表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

116/172

サロミアの父2

「なんだ? サロミア。その顔は?」


「はい……お父様。実は昨晩よく眠れなくて……」


 サロミアの顔を見たサロミアの父、ジアス・エフ・ミストレーヴは呆れ顔でものを言う。


「体調管理もできないで何が主だ。ちゃんと気を引き締めんか」


「す、すみません」


「お義父様。サロミアちゃんは昨晩も遅くまで仕事をしていました。何卒理解を」


「エディックくん。相変わらず君は優しい人だ。だけど、口出しは無用だよ。私はサロミアのためを思って言っているんだ」


 エディックと話した瞬間、ジアスの表情が和らぐ。


 ジアスと対面してからサロミアは終始汗が止まらず、床を見つめる。


「いつまで下を向いているつもりだ? 顔を上げんか」


「は、はい!」


 ようやく顔を上げられたサロミアはやっとの思いで息をし、テーブルの上に置いてある紅茶に手を伸ばそうとする。


「何を震えておる。どっしり構えんか」


「は、はい!」


 ジアスに圧倒されているサロミアを部屋の外で見ていたカーリーとソフィア、サラスが小声で会話する。


「あの方が奥様のお父様……ですか?」


 ソフィアが率直な疑問をカーリーに投げるが、カーリーは眉をハの字にする。


「そう……みたいですね。ジアス・エフ・ミストレーヴ様。私が雇われた時には既にイクセプトの旅に出ていたようで、よく分からないのですけど……何やら20年ぶりに帰ってきたらしいですよ」


「20年……それだとミーナお嬢様が顔を合わせてもピンと来ないのでは」


「多分ね……」


「それにしても旦那様には時折笑みを見せるのに、奥様に対しては表情を変えませんね」


 客観的な視点でジアスを見たサラスが険しい顔を浮かべて印象を口にする。


 紅茶を一口飲んだサロミアが思い切ってジアスに訪問理由を尋ねる。


「手紙には来るとしか書かれてませんでしたが、今日の目的は?」


「実家の様子を見に来るのに理由などいるのか?」


 失言だと瞬時に察したサロミアは勢いよく首を横に振り、エディックが代わりに言葉を返す。


「お義父様。長旅の疲れがあるでしょう。良いワインがあるんです。どうでしょうか? 浴場で汗を流しつつ、一杯……」


「ほう? 気を遣ってくれてすまないな。それじゃあ、エディックくんの言葉に甘えるとしよう」


「お着替えはご用意します。疲れを癒してください」


 立ち上がり、深々と頭を下げるサロミア。エディックはジアスを連れ、部屋を出ようとする。


 カーリーは即座に扉を開け、ソフィアとサラスは頭を下げて退室を待つ。


「サロミアよ」


「はい!」


「訪問理由をまだ返してなかったな。単刀直入に言う」


 ジアスはサロミアに視線を向け、答えを返す。


「孫に会いに来た」


 一方的に言葉を放ったジアスはエディックと共に浴場へと向かって行った。


「ま、孫……ということは……やっぱりミーナちゃんか」


 出来ればミーナとジアスを対面させたくなかったサロミアは思惑とは真逆の展開となってしまい、その場にヘタレ込む。


『お、奥様!』


 心配したカーリーたちが駆け寄り、サロミアは何とかソファーに座り直すことができた。


 そして、気持ちを落ち着かせるため紅茶を一口飲み、大きく息を吐く。


「カーリーちゃん。ソフィアちゃん。サラスちゃん。ミーナちゃんとジークくんにお父様が会いに来るって伝えておいて」


「あの……奥様は?」


 カーリーが尋ねるとサロミアは背もたれに背をつけ、天井を見つめながら言葉を返す。


「しばらく休ませて。たった数分で1週間分働いた気分だわ」


「わ、分かりました」


 カーリーたちは足早に部屋を出ていき、サロミアは瞼を閉じる。


(お願い……ミーナちゃん。お願いだから面倒ごとは勘弁してね)




 ◇◇◇




「はあ? お母さんのお父さん……てことは、私のお祖父様が来ているってこと?」


「はい。そう言うことです」


 私に会いに来たって……何故今更?

 というか、祖父がいたなんて初耳なんですけど?


「細かい理由とかは聞いてないの?」


「申し訳ございませんが、私たちはお祖父様が来るとしか言われてませんので……」


 困った表情を浮かべて言葉を返すカーリー。


 カーリーが言葉を言い切った瞬間、サラスが口を開ける。


「見たところ結構癖がある人みたいですよ? お嬢様、大丈夫ですか?」


「やめなさい、サラス。お嬢様が不安がるじゃない」


 カーリーがサラスの口を塞ぎ、私は思わず面倒くさそうと言わんばかりの表情を浮かべてしまった。


 え? 癖強いの? ヤダ。

 というか、大丈夫ってどういう意味?

 もしかして軽くバカにされた?


「お嬢様。顔に出てますよ」


 ジークが指摘したことにより、私は表情を戻し、天井を見つめる。


「まあ……会うだけなら良いわ。ジーク。お茶とお菓子を用意して。あと、軽く掃除を」


「既にお茶とお菓子の準備は出来ています。今朝カーペットを変えたので、掃除も不要かと」


 流石はジーク。指示は不要だったわね。

 あとは、私がどこまで平常心を保てるかってところね。


 カーリーたちを持ち場に戻し、私は祖父が来るのを待った。


 祖父……サラスがチョロっと印象を口にしていたけど、どんな人か見極めさせてもらうわ。

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!

伊澄ユウイチです!


今後の続きが気になる方は、是非ブックマーク登録をよろしくお願いします!

誤字脱字、文章的におかしな部分がありましたら報告お願いします。

面白かったら評価や感想を送っていただけると今後の励みになります。差し支えなければよろしくお願いします!


これからも楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ