法の勉強を……」


「分かってるわよッ!! 何度も聞いたわッ!! ったく、ジークが守ってくれれば問題ないのに……」


「私も常にお嬢様の傍にいて、お守りしたいのですが、旦那様の指摘通り、お嬢様から離れてしまう場面があると想像してしまうと……」


 父がジークに助言をしたせいで、私は現在苦しんでいる。


 あの父親……私のことを心配しているのか、心配していないのか、分からない。


「ジークく~ん!」


 遠くでメイドたちが手を振って、ジークを呼んでいた。ジークは私に目を向けて、行って良いのか分からずに、困った表情を浮かべていた。


「なに困った顔しているのよ。行ってきなさい。しばらく1人で悩んでいるから」


「申し訳ございません。少し間、失礼します」


 ジークは颯爽とメイドたちの方へ駆けていき、私はパラパラとページをめくって、上級魔法の練習を行った。



 30分ほど時間が経ち、何度も何度も魔法を唱えては失敗し、徐々にやる気もなくなり、私はテーブルに顔を伏せる。


 もうヤダ、疲れた。何も考えたくない。文字を見るのも嫌になってきた。


 深いため息をつき、魔道書を閉じようとしたその時、何処からか視線を感じ、私はキョロキョロと辺りを見渡す。しかし、周りには誰もいない。


「……疲れてるのね。あー、もう。あのクソ親父のせいで変な感じになっちゃったじゃないの~」


 再び、私は顔を伏せる。すると、やはり誰かに見られている感覚に陥る。


 ……どこから? 一体誰?


 顔を上げずにチラチラと左右を見る。左右に対象物がいないのを確認した私は、ソーッと顔を上げる。


 高さ2メートルほどの外壁をよじ登って、こちらを見ている少女の顔が見えた。


「え?」


「あッ!」


 私と目が合った少女はサッと外壁に隠れる。


 何よ。人の顔見て逃げるなんて、失礼じゃない?


 去って行った足音は聞こえなかったが、面倒くさそうなのでスルー決定。


 気を取り直して、私は上級魔法の魔道書と睨めっこを再開する。すると、1分も経たないうちに、また視線を感じる。魔道書を見るフリをして、私は視界の端にいる少女を観察する。


 子供っぽい顔立ちで、黒縁の眼鏡をしている。髪は綺麗な黒髪で、後ろ髪は肩ほどの長さだが、サイドは編み込んでいる。顔立ちから推定すると、身長は140後半か、150前半。服装は黒シャツに、下は……外壁で見えん。


 何に興味があるのか分からないが、ずっとこちらを見ている。


「……はぁ」


 私は息をつくフリをして、少女に視線を向ける。目が合った少女は、再び外壁に隠れる。


 実に面倒くさい。


「あのさッ!! さっきから何なの? 私に用でもあるの? 鬱陶しいから、そんなところで覗きみたいな行為はやめなさいッ!! どこか行ってッ!!」


 つい感情的になってしまって怒鳴ったけど、まあこれで覗き行為はやめてくれるだろう。視線を魔道書に戻し、少し様子を見ていたけど、少女の顔が外壁の上から出てくることはなかった。気配もなく、本当にどこか行ってしまったのだろう。


 まあ、これで集中できるし、気を張ることはなくなったわね。


「失礼します。お嬢様」


「ご苦労様。アンタにしては遅かったわね」


 メイドたちに呼ばれていたジークが戻り、私は労いの言葉をかける。


「少々、トラブルがありまして、備品の整理に手間取ってしまいました。遅れてしまい、大変申し訳ございません」


 私は頬杖をついて、ジークに頭を上げるよう命令する。


「怒ってないわよ。気にしないで。それよりも紅茶を……」


「その前にお嬢様」


ジーク声が私の声を遮る。


「お嬢様に会いたいと言っている方が、正門前に来ているのですが……如何なさいますか?」


 私に会いたい? ……まさかとは思うけど。


 私はジークと共に正門に向かい、訪ねてきた人物を遠くから確認する。


「お願いします! お庭のパラソルの下で、魔道書を読んでいた銀髪の女の子に会わせてください!」


 外壁の上で覗きを行っていた少女が、正門前でメイド2人に止められていた。


 さっきのヤツだああああぁぁぁぁ!!


 私は開いた口が塞がらなくなり、「あ……ああ」と声を漏らす。

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