ミーナの力4
何故かアルカディアの兵士たちに追われているソフィアとサラスは、林道の木々に身を隠し、息を殺す。
「なんで私たちが追われているの?」
「シッ! まだ近くに兵士がいる。静かにして」
身を低くし、見つからないようにするソフィアとサラス。
超聴覚で足音、相手の呼吸音を拾ったソフィアは、サラスの手を引いて安全な場所へと移動する。
「変な容疑をかけられたわね」
「本当だよ……アルカディア王を裏切った反逆者って言われて拘束されそうになるなんて……訳が分からないよ」
「とにかく屋敷まで戻れば何とかなるわ。私たちはクロノ様のためにも死ねない」
「それに冤罪を着せられたまま死ぬもの癪だからね」
ソフィアは両耳をピクピクと動かし、突破口を見つける。
「サラス。少し走れる?」
「大丈夫……って言いたいところだけど、それは厳しいかな。魔力が空っぽで力が入らない」
「無理はしなくても良い。だけど、いざとなったら私を置いて真っ直ぐ走って」
「それだとソフィアが……20人程度かもしれないけど、相手は騎士クラスの兵士だよ? 疲弊している今のソフィアじゃ……」
「それでも……お願い」
ソフィアは真剣な眼差しをサラスに向け、覚悟を決めたソフィアに対してサラスはそれ以上何も言わなかった。
「分かった。だけど、最悪の場合……だからね」
「ありがとう。サラス」
2人は身を低くし、足音をなるべく立てないように行動する。
捜索している兵士を次々と躱していき、やっとの思いで林道の出口付近に辿り着く。
「出口が見えたわ。林道を抜ければお屋敷よ」
「やっと……帰れた。長かった帰路ね」
冗談を言える余裕を見せるサラス。
元気そうなサラスを見て、ソフィアも笑みを浮べる。
出口付近の兵士の隙を見計らって、2人は林道を抜ける。
あとは屋敷に向かって走れば……そう思った2人だったが、絶望が訪れる。
「やっと出てきたか。やはり待っていて正解だったな」
「そ、そんな……先回りされていた?」
サラスは顔を青くし、その場で膝をつく。
再び林道に逃げ込もうとソフィアは振り返るが、捜索していた兵士たちがゾロゾロと林道から出てきて退路を断たれたことを知る。
「ソフィア・グラン。サラス・ツェリーゼ。国王殺害未遂で身柄を拘束する」
「捕まる前に1つ聞きたいわ。どうして私たちにそんな容疑がかけられているの?」
腰に携えている剣に手をかけながら、ソフィアは兵士たちに尋ねる。
兵士の1人が呆れ顔を浮べて、ソフィアに言葉を返す。
「この期に及んでシラを切るとは……調べはついているんだ。お前たち2人が国王様が口にするであろう料理の味付けを濃くしろと、シェフたちに指示したことを。その所為でヨハネス国王は体の調子を崩し、長くないと診断されたのだ」
「何だと?」
「そんな……私たちは四六時中クロノ様の警備をしていました。それに、時間があったら音楽団で演奏していましたし……第一、そんな指示を出していません!出したところで私たちに何の得があるんですか!」
サラスは土を握り、必死に弁明するが、兵士たちは表情を崩すことなく、2人を囲む。
「得はあるだろう? 以前仕えていたクロノ王子を国王にさせるため……そうだろう? 残念だけど、これ以上話をしたいのであれば牢屋で聞いてやろう。処刑されるその時までな!」
ソフィアは剣を抜こうとするが、突如目眩に襲われ、サラスと共に膝をつく。
「くッ……」
「ソフィア!!」
(こんな時に疲労か……超聴覚を使いすぎたか)
ソフィアは頭を抱えながらサラスに声を掛ける。
「サラス……走れ。走ってくれ!」
ソフィアは予定通り、サラスだけでも逃がそうとするが、サラスは前に足を踏み出そうとしなかった
「やっぱり出来ないよッ!! 貴女を置いて行くなんて!!」
兵士たちが逃げ場を完全に塞ぎ、あまりにも絶望的な状況にソフィアは笑みを浮べる。
「バカ……躊躇っているから……走っても突破できなくなったじゃないか」
サラスはソフィアに肩を貸し、兵士たちを睨みつける。
「何だその目は?」
サラスの目つきが気に食わなかったのか、1人の兵士が剣を抜き、切っ先をサラスに向ける。
「人外種のクセに……生意気なんだよ!!」
兵士は思いっきりサラスに向かって剣を振り下ろそうとする。
斬られると思ったサラスはソフィアにしがみつき、ソフィアは受け入れるかのようにサラスを抱き寄せる。
しかし、兵士の剣の刃に紅い線が通過し、柄と刃が見事に別れる。
そして地面には紅く燃える剣が刺さっていた。
「な、何!?」
剣が折れた衝撃により、兵士は数歩後退し、その様子を見ていた他の兵士たちは空を見上げる。
空から何かが迫り、ソフィアとサラスを斬ろうとしていた兵士に突っ込む。
「あ……うわあああああッ!!」
叫び声を上げながら兵士はその場から離れ、間一髪空から降ってきた人物の着地に巻き込まれなかった。
砂煙が舞い上がり、ソフィアとサラスは腕で目を保護しながら、その人物の背中を見る。
「ッ!! お嬢様!?」
ミーナの背中を見たソフィアが驚きの表情を浮かべて、思わず声を漏らす。
「待たせたわね。ソフィア。サラス」
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