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事後処理2

 日が昇り始め、木屑やガラスが散らばるミーナの部屋を片付けるジーク。焼け焦げたカーペットやカーテンを見て、ジークは少し目を細める。


「今日は休暇と言ったはずよ? ジークくん」


 背後から掛けられた声に驚くことなく、ジークは作業を続ける。


「申し訳ございません。奥様。せっかくいただいた休暇ですが、どうしてもここを片付けたくて……」


「気持ちは分かるけど、まだ本調子じゃないでしょ? 噛まれた首筋を庇っているのが分かるわ」


「確かにまだ痛みますし、貧血気味ですが……この部屋だけは早く元通りにしたいのです」


 強情なジークに対し、サロミアは怒ることなく、深くため息をついて呼び鈴を振る。呼び鈴に反応したメイドたちが続々と集まり、中心に立ったカーリーがサロミアに尋ねる。


「お呼びですか? 奥様」


「急な用件で申し訳ないけど、今日はそれぞれの持ち場の仕事はなし。代わりにこの部屋を片付けて頂戴。あと壁や窓も直しておいてね」


『承知しました』


 メイドたちは即座に作業に取りかかり、カーリーはジークに近づき、掃除用具を取り上げる。


「メイド長……」


「ここは手が足りているわ。貴方は命令通り休暇よ」


「しかし!!」

「ただし!!」


 カーリーはジークから取り上げた掃除用具を使い、作業を行う。そして、ジークに背を向けたまま続きを述べる。


「どうしても働きたいのであれば……シャフリ様と一緒にお嬢様の傍にいてあげて」


 それは命令ではなく、頼み事だった。


「言ってたでしょ? 自分はお嬢様専属の執事だ……って。だったらここの掃除をしているよりも、主人が目覚めたとき、近くにいた方が良いでしょ?」


「メイド長……」


「さ。行った行った! 掃除の邪魔よ」


 周りのメイドたちも同時に頷き、ジークは全員に深々と頭を下げて部屋から退出する。


「やれやれ……頑固者は困るわよね~。カーリーちゃん? どうしたの?」


 地面を見つめながら、微かに震えるカーリー。

 そんな彼女を見て、サロミアは優しく背後から抱きしめる。


「そう……そういうことね。残念だけど、ミーナちゃんに負けちゃったわね」


「……はい」


「まだ貴女の人生は終わってないわ。次に期待しましょう」


 カーリーは溢れ出てくる涙を両手で拭い、落ち着くまでサロミアは彼女を抱きしめた。




 ◇◇◇




 空室だったゲストルームに運ばれたミーナ。意識はまだ戻らず、静かに寝息を立てて眠っていた。


「ミーナちゃん。前は私が起こされていたのに……今回は私が起こす番になっちゃったね」


 ミーナの寝顔を見つめるシャフリ。


 数時間前まで暴走していたとは思えないほど愛らしい寝顔に、シャフリは思わず笑みを浮べる。


「シャフリ様。いらっしゃいますか?」


 扉がノックされ、聞き覚えがある声に反応したシャフリは静かに扉を開ける。


「ジークさん。もう体は大丈夫なんですか?」


「まだ本調子じゃないですが、少し寝たら結構元気になりました。シャフリ様のお陰です」


「私は応急処置をしたまでですよ~」


「……お嬢様はどのような感じで?」


 シャフリは素速く道を空け、ジークは眠っているミーナの顔を拝見する。


「……深く、眠っていますね」


「何をしても起きないんです。まるで、現実から逃げているように……」


 ジークは表情を変えることなく、ベッド横の椅子に座り、ミーナを見守り続ける。シャフリもジークの隣に座り、ミーナが目覚めるのを待つ。


 その時、シャフリの視界にサンドウィッチが映り込み、思わずジークに目を向ける。


「朝食。まだですよね? 出来合わせになってしまいましたが、宜しければどうでしょうか?」


「あ、あの……」


「紅茶もご用意してありますよ」


 タイミング良く、シャフリの腹部が鳴り、シャフリは顔を少し赤くしながらサンドウィッチ受け取り、テーブル席に座る。


 対面にジークが座り、ジークはミーナを見守りながらサンドウィッチを紅茶で流し込む。


「そう言えば、ジークさんと一緒にご飯を食べるのは初めてのような……」


「そうですか? 確かに言われてみれば、お茶はご一緒したことがありましたが、食事はなかったですね」


「何か……新鮮ですね」


「そうですね。自分にとっては他の人と食事をすることは久しぶりです。こんな状況でなければもっと楽しく食事が出来たのですが……」


 その時、ジークはミーナが暴走する前の出来事を思い出し、包帯が巻かれているシャフリの腕に視線を向ける。


「ん? どうしたんですか? ジークさん?」


「シャフリ様。この後、外でお話でもしませんか? どうやらこのまま居続けても、気持ちが晴れることはありませんし、気分転換にどうでしょうか?」


 シャフリは自分の腕を見て、即座に納得し、了承する。


「分かりました。それじゃあ、食べ終わって、一息ついたら……」


「……ありがとうございます」

いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!

伊澄ユウイチです!


今回の更新にて100話達成しました!

自分の都合もあり、中々更新できない日々が続きましたが、こうして100まで更新できたのはいつも読んでいただいているみなさまのお陰です!

今までの分も含めて、改めて感謝の言葉を送らせていただきます。


さて、それではいつもの後書きへ。


今後の続きが気になる方は、是非ブックマーク登録をよろしくお願いします!

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面白かったら評価や感想を送っていただけると今後の励みになります。差し支えなければよろしくお願いします!


これからも楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!

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