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無血の勝利

 ソフィアとサラスの応援もあって、アルカディア兵士の殆どが無力化されていく。


「空もあと少し……」


「ミーナちゃーん!!」


「シャフリ!?」


 後方から手を振りながら近づいてくるシャフリ。

 シャフリの存在に気づいた飛行魔導隊がシャフリに魔法を放つ。



「そんな魔法……当たらないよ!」


 襲いかかってくる魔法を全て躱したシャフリは、飛行魔導隊全てを捕捉する。


「シューター・スタンバイ」


 シャフリの周囲に魔力を含んだ8つの球体が現れ、青白く輝く。


「ちょ! 手加減しなさいよ! 絶対に傷つけちゃダメだからね!!」


「大丈夫だよ! ちゃんと加減するから!」


 アンタの大丈夫は大丈夫じゃないのよ! それに加減もできないでしょ!


「フル・バースト!!」


 威力を最小限に抑えた魔法を放つシャフリ。その全てが飛行魔導隊全員に直撃し、堕ちていく。


「あ、アンタ! 直撃は……」


「大丈夫だって! 威力は抑えてあるし、気絶しているだけだよ」


 心配になった私は地上に墜落した飛行魔導隊の様子を見る。


 シャフリの言う通り、全員気絶しているだけで、血を流したり、息をしていない者は1人もいなかった。


「ふぅ……良かった」


「ね? 言った通りでしょ?」


「このバカ! もう少し慎重に行動しなさいよ!」


「いやだって……あっちは私たちを殺す気で魔法を撃ってきたんだよ?」


「……まあいい。とにかく手伝ってくれてありがとう」


「えへへ。どういたしまして」


「お嬢様〜! シャフリ様〜!」


 地上から呼ばれ、私とシャフリは同時に地上を見る。


「終わりましたよ〜! 増援の気配もないので帰りましょ〜う!」


 ジークが手を振りながら、大声で私たちに知らせる。


 私とシャフリは顔を見合わせて、ゆっくり降下する。


「みんな。よくやってくれたわ。感謝するわ」


 全員に感謝の言葉を贈ると、ソフィアとサラスが前に出てきて、私の前に跪く。


「ミーナお嬢様。ありがとうございました」


「ミーナお嬢様のお陰で私とサラスは、再度覚悟を決めました。これからは迷うことなく、純粋な忠誠心でお嬢様に仕えます。ですから……」


「どうでも良いわ!」


 私はソフィアの言葉を遮り、2人に目線を合わせるためしゃがみ込む。


「ちょっと前にも言ったでしょ? アンタたち2人も私にとって大切な存在だって。だから、かしこまらないで」


『ミーナ……お嬢様』


 2人に手を差し出し、2人は私の手を取って立ち上がる。


「さあ! 帰るわよ! 今日は気分が良いし、演奏でもしましょう!」


『はい!』


 2人は明るく元気な声で返事をする。するとジークが私に歩み寄り、眉をハの字にして声をかけてくる。


「お嬢様……非常に申し上げにくいのですが」


「何?」


「たった今、通信バットが来まして……戻り次第、お嬢様は部屋に来て欲しいと」


 は?


 ジークの肩に止まっている通信バットから母の声が聞こえ、私は目を丸くする。


『ミーナちゃーん。お疲れ様……と言いたいところだけど、話があります! さっさと帰ってきなさい!』


『さ、サロミアちゃん。そこまで怒らなくても……』


『エディックは少し黙って! 無鉄砲に飛び出して、危険なことをして、怒らないわけがないじゃない! 早く帰ってきなさい!!』


 一方的に通信が切れ、通信バットがジークの肩から離れる。


 そう言えば、何も言わないで飛び出したっけ……そりゃあ、怒られるわけだ。


「自分も付き添いますので……お嬢様? 大丈夫ですか? 顔が青いですよ?」


「エ? アハハ……ダイジョウブヨー。アイツニオコラレテモ、ナントモナイカラ」


 自分でもびっくりするくらい棒読みでジークに言葉を返す。


 正直、今回は心配かけた私が悪い。素直に……謝っておこう……。




 ◇◇◇




「はふ〜……疲れた〜」


 日が暮れるまで母にみっちり怒られた私は、自室の机に顔を伏せて、疲れを表現する。


「意外と怖いね……奥様」


「通信バットで声を聞いた瞬間、分かってしまったわよ。マジギレしてるってね」


「でも、怒っている理由は分かります。ミーナちゃんが自分やシャフリ様たちを大切にしているのと同じで、奥様はミーナちゃんが大事なんだよ」


 ジークは私に紅茶を差し出し、私は頬を膨らませながら、紅茶を啜る。


「分かってるけどぉ……お父さんやお祖父様、アンタたちが間に入ってくれなかったら、まだ説教は続いてたわよ」


「それでも……ね?」


 笑みを浮かべるジークに、私は頭を差し出して、あるものを要求する。


「ミーナちゃん?」


「……撫でて」


「え?」


「落ち込んでいるから撫でて。じゃないと立ち直れないよ」


 ジークは優しく私の頭を撫でてくれる。


 ジークの手は温かく、傷心している私の心を癒してくれた。


「もう良いかな?」


「ダメ……もう少し」


「いや、でも……」


「何よ! もっと撫でなさいッ!!」


 私はジークの腕を掴み、強制的に頭を撫でさせる。


 その時、入口の扉がノックされる。人が来たことを知った瞬間、私はジークの腕を放し、平然を装おうとする。


「んっんん!! 入りなさい」


 扉の向こうにいたのはソフィアとサラスだった。


 サラスはにこやかな表情を浮かべていたが、ソフィアは頬を赤く染めて、私をチラッと見る。


「ミーナお嬢様〜。少し時間がありましたら演奏しませんか?」


「いや……サラス。邪魔しちゃ悪いし、戻ろうか」


「え? さっきまで意気込んでいたのに、どうして?」


 ソフィアはサラスの手を掴んで、部屋から遠ざかっていく。


「な、なんでも良いから!」


 私とジークは呆け顔になり、数秒間硬直した後、ジークは「あ!」と呟く。


「お嬢様……多分、今のやりとりソフィアさんには聞かれてたみたいですよ」


「え? 本当?」


「ソフィアさん……耳が良いので」


 私は顔を真っ赤にして、思わず叫び声を上げる。

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!

伊澄ユウイチです!


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