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サロミアの父1

 いつものように執務室で作業をするサロミア。


 溜まっていた書類の山を徐々に減らしていき、全てを片付けた彼女は大きく背伸びをする。


「はぁ〜。やっと終わった〜。頑張ればなんとかなるものね」


「奥様。お疲れ様です。紅茶をどうぞ」


 サロミアの作業を手伝っていたカーリーが紅茶をテーブルの上に置く。


「ありがとう。カーリーちゃん。貴女も一緒にどう?」


「いえ。まだ頼まれているものも終わってませんので、すみません」


「あらそう?」


 再び作業に取り掛かるカーリーを見守りながら、サロミアは紅茶を啜る。


 休息の時を送っている中、扉がノックされ、サロミアは入室を許可する。


「入りなさい」


「失礼します」


 部屋に入ってきたのは門番をしてるサラスだった。


「あら? 珍しいわね。サラスちゃんがここに来るなんて」


「そうですね。今回は奥様宛に郵便が届いていたので、休憩ついでにお持ちしました」


「それはありがとう」


 サラスから手紙を受け取ったサロミアは差出人が誰かを確認する。


「あら? 差出人が書かれてないわね」


「少し……不気味ですね」


 カーリーとサラスも覗き込み、サロミアは中身を確認する。


 筆跡に見覚えがあるサロミアは徐々に血の気が引いていき、名前を見た瞬間、思わず声を上げる。


「ん? んん? んんん!?」


「どうかなさいましたか? 奥様」


「お……お、お父様が……帰ってくるみたい」


『お父様?』


 カーリーとサラスは声を重ね首を傾げる。


 そして、どこから聞きつけたのか、エディックが飛んできて、真偽を尋ねる。


「サロミアちゃんッ!! お義父様が帰ってくるんだってッ!?」


「ええ……そうよ」


「いつ? いつ?」


「明日よ」


「よおぉし!!」


 落胆しているサロミアとは対照的で、エディックは心の底から喜びを口にする。


「どうして奥様は落ち込んで、旦那様は喜んでいるのでしょうか?」


 カーリーは率直な疑問を口にし、サロミアは頭を抱えながら言葉を返す。


「口で説明するより、明日見てもらった方が早いわ」




 ◇◇◇




 サロミアの父から手紙が来た翌日、サロミアは一睡もできなかったのか、目の下にクマを作ってしまう。


「ううぅぅ……」


「サロミアちゃん。すごいクマだよ? 大丈夫?」


 サロミアの表情を見たエディックが恐る恐る声をかける。


「お父様さえ来なければ大丈夫なんだけどね」


「そんなにお義父様が苦手なの?」


「貴方は可愛がられているから知らないでしょうけど、私は会うたびにダメ出しを喰らってばっかりなのよ。嫌に決まってるじゃない。それにしても酷い顔ね」


 引き出しに常備している手鏡で自分の顔を見たサロミアは深くため息をつく。


「あ、あとミーナちゃんとお父様が会わないようにしなきゃ」


「え? ミーナちゃんとお義父様を?」


「当然でしょ? 少しずつ大人になって猫を被ることを覚えたミーナちゃんだけど、お父様が気に食わないことを口にしようものなら、あのやんちゃワガママ娘、何をするか分からないわ。幸い、お父様にはミーナちゃんの出生を知らせてないから知らないでしょうけど……」


 サロミアの言葉を最後まで聞いたエディックは顔を青くして、窓の外を見つめる。


 エディックの様子がおかしいと気づいたサロミアは目を細める。


「どうしたの? 顔を青くさせて……」


「その……とても言いづらいんだけど……お義父様は多分、ミーナの存在を知っているよ」


 サロミアは固まり、手に持っていた手鏡を机の上に落とす。


「は、はぁ!? なんで!? なんで知っているの!?」


「……ごめん。ミーナが生まれた時、嬉しくて手紙を送ってしまって」


「な……な、何しているの!? バカエディックッ!!」


「だ、だって……お義父様には良くしてもらったし、何より嬉しかったし……」


 終わったと言わんばかりの表情を浮かべて頭を抱えるサロミア。そして、肌で感じる気配が現実を突きつける。


「……来ちゃった」




 ◇◇◇




「サラス。前方から馬の足音。訪問予定の人が来たようよ」


「奥様のお父様。一体どんな人なのかしら?」


「分からない。だけど、押しつぶされそうなプレッシャー。只者ではないことは確か」


 門の前で待機するソフィアとサラス。


 遠くから駆けてくる馬の姿が見え、ソフィアとサラスは身構える。しかし、その馬には誰も騎乗しておらず、不審に思ったソフィアとサラスは馬を静止させる。


「裸馬? どういうこと?」


「知らないわよ。だけどあのプレッシャーは……」


「やれやれ。門番が簡単に持ち場を離れてはいけないだろう」


『え?』


 背後から聞こえた声に反応したソフィアとサラスは思わず声を上げる。


 振り向いたその先には白髪で高身長、ジト目で渋い顔立ちの男性が立っていた。


 その男性を見て、ソフィアとサラスは即座にサロミアの父だと察した。その理由として、吸血鬼らしい翼と牙、そして、サロミアとミーナ同様、紅い瞳だったからだ。

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伊澄ユウイチです!


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