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真実1

「わ、私? 一体どういうこと?」


 突如背後に現れた私のそっくりさんを見て、思わず目を丸くする。


「ほ、本当に私なの?」


「否。我はお前の姿を借りて話しているだけだ。そして、ここはお前の精神世界だ」


「私の姿? それに……精神世界?」


「詳しく話してやりたいが、時間がない。お前には全てを知ってもらう」


 するとヤツの手から再び光の球体が現れ、私の胸に向かって飛び込み、入り込んできた。


「あ、ちょっと!!」


 次の瞬間、真っ暗だった空間が突如変わり、見覚えがある風景が広がる。


「ここは……私の部屋? 一体何なの?」


 すると再び目の前に私が現れ、部屋の入り口からメイドたちが慌てて駆け込んでくる。


「また私? それに……メイドたち?」


 何度も左右に首を振り、状況を理解しようとするが、理解する前に事が急変する。


 突如私が笑い始め、メイドたちの周囲に炎の剣が無数に突き刺さる。


 行動範囲が狭まれ、身動きがとれないメイドたちは剣や魔法を駆使して、自由に動ける範囲を確保するが。


「キャアアッ!!」


 1人のメイドが私に斬られ、背中から血を流して倒れる。


「え?」


 流れる血、自分自身の行動に対して、驚きを隠せず、再び私が狂気染みた笑みを浮べる。


 私を止めようとするメイドたちだが、次々と返り討ちに遭い、倒れていく。


「何……これ? 本当に……私なの?」


「そうだ」


 どこからともなく声が聞こえ、私は叫ぶように訊ねる。


「何なのこれ!? 悪戯にしては度が過ぎているわよッ!! 私はあんなことしていないわよッ!!」


「そうだ。理性を保っている時のお前は何もしていない」


「理性? どういうことッ!?」


 メイドたちの死体を見ながら笑っている私。そして、姿が見えない声の主が私に言葉を返す。


「他人の血を見て、吸血鬼の力を抑えられなくなったお前が全部やったことだ」


 一気に血の気が引いた。シャフリの腕から血が流れ、そこから意識が途切れたことを思い出した。


「ま、まさか!! シャフリの血を見たときも!?」


「そうだ。今見ている真実同様、お前は自我を失い、周りの人間を傷つけた。覚えていないだろうが、何度もこの現象は起きている」


「そ……そんな」


 自分の手を見つめ、瞬きする瞬間、錯覚なのか自分の手が血まみれになる。


「ヒッ!?」


「目を背けるな」


 目を逸らす私に対して厳しい言葉。しかし、私は体が震え、立つことが出来なかった。


「何で……何でこんなの私に見せるの?」


「それは……お前が一瞬、克服の兆しを見せたからだ」


「克……服?」


「とある人間の血を吸い、吸血鬼の力を押さえ込んだ。いや……その人間が押さえ込んでくれたと言った方が正解か?」


 再び風景が変わり、ジークと私が対峙しているのを目にする。


「ジーク?」


 そして、ジークの表情と動きを見て、思わず叫ぶ。


「や、やめてぇぇッ!!」


 私の叫びは届くことなく、私はジークの首筋に噛みつき、血を吸い込んでいた。


「嘘……どう……して?」


「これが現実だ。偽りだと思うのであれば、現実に戻り、全てを知れ」


 声が遠くなり、気配がなくなり始める。


「待って!! まだ聞きたいことが……」


「我は見守っているぞ。奇跡の混血」




 ◇◇◇




 ジークとシャフリがミーナの部屋の前に辿り着くと、カーリーとサロミアが困った表情を浮べて腕を組んでいた。


「奥様? メイド長?」


「遅い! お嬢様の傍にいることをお願いしていたでしょ?」


「大変申し訳ございません。それで、状況は?」


 カーリーは深く息を吐き、サロミアはジークの肩に手を置き、事情を説明する。


「ジークくん。それにシャフリちゃん。落ち着いていきいてくれるかしら?」


 ジークとシャフリはお互いに目を合わせた後、コクリと頷く。


「ミーナちゃんが目を覚ましたけど……どうやら、暴走していたときのことを覚えているようなの」


『え?』


「覚えているのですか? それじゃあ……」


「ええ。錯乱状態で、カーリーちゃんが部屋に入ったら、ティーカップや果物ナイフを投げられたそうよ」


 サロミアが言葉を言い切った瞬間、扉が強く叩かれ、部屋の中から声が聞こえてくる。


「そこで喋るなッ!! どっか行けッ!!」


「お嬢……様」


「耳障りよッ!! 早く行けッ!!」


 何か出来ないか考えるジークだが、カーリーとサロミアは首を横に振り、シャフリはジークの腕を掴む。


「シャフリ様?」


「今はソッとしておきましょう。落ち着くまで待ちましょう」


 病む得ないと判断したジークはミーナの部屋に背を向け、サロミアたちと共にその場を離れる。




 ◇◇◇




「はぁ……はぁ……」


 外にいるヤツらを追い払った私は、高速で動く鼓動を抑えるのに必死だった。


 自分の手を見つめ、血が付いていないことに安心するが、背後から気配を感じ、恐る恐る目を向ける。


 そこには血まみれでボロボロの状態のメイドたちが佇んでいた。そして、私はすぐに察した……暴走した私が殺したメイドたちだ。


「い、いやああぁぁぁぁッ!!」


 シーツにくるまり、私は体を震わせながら、嘘だ……嘘だと呟き続ける。

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伊澄ユウイチです!


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