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フォルテ1

「暇よおぉーッ!!」


 数日前のアルカディア兵士とのいざこざ以来、祖父と母から屋敷の外に出るなと言われた私は悪態をつく。


「ミーナちゃんだけが外に出られないわけじゃないだからね。僕たちも出られないんだから」


 優しい口調でジークが私を宥めてくるが、私の我慢はとっくの前に限界を迎えていた。


「外には出るなと言われて、中庭で体を動かそうとしたら、せっかく育てた野菜や果物がダメになったらどうするの!? ってあのババアは言うし、一体どうすれば良いのよぉ……」


「以前は外に出るのが嫌だったのに、外に出れないとなると文句を言うの?」


 あ? ジーク? 喧嘩売ってるの? いい度胸じゃない。


「文句言って悪い?だぁぁ……ジーク。何か面白いことない?」


「そう言っても……あ」


「あ?」


「あるよ。1つだけ」


 ジークが満面の笑みを浮かべ、数秒考えた私はジークの思考回路を完全に理解した。


「それだ! 流石ジーク!」




 ◇◇◇




「もう少し……もう少しで到達できるのに……」


 身体能力を一時的に限界突破させる「フォルテ」を発動させるソフィア。


 首に吊るしている笛を吹いては首を振り、吹いては首を振りを繰り返していた。


「ソフィア。それ以上は危険だよ。フォルテは限界を突破させてくれる反面、反動もあるんだよ? 連発は……やめて」


「サラス。止めないで。私は今のままじゃダメなんだ」


「この前のことを言っているの? それだったら私だって……足を引っ張っちゃったし」


「いや、サラスが気にすることはない。第一、私が全力のサラスと戦いたいと言ったばっかりに危機的状況になり、挙げ句の果てに、ミーナお嬢様の手を煩わせてしまった。私が……もっと強ければ」


「ソフィア……」


 ソフィアは再び笛を持ち、フォルテを発動させようとする。


「もっと強くなるには……このフォルテを完成させるしかない。だから、もう少しだけやらせてくれないか?」


「だったら私も」


 サラスも笛に手をかけ、フォルテを発動させようとする。


 しかし、ソフィアはそれを許さなかった。


「ダメだ……サラス。サラスが言った通り、連発は危険だ。完成したらコツを教えるから私に……」


 ソフィアが言葉を言い切る前に、サラスはソフィアの頬を思いっきり叩く。


 サラスに叩かれたソフィアは頭が真っ白になり、無理やり向かされた方向を見続ける。


「ふざけないで。自分が自分がって……私たちはいつも一緒に努力して、励まし合って、強くなって、守りたいものを守ってきたじゃない!! 私だって守りたいもののために努力したっていいじゃない!! ソフィアの言っていることは優しさじゃないよ!!」


 サラスの目から涙が溢れ、その涙を見たソフィアは目を見開く。


「サラス……」


「ソフィアのがむしゃらな所、昔から好きだよ。私も憧れているの。だからお願い。私もがむしゃらに頑張らせて」


 真剣な眼差しで見つめられたソフィアは瞼を閉じ、サラスの熱意に負ける。


「……分かった。でも無理はしないでくれ」


「ソフィア……うん!」


 2人は笛を咥え、甲高い音を響かせ、フォルテを発動させる。

 しかし、いつものフォルテは発動するが、ソフィアとサラスが望むフォルテは発動しなかった。


「やはりダメか……今度は吹き方を変えてみよう」


「そうだね……他にも試してみよっか」


 試行錯誤を繰り返し、何度も挑戦するが、結果は同じだった。


「一体……何が足りないんだ?」


「まだだよ……もう少し、視点を変えて……」


 再び笛を吹こうとした瞬間、サラスの視界が歪み、サラスはその場で片膝をつく。


「サラス!」


「大丈夫……ちょっと目眩がしただけだよ」


「……少し、休もうか」


「……分かった」


 外壁に寄りかかる2人は水筒に入っている水を飲み、喉を潤す。


「……ぷはぁ。ごめんねソフィア。啖呵きったのに、こんなことになって」


「いや……正直私も辛くなってきた。気にしないでくれ」


 中々結果が出ず、2人は視線を落としながら体を休める。

 

 それぞれの頭の中で考えを出し続け、悩み続けていた中、ソフィアの耳に音が届く。


「ん? ……何だ?」


「どうしたの? ソフィア」


「音が聞こえる……」


「音?」


 サラスは耳を澄ませ、ソフィアが聴いている音を自分も聴こうとする。


「……本当だ。これは……ピアノ?」


「ピアノだけじゃない。これは……トランペット?」


 ピアノの音色に聴き覚えがあった2人は顔を合わせ、声を重ねる。


『ミーナお嬢様?』


 どんどんテンポが上がっていく演奏に惹かれたのか、ソフィアとサラスは近くにいたメイド2人に門番を頼み、ミーナの元へと向かった。

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!

伊澄ユウイチです!


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