フォルテ5
「これで……最後!」
飛行魔導隊最後の1人を墜落させ、乱れた呼吸を整える。
地上のジークとカーリーも、最後の1人を無力化させ、空中にいる私に手を振ってきて、私も手を振り返す。
「お疲れ様。2人とも」
しかし、安堵の表情を浮かべられたのも束の間。地上にいるジークとカーリー目掛けて魔法が着弾する。
「ジーク! カーリー!」
2人の安否を心配したが、爆炎の中から2人が飛び出てきて、私は一安心する。
魔法が飛んできた方向に目を向けると、そこには先ほどと同じ重装備の兵士100名が接近していた。
「いつの間に? まさか増援?」
そして空中にいる私のところにも魔法が飛んでくる。
間一髪、鬼神での防御が間に合ったが、相手の数が増えたことにより、私たちは困り果てる。
「厄介ね……」
「正直、手加減できる数ではないですね」
「もう! 流石に面倒ですし、疲れましたよ! お嬢様! もう本気でやっても良いですよね!?」
「ダメよ!絶対に殺しちゃダメ! 相手が何であろうと、それだけは……」
「だから無茶だって……」
躊躇っている間に地上の兵士たちが魔法を放ち、ジークたちは不意をつかれる。
「メイド長!」
「ヤバッ……」
ジークがカバーに入るが、魔法の弾がカーリーに迫る。しかし、魔法の弾とカーリーの間に誰かが割り込み、カーリーは被弾せずに済んだ。
「カーリー!」
「……あれ? 当たってない?」
カーリーが顔を上げ、前を見ると、そこには魔力で生成した盾を携えたサラスの姿があった。
「サラス!?」
「大丈夫ですか? みなさん? 遅れてすみません」
派手な登場をしたサラスに遅れて、ソフィアも姿を見せる。
「加勢します。もちろん、お嬢様のご要望通り、無駄な血は流させません」
ジークはソフィアとサラスの元に駆けつけ、声をかける。
「来てくれて助かります。もう体は大丈夫ですか?」
「フォルテの反動は一時的なものです。数分あれば回復します。それと……ミーナお嬢様」
ソフィアが私に声をかけ、私は飛行魔導隊の攻撃を躱しながらソフィアに目を向ける。
ソフィアは血が入った試験管を私に投げ、私はどちらも落とすことなくキャッチする。
「これは……」
「私とサラスの血です。シャフリ様に頼んで抜いてもらったんです。きっとミーナお嬢様のお役に立てると思います」
「ソフィア……サラス」
動きを止めた私に対して飛行魔導隊は狙いを定めて、最大火力で私に魔法を放ってくる。
『お嬢様!!』
危険を察知したみんなが大声を出す。
2人の血……思いを受け取った私は、迫ってくる魔法に目を向けることなく、1つの試験管を噛み砕く。
左手に纏っていた鬼神が消え、代わりに魔力で生成された盾が現れる。
その盾で攻撃を全て防ぎ、瞼を閉じる。
「この穏やかな感じ……サラスの血ね」
「あれは……」
「盾?」
ジークとカーリーが目を丸くして、私の左手に現れた魔力で生成された盾を見つめる。
「あれは私が生み出した魔法の盾。イージスです」
『イージス?』
「物理、魔法。全ての攻撃を防ぐ、最強の盾です」
サラスがイージスの詳細を2人に説明し、私はイージスを見つめ続ける。
「イージス……中々良いわね」
飛行魔導隊が魔法じゃ仕留めきれないと判断したのか、一斉に私との距離を詰めて、接近戦を挑んでくる。
イージスで剣や槍を防ぎながら、右手にフレア・ソードを生成して応戦する。
「近接戦ね。確かに死角に回り込めばイージスじゃ守りきれないかもだけど……」
私はもう1つの試験管を手に取り、噛み砕く。するとイージスが消え、私の首元に笛が現れる。
攻撃を回避しながら笛を口に咥え、地上にいるソフィアと目が合う。
「いくわよ。ソフィア」
ソフィアも笛を手に取り、私と一緒に笛を吹く。
『フォルティッシモ!!』
甲高い音が響き渡り、私とソフィアはその場から姿を消す。
次の瞬間、地上と空中の兵士10名が糸が切れたように意識を失い、無力化する。
「速ッ!!」
「これは……以前よりも鋭さが増していますね」
ジークとカーリーがソフィアの動きを見て、感心しているが……。
「ちょっと!! 私の方も見てよ!!」
「あー、はいはい。凄いですねー」
クソカーリーめ。適当に感想を言っているのが目に見えて分かるわ。
「これが……フォルテのその先。フォルティッシモ」
「ソフィア」
空中に舞いながら、私はソフィアにVサインを見せる。
「私は思いを込めて、楽しく吹いたよ。ソフィアはどう?」
ソフィアは自分の手を見つめ、数秒瞼を閉じて、私に笑みを見せてくる。
「はい! 私も思いを込めました! 楽しく吹きました!」
私も笑みを浮かべて、再び兵士たちに目を向ける。
「もう一踏ん張りよ! 頑張って追い返すわよ!」
『はい!』
力強いみんなの返事が私に力を与え、私たちは再び兵士たちに立ち向かう。
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